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2015/01/22(木) 00:00

三井・野村の二強に待った 住友不動産が分譲戸建てに参戦

投稿者:  牧田司

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「J・URBAN久我山ヒルトップ」

 三井、野村の二強に待った! 住友が都市型戸建て年間数百戸供給-住友不動産は1月22日、同社初と思われる都市型戸建て見学会を杉並区久我山で行い、今後は積極的に供給すると発表した。

 冒頭、同社は今年1月1日付で分譲住宅事業本部から分離独立させた「戸建分譲事業部」を立ち上げたと報告した。

 同部部長・徳田修氏は「バブル期は八王子、埼玉、千葉方面で面開発を行っていたが、バブル崩壊後はほとんど供給しなくなった。近年では数十戸くらいしか供給してこなかった。今後は当社の強みである注文の〝J・URBAN〟ブランドそのもの、都会的な外観・外構デザインと自社施工、さらには高級設備を装備した長期優良住宅を基本としたものを供給していく」と話した。

 すでに数百戸分の用地を取得しており、今回、「久我山」(7戸)とともに「国立」(5戸)「深大寺東町」(8戸)「目黒平町」(11戸)「平井」(10戸)「新宿西落合1期」(12戸)の6物件53戸を昨年末から今年初めにかけ分譲開始した。

 「J・URBAN久我山ヒルトップ」は、京王井の頭線久我山駅から徒歩12~13分、同線三鷹台駅から徒歩7~8分、土地面積約100㎡、建物面積約100㎡、価格8,000~9,000万円弱。

 販売責任者の同本部第二営業所長・松丸望也氏は、「他の大手デベロッパーの都市型戸建てと異なるのは、敷地延長など条件の悪い住戸を屋上テラス付きとするなどの商品企画に力を入れており、条件の悪い価格の安いところから売れている」と強調した。

 これまで分譲開始した6物件53戸のうち約3割がすでに分譲済み。「久我山」も2戸が契約済みで、1戸に申し込みが入っている。従前はテラスハウス風の社宅。

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◇       ◆     ◇

 青天の霹靂だった。同社がここ1~2年、戸建て用地を買っているという話は聞いていたが、その現場を全く見ていない。同社広報に聞いたこともあるが、広報は言葉を濁すのみだった。

 単なるうわさだけかと思っていたが、そうではなかった。これまでもずいぶん書いてきたが、大手デベロッパーの分譲戸建ては三井不動産レジデンシャルが独走しており、年間800~900戸をコンスタントに供給してきた。都内23区では1億円前後の物件が飛ぶように売れていた。供給エリアは都内が中心で、対象はアッパーミドル・富裕層。  

 2位の野村不動産は、三井とは対照的に郊外の区画整理事業地などでまとまった戸数の物件を主に手掛けてきており、年間の供給量は500~600戸くらいだった。

 ところが、ここ1~2年、三井を急追しており、今期は1,000戸くらいに伸ばす予定。従来手掛けてこなかった10戸未満の物件も供給するようになってきた。

 一方の三井も郊外で久々の区画整理事業物件を供給するなど、やはり1,000くらいに増やす見込みだ。

 この2社を追いかける大手デベロッパーはなく、3位グループには老舗の細田工務店、コスモスイニシア、ナイスなどが200~300戸で続き、住友も三菱地所レジデンス、東急不動産も年間せいぜい数十戸程度しか供給してこなかった。三菱地所レジデンスは2013年に分譲戸建て市場に参入すると発表はしたが、現段階では目立った供給はない。

 住友不動産の参戦に対して、東急不動産は「特段、申し上げる数字はない」(広報)、三菱地所レジデンスは「昨年の供給量は約40戸」(広報)と答えている。

 住友不動産は今のところ、都心志向の「J・URBAN」ブランドを供給していくとしているが、郊外部での供給にも含みを持たせている。記者は間違いなく郊外も供給するとみている。

 三井・野村に住友が参戦し、分譲戸建て戦線は過熱する一方だ。3強時代が到来するのか。三菱地所レジデンス、東急不動産はどう動くか。もちろんハウスメーカーもいる。低価格路線で中堅所得層向けに特化し、年間36,000戸も供給している飯田ホールディングスとの住み分けは続くのか。戸建て市場は全員参加型になる気配を見せてきた。

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モデルハウス

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