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2015/05/01(金) 00:00

国立 市議会勢力図が逆転 どうなる上原氏への損害賠償請求(求償権)

投稿者:  牧田司

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国立・大学通りに面した明和地所のマンション

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 国立市議会の勢力図が逆転――統一地方選の後半戦の投開票が4月26日行われ、市議会勢力がどうなるか注目されていた国立市議選(定数22)は、自民・公明らの勢力が共産・社民らの勢力を上回り、従来の図式が逆転。元市長・上原公子氏に対する求償権行使・放棄論議に大きな影響を与えそうだ。

 国立市では、明和地所のマンション建設をめぐる行政訴訟が係争中で、市は同社に支払った損害賠償金約3,120万円を当時の市長だった上原公子氏に支払うよう求めており、第1審の東京地裁判決は市の訴えを退けた。これに対し市は控訴している。上原氏を支持する共産・社民党らの多数派議員は、求償権を放棄すべきと議会で決議している。

 求償請求は当然とする立場の自民・公明党のうち、自民党は今回7人を擁立、一人は落選したが、青木健氏(市議会議長)がトップ当選するなど5人から6人に増えた。公明党は立候補した3人が全員当選。このほか、両党と同じ立場に立つ民主党・稗田美菜子氏、無所属・藤江竜三氏と、新人で女優の石井めぐみ氏らも当選。最大会派の自民党から議長を選出しても過半数の11人を確保することが確実となった。

 一方、上原公子氏が1999年に市長当選したときの支持基盤だった国立・生活者ネットから立候補した3人全員が落選。前回平成23年の市議選で当選した3人の得票数約2,900票から約2,000票へ30%も減らし、1991年以来保持しけてきた議席を失った。

 また、これまで5期連続当選を果し、現在副議長を務める維新の党・生方裕一氏も前回得票数約1,600票から約1,000票も減らし落選。生方氏は昨年12月、議員提案による「求償権放棄」を議決したときの議案提案者の一人として名を連ねていた。共産党は得票数を増やし3人全員が当選した。

 この結果、求償権を放棄するべきと主張する議員は8人程度にとどまると思われる。

 前回、上原氏に求償することを選挙公約に掲げ当選した佐藤一夫市長は、対立候補に約1万票の差をつけ再選を果たした。

◇       ◆     ◇

 今回の選挙で求償権は争点になったのかどうかを探るため、投開票の翌々日28日、国立市に取材に出かけた。

 当日午後、国立駅前で当選御礼の街頭演説をしていた公明党・小口俊明氏に早速声を掛けた。小口氏は「もちろんわが党は求償すべきという立場だが、求償権が選挙の争点になったかと問われればノー」と答えた。

 当選のあいさつに市を訪れていた石井めぐみ氏も求償権は行使すべきと話した。2期目の当選を果たした無所属・藤江竜三氏は「裁判所に是非を委ねている案件。議会が決議などするべきではない」と、議会の決議そのものに反対の姿勢を明らかにした。

 求償権を放棄すべき考えの無所属・望月健一氏は「わたしは選挙でその件ではまったく触れていない。早く収束すべき」と電話口で答えた。共産党のある議員は求償権を放棄すべきと話したが、「正式には党の責任者に聞いてほしい」と話した。

 市民数人にも意見を聞いた。「選挙公約にはそんなこと誰も書いていなかった」(30代女性)「市長もその時は市民のことを思って行動してくれていたものと信じているから、過去に起こったことは水に流し、今後の市政に期待したい」(60代女性)。「過去にそういう事件があったことは知っているが、もう済んでしまったこと。元市長に求償することは酷。求償権を放棄することは仕方ない」(70代女性)など、あまり関心がないことをうかがわせた。

 このように、議員や市民の声を聞いた限りでは、求償権は今回の選挙でほとんど争点にならなかったことが分かった。

 市が上原氏に損害賠償を求めている東京高裁の2審判決は5月14日(木)に出る予定。

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国立・大学通り

上原・元国立市長への求償は当然議会「決議」の法的効力は?(2015/1/31)

国立市の求償権裁判、一審判決を不服とし市が控訴(2014/10/9)

 

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