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2015/11/27(金) 00:00

東急グループ 記者懇談会「自立と共創」理念に納得

投稿者:  牧田司

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「東急グループ記者懇談会」(「ザ・キャピトルホテル東急」で)

  「東急グループ記者懇談会」が11月20日、行われた。初めて出席・取材した。

 参加企業は東急電鉄をはじめ東急不動産ホールディングス、東急不動産、東急コミュニティー、東急リバブル、東急レクリエーション、東急建設、世紀東急建設、東急バス、東急百貨店、東急ストア、東急モールズデベロップメント、東急カード、東急エージェンシー、イッツ・コミュニケーションズ、東急セキュリティ、東急ホテルズの17社。

 当日配布された資料によると、17社の2014年度の売上高総額は2兆1,740億円(うち東急電鉄の連結は1兆670億円)、従業員数は31,500人だ。ほとんどの会社の社長か副社長が出席していた。

 冒頭、挨拶した野本弘文・東急グループ代表(東急電鉄社長)は、二子玉川2期プロジェクトの完成で乗降客が2割増えたことを紹介したあと、渋谷ではヒカリエに次ぐ「渋谷駅街区・東棟」「渋谷駅南街区」などについて触れ、「五輪までに100m超の建物が新たに5本できる。スカイツリーに対抗するわけではないが、日本一訪れたい街にしたい。電力の小売りも開始する。仙台空港の監理運営も行う。来年3月には銀座5丁目プロジェクトも完成する。これからも一丸となって『一つの東急』としての連携を強化していく」などと語った。

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野本・東急電鉄社長

◇       ◆     ◇

 「東急グループ」が「東急電鉄グループ」でないのは不思議だが、三井も三菱も住友も具体的な企業名が付されていないのと同じだろう。売上高構成をみても東急電鉄の連結売上げより他社の売上高のほうが大きいので、「東急グループ」と呼ぶのがふさわしいのかもしれない。

 東急グループの経営理念には「自立と共創により、総合力を高め、信頼され愛されるブランドを確立する」とある。東急電鉄が頂点に君臨し支配するのではなく、各企業が連携しながら自立する」ということだろう。

 公共的役割が大きく、人口減少社会の到来で運輸業のみでは成長できないことを見越した戦略なのだろう。

 記者の取材フィールドは住宅・不動産なので、いつも三井、三菱、住友の財閥系御三家と東急不動産グループの事業を比較してみてきた。「自立と共創」の理念からすれば、不動産グループもまた電鉄からの自立を求められていると理解した。他の電鉄系デベロッパーとはここが違うところだ。

◇      ◆     ◇

 東急電鉄の1日当たりの乗降客数は約300万人、東急バスは約200万人。合計で約500万人の人が利用している。「乗降客数は一時期減ったことがあるが、沿線居住者が増えており、毎年1~2%増加し続けている」(今村俊夫東急電鉄副社長)。

 これは電鉄会社の大きな強みだ。毎日、これだけの人の〝足〟になっているのだから、利用客をファンにするのは容易なことだ。福祉政策という意味ではなく生活サービスを提供できるという意味で〝ゆりかごから墓場まで〟事業展開できる。

 実際に電鉄会社はそうしたサービスを行っているところがあるが、東急にはそれがないのが不思議なくらいだ。タクシー会社も現在はないようだ。

 それでも〝東急〟の看板は他の私鉄会社を圧倒していると思う。渋谷と横浜を結ぶ東横線沿線は、私鉄沿線の中でもっとも住宅地として人気が高く、マンション単価も相対的に高い。

 田園都市線も〝丘〟〝緑〟〝野〟〝藤〟などの駅名が多く、沿線には東京工大、学芸大、都立大などの大学(駅名)がある。東京都市大と亜細亜大学もグループで経営している。

 これだけ他の私鉄会社より優位な位置を占めながら、不思議とナンバー1の業種がないとずっと思ってきた。

 ところが、そうではない。東急コミュニティーだ。売上高は1,183億円で、日本総合住生活の1,150億円(12年3月期)を上回り、大京アステージの509億円(15年3月期)の倍以上だ。

 同社はマンションとビルの管理が中心で、12月に開業する「JPタワー名古屋」の管理業務を受託する。同社の強みは技術力だと常々思っていた。従業員約13,000人のうち宅建士、管理業務主任者、建築士、マンション管理士などの資格保有者は約14,000人(重複含む)に達する。岡本潮社長は「本気で採用・教育している。そのうちに圧倒的なナンバー一になる」と話した。

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「ザ・キャピトルホテル東急」(新しくなった「パレスホテル東京」も素晴らしいが、現時点で日本資本のホテルでは記者は「ザ・キャピトルホテル東急」がトップクラスだと思う。隈研吾氏らしいデザインがふんだんに施されており、隠れ家的な雰囲気もある)

◇       ◆     ◇

 業界ナンバー1企業は少ないかもしれないが、記者は東急設計コンサルタント、石勝エクステリア、東急ハンズなどとともに東急エージェンシーはずっと気になっている会社だ。東急グループのブランディング戦略の中核企業だと思っている。

 そこで、桑原常泰社長に聞いた。「当社はハウスエージェンシーではない。東急グループ関係の売り上げは全体の4分の1以下だ。東急グループに横串を差し、BtoBからその先のBtoCも当然視野に入れている」とのことだ。この会社の動きにも注目したい。

 東急不動産グループについてはいつも取材しているのでおおよその動きは分かる。植村仁・東急不動産社長には分譲戸建てに力を入れてほしいとお願いし、榊真二・東急リバブル社長とは「女性活躍」について花を咲かせた。

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 読者の皆さんは2014年度 第25回 ミズノスポーツライター賞を受賞した「洲崎球場のポール際」(講談社)という本をご存知か。

 選評には「文句なく面白い。忘れられた洲崎球場についての著者の探索は、当時の新聞雑誌の渉猟はもとより、資料や古地図を当たり、川上はじめ生存者の証言を聞き(特に試合を見た当時の少年たちの話が貴重)、新聞の載った球場の航空写真をもとに復元模型まで作ってしまうのである。文章は読みやすく(少し凝り過ぎの表現もあるが)、試合の様子など、新聞記事をもとにしているだけに迫真の表現である」とある。

 著者は東急電鉄社長室広報部広報課長・森田創氏だ。お父さんは三重県津市の出身だそうで、森田氏を紹介してもらった東急不動産の広報担当・Iさんも記者も三重県出身なので大いに盛り上がった。今度買って読もう。

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森田氏

 

 

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