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2016/02/03(水) 00:00

旭化成リフォーム 玉石混交の世界に一石 住宅の買取・再販に参入

投稿者:  牧田司

FH外壁塗装.jpg
南柏の外観

 旭化成リフォームは2月3日、旭化成ホームズが過去に供給した戸建住宅「ヘーベルハウス」を買い取り、構造躯体だけのスケルトン状態にして販売する新しいスタイル「フレーム・ヘーベルハウス」の買取・再販の試行を開始したのに伴い、報道陣にスケルトン住宅を公開した。

 今回の取組みは、耐用年数60年のヘーベルハウスの特性を活かし、概ね築20年以上の中古住宅を30年耐用仕様に更新した上で、内部の内装・設備(インフィル)を全て解体・撤去した構造躯体(スケルトン)状態で販売し、同時にオーダーメイドによるインフィル改装リフォームを請負うもの。購入者にとっては、構造躯体を直接目視して購入できることと、内部はオーダーメイドにより好みの間取りと最新仕様の設備にできることが特徴。

 発表会に臨んだ同社・森田敏晴社長は、「新築より中古という時代の流れの中で、これまでは当社と旭化成ホームズグループの旭化成不動産レジデンスの仲介との連携がうまくできていなかった。へーベルハウスの特性を生かし、ワンストップで買主にサービスを提供できないかと立ち上げた。工期も約2カ月で済む。業界初の試みなのでどこまで受け入れられるか未知数だが、どんどんアピールしていきたい」と話した。 

 今回販売する物件は、常磐線南柏駅から徒歩13分、千葉県流山市西松ヶ丘に位置。敷地面積は33.49坪、建物はヘーベルハウスキュービック(軽量鉄骨陸屋根2階建て)築21年、延べ床面積は32.25坪。販売価格は土地価格が1,427万円、建物価格が1,210万円、リフォーム工事費が1,040万円、外構費用が293万円の合計3,970万円(税込み)。 

 同社は、仮に同じ条件で32坪の新築のヘーベルハウスを建築した場合の諸費用等を含めた総額を3000万円程度と仮定すると、約2~3割リーズナブルな価格で提供できるとしている。

 窓の位置はコストがかかるので移動できないが、サッシのガラスは複層ガラスへの変更は工事費も含めて10万円以内で収まるという。

FH躯体.jpg
スケルトン

◇       ◆     ◇

 売主にも買主にもわかりやすい買取・再販だ。一口に不動産の買取・再販といっても、最大手のインテリックスからスターマイカ、ラ・アトレ、先日上場したムゲンエステートなどの上場会社もあれば、マンション1室を買い取って販売する業者まで、つかみどころがない玉石混交の世界だ。しかも、買い取り物件をどこまでリフォームしているかもよくわからない。

 参入障壁もほとんどない。宅建の免許を持っていればどこでもできるので、実態はどこも把握していない。記者は1,000社くらいではないかと予想しているのだが、自信はない。

 とはいえ、業として継続して行っていく上では課題も多いとされる。

 同社が行った住宅購入予定者(サンプル1,000件、うち持家52%、賃貸48%)を対象に行った調査では、中古住宅は「購入価格を安く抑えられそう」59.2%、「同じ予算で広い家に住めそう」39.1%などと評価している一方で、「設備が老朽化していそう」38.8%、「隠れたところに不具合がありそう」35.8%、「購入後に不具合がありそう」31.1%などと回答したようにマイナスイメージも強い。

 このマイナスイメージを払しょくできていない業界側の問題もある。全宅連が昨年会員向けに行ったアンケート調査(有効回答516社)では、買取・再販を行ったのは22.9%で、①瑕疵担保責任が重い②かくれた瑕疵が多く業者が負う責任が大きすぎる③再販時にクレーム多く無駄が多くなった④リフォーム(水まわり)の金額が高いので良い物ができない⑤販売価格での値引対象(リフォーム費用)となっている⑥建物の構造等を充分調査の上、購入するが、インスぺクションをして購入する必要あり-などの声が上がっている。

 そんな世界に同社は一石を投じることになった。

 へーベルハウスは年間600件くらいが中古市場で流通しており、そのうち33%の約200件は旭化成不動産レジデンスが仲介しているという。成約に結びつかない査定も含めると400~600件ということだった。

 この33%という捕捉率が高いのか低いのか判断材料はないが、新しいサービスの提供で高めようということだろう。前述の調査で同社のスケルトン販売について聞いたところ、1,000人のうち76.4%の人が「検討意向」を示したことでも、同社の狙いは的中したといえる。土地と建物の価格査定が明確で、「家を作る」プロセスの楽しさをアピールできれば飛躍的に件数を伸ばせる可能性を秘めている。

 同社は試行段階であるため具体的な数値目標は上げていないが、当面は年間5~10件くらい、近い将来は100件、200件まで伸ばしたい意向だ。

 ターゲットはへーベルハウスの展示場への年間来場者約10万件のうち約7割の土地なしユーザーだ。営業マンによる年間約7,000件のオーナー訪問などによって買取・再販に関する情報を収集していくという。

 

 

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