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2017/05/23(火) 13:51

住友不がマンション売上、戸数でトップ 完成在庫率の低いのは三井不 29年3月期決算

投稿者:  牧田司

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 別表は主なデベロッパーの平成29年3月期決算のうちマンション事業について売上高・計上戸数・完成在庫をみたものだ。売上高では住友不動産、三井不動産、タカラレーベン、プレザンスコーポ、日神不動産、サンケイビルなどが増やし、野村不動産、大和ハウス工業、積水ハウス、東京建物などが減らした。計上戸数は住友、三井、タカラレーベン、プレザンスコーポなどが増やした。完成在庫は住友、大和ハウス、大京、日神不動産以外は増加した。

 このほか、最近供給を伸ばす電鉄(系)会社、伊藤忠都市開発、新日鉄興和不動産、モリモト、大成有楽不動産、関西が地盤の日本エスリード、あなぶき興産などが供給上位。

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 住友不動産が売上高、計上戸数ともトップ。マンションの契約戸数は6,467戸(前期比943戸増)と初めて6,000戸を超えた。マンション、戸建ての次期計上予定戸数5,700戸に対する期首の契約率は約50%。営業利益率は14.7%から14.9%へと0.2ポイント増を目指す。

 完成在庫は前期比より減少したが、完成在庫率(計上戸数に対する完成在庫の割合)は20.8%と高い水準にある。

 三井不動産は極めて好調に推移している。売上高、計上戸数は住友不動産に次ぐ。今期は3,900戸で前期比1,300戸減、売上高は2,710億円で前期比2.2%減を見込むが、営業利益は340億円(戸建て含む)で前期比より33億円増を予想している。都心の高額・利益率の高いマンションが竣工するためだ。

 完成在庫は大幅に増えたが、このことについて富樫烈・経理部長は「1~3月の期末に竣工した郊外・地方のマンションが増えたためで、9月頃までには完売するはず」と話した。在庫率も大手の中ではもっとも低い。

 野村不動産が巻き返す。前期は戸建てを含む住宅部門の売上高が3,297億円(前期比1.4%減)、営業利益が277億円(同12.9%減)と減収減益となり、完成在庫が分譲中239戸(前期88戸)、未販売369戸(同121戸)合わせ608戸(同209戸)と大幅に増えた。

 次期の計上予定戸数は6,000戸(うち戸建て600戸)。売上高は3,650億円(同3,297億円)と増収を見込むが、営業利益は250億円(同277億円)と、利益率を落としつつも完全に売り切る方針だ。次期計上予定戸数に対する期首の契約率は43.0%。戸建て600戸を達成すれば、三井不動産の予定550戸を越すことになる。

 三菱地所は売上高、計上戸数とも若干減らした。次期は売上高2,670億円(前期2,232億円)、計上戸数4,200戸(同3,713戸)へ増やすが、粗利益率は18.1%(同19.4%)と抑制的な見通し。在庫も増えているのが気になる材料。

 コスモスイニシアを含む大和ハウス工業も売上高、戸数を減らした。次期も控えめだ。コスモスイニシア・高木嘉幸社長は決算説明会で「マンション事業は大手の寡占化が進み、プレーヤーが限定的。仕入を厳選し在庫も縮小する。建築費は高値安定が続く」と語った。同社の次期マンション売上高は254億円(前期332億円)、引渡戸数555戸(同744戸)に減らし、利益率も14.5%(同19.3%)と保守的に見ている。期末完成在庫は100戸。

 完成在庫率の高いのは57.8%のNTT都市開発のほか、30.9%の日神不動産、29.3%の東急不動産、24.0%の飯田グループ、20.8%の住友不動産が20%を超えている。極めて少ないのが明和地所でわずか16戸(前期16戸)しかない。

 1戸当たり分譲単価では、戸当たり平均単価は3,900万円ながら一部の物件で事業持分の売却を実施したNTT都市開発の6,713万円を筆頭に、三菱地所、大和ハウス、東急不動産、ゴールドクレスト、旭化成ホームズ、オープンハウスが6,000万円を突破した。中でも都心の人気の高いエリアで単価を抑制して供給を伸ばしているオープンハウスが6,217万円なのが注目される。

 単価の低いのは3,264万円のプレザンスコーポ、3,519万円のタカラレーベン、3,660万円の大京、3,699万円のフージャースコーポが3,000万円台。大手との競合を避け、郊外や地方展開している戦略によるもの。

 

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