RBA HOME> RBAタイムズHOME >2007年 >

 

「パークアクシス青山一丁目タワー」が完成

 

三井不動産など3社が貸主 都のPFIモデル事業

 三井不動産は2月27日、このほど竣工した都営住宅建て替え事業の賃貸マンション「パークアクシス青山一丁目タワー」の記者会見&内覧会を行った。

 東京メトロ銀座線・半蔵門線・都営大江戸線青山一丁目駅から徒歩1分の港区青山一丁目に位置する地下2階、地上46階建て全379戸の規模で、間取りはSTUDIO〜5Bedroomまで約100タイプ。月額賃料は30階100平方b台で70〜80万円台、50平方b台で30万円台。外観デザインは光井純氏が担当。事業主は同社のほか大成建設、伊藤忠商事が共同で設立した「南青山アパートメント」。貸主は三井不動産住宅リース。土地所有者は東京都で、期間70年の定期借地権付きだ。東京都が PFI 的手法で初めて民間の活力を導入する事業のモデルケースでもある。

 同社は平成17年、同社の事業の柱であるビル事業、住宅事業、商業施設事業に加え第4の柱となる「アコモデーション事業」を設立。ホテル、サービスアパートメント、賃貸住宅など、さまざまな居住・滞在期間に対応する付加価値の高いサービスを提供するのが目的だ。昨年8月には、「日本アコモデーションファンド投資法人」を上場している。

 現在、ホテルは近くオープンする「三井ガーデンホテル汐留イタリア館」(375室)「三井ガーデンホテルプラナ東京ベイ」(550室)を合わせ約3800室。サービスアパートメントは麻布十番、六本木ティーキューブ、東京ミッドタウンなどで展開。賃貸住宅は平成19年3月までに54物件約5700戸を供給(予定)、約4000戸の手当てをしており近い将来約1万戸に達するという。

アントニオ・チッテリオ氏デザイン

 記者は、これまで賃貸住宅の取材は多くないが、これはいい≠ニ思った物件は、都市公団の「お台場」「東雲」、森ビル「元麻布タワー」「六本木ヒルズ」と、いくつかのデザイナーズマンションしかない。ほとんどの民間賃貸マンションは、経済設計の利回り重視の劣悪なものばかりという記憶しかない。おまけに、「礼金」「更新料」など理解に苦しむ契約条項を盛り込んでいる。

 そういった賃貸マンションを見るにつけ「こんな劣悪な賃貸が供給され続ける限り分譲マンションは安泰」と考えてきた。記者の拠りどころとしているのは分譲マンションだから、それはそれでいいのかも知れないが、良好な社会資本としての賃貸住宅を供給して欲しい。

 ところが、今回の「青山一丁目」は、さすが東京都の事業コンペに当選した物件だけあって、とてもレベルの高いマンションだと思った。

 世界的な建築デザイナー、アントニオ・チッテリオ氏がプロデュースした突き板仕様の230平方bのプラン(賃料200万円強)や、白の塗り壁(ペンキ?)仕上げの150平方bのプラン(同150万円)などは億ション仕様と同じか、それ以上とみた。玄関ドアも手掛けタイプの把手がついており、デザイン的にも優れたものだ。

 さらに注目したいのは、階高を3.4メートル確保してSI対応とし、ニーズ、事業環境の変化に応じて間取り変更を可能にしていることだ。

 都有地にどうして庶民に手が届かないものを≠ニいう批判が出るかもしれないが、それは全く的外れの批判だ。都市のポテンシャルを上げることが今もっとも求められていることで、今回の「青山一丁目」はその役割を果たしている。

 気になった最高賃料については、「申し訳ありませんが、公表しておりませんので」(同社広報部)とのことだった。

アントニオ・チッテリオ氏のデザイン

(牧田 司記者 2月27日)

ページトップへ戻る