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女性の住まいへのこだわりを形にした大京「梅島」

「ライオンズ梅島デュオパレット」完成予想図

 

 大京(田代正明社長)の「ライオンズ梅島デュオパレット」を見学した。同社初の女性スタッフ中心のプロジェクトチーム「 L's Factory 」が、女性の住まいへの拘りを形として追求し、建物の外観デザインや間取り、キッチンなどに反映させたマンションという触れ込みだったからだ。

 物件は、東武伊勢崎線梅島駅から徒歩11分の足立区中央本町1丁目の一角で建設中の9階建て全56戸の規模で、1期分譲は19戸。専有面積は約65〜106平方b、価格は3190万〜6580万円(最多価格帯4700万円台)、坪単価は177万円。

 同社によると、特徴は@外構部分に防犯にも効果があると注目されている青色の照明を採用A女性の声から生まれたライオンズマンションオリジナルキッチン「 L's KITCHEN 」を採用B選べる設備・仕様「セルフセレクトシステム」(無償)を採用C南向き住戸率 87 %超、角住戸率 76 %超、 2LDK 〜 4LDK の全 20 バリエーションを用意――などだ。

トイレ床もフローリング 引き戸の多用、必要なものは標準装備

 ここまでだったら、どこが女性スタッフが企画したマンションなのかよく分からない。どこのデベロッパーでもやっていそうなことだからだ。

 現地で対応していただいた同社東東京支店営業部担当課長・神田淳子さんの話を聞いて納得した。男の視点では全然理解できないこだわり≠ェモデルルームに込められていたからだ。

 まず、神田さんがこだわったのは、トイレ、洗面室の床の仕上げだった。よくある塩ビシートでなく、フローリングにした。次に引き戸の多用。主寝室に引き戸を採用することに対しては、男性の建築スタッフからは音が漏れるとか、戸を閉めたときの音が心配だから採用に難色をしめしたというが、それでも神田さんらは引き戸の使い勝手のよさを知っているから、押し通したという。

 キッチン、水回りなどの仕様もオプションにしないでできるだけ標準装備のものを採用。子ども部屋は10歳の女の子を想定してカラーリングもそのようにした。モデルルームに飾る家具を少なくし、実際に主婦が生活するシーンを想定してセッティングしたという。

カーテンに合わせて家具・調度品を選ぶ$_田さん

「私は、カーテンに合わせて家具・調度品を選びます」という神田さん

 そして、極めつけはカーテンだった。神田さんは次のように語った。「カーテンは絵です」と。続けてこういった。「私は、カーテンに合わせて家具・調度品を選びます。自分の部屋のつくりにもポリシーを持っています。部屋は自分の性格、生き方を表現するところです。柱とか梁型なんかは女性はそんなに気にしません」と。

 全くの想定外であった。意表を突かれた。カーテンは絵≠ニいうのはその通りかもしれない。女性がカーテンにこだわるのは思い当たるふしがある。神田さんは言う。「内覧会の段階ではなく、モデルルームの段階でカーテンと建具の組み合わせを提案できたらいい」と。

 神田さんは、いわゆる専業主婦≠セった。子育てが一段落して、ある大手マンションハウジングアドバイザー会社にパートとして働き出した。14〜15年前だという。そこで接客から資料づくりまでのイロハを徹底して学んだ。

 そのうちに仕事に夢中になる。専業主婦がよくはまるパターンだ。6年前、正社員として大京に就職した。男性社員に負けるものか≠ニ「走り続けて、売って売って売りまくった」と言う。「何度も売り上げ達成の表彰も受けました。気がついたら役職がついていました」

家事労働をするとマンションの欠点が見える

 神田さんは普通≠フ主婦の顔ではなかった。自立する女≠フ顔をしていた。

 マンションデベロッパーは、もっともっと女性の企画を採用すべきだろうとも思った。私見を言わせていただければ、男性も女性もない、生活者の視点で企画を練り上げるべきなのだ。男でも女でも、家事労働をするとマンションの欠点が見えてくるはずだ。そして、その欠点はちょっとした工夫で改善できる。改善できれば感動≠キら呼び起こせる。

 

(牧田 司記者 5月2日)

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