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大京「新3カ年計画」 扶桑レクセルを完全子会社に

 

仲介店舗数は41店舗から80店舗に倍増

 大京(田代正明社長)は5月15日、平成16年に策定した「事業再生計画(平成18年3月期〜平成20年3月期)」の最終年度である平成20年3月期の計画利益を、前期(平成19年3月期)において前倒しで超過達成したことに伴い、今期(平成20年3月期)を初年度とする「新3カ年計画」を策定した。

 「新3カ年計画」の策定に当たって考慮した業環境・背景について、同社は都市部における地価や金利の上昇、素材価格の高騰による建築コストの増加等、主力のマンション分譲事業を取り巻く環境は厳しさを増し、一層の市場優位性が求められるものと思われるとし、お客さまのニーズは従来にも増して多様化することから、これまで以上に充実した商品・サービスラインナップの構築、一層の品質の向上、信頼に足るブランド力が求められる時代と捉えている。

 そのため、基本方針としては、@主力の新築マンション分譲事業については、引き続き収益力の強化を推進A大きな成長が見込める不動産流通事業についてはグループ経営資源の集中的投入などにより収益を拡大するB「賃貸マンション開発」「居住者向けサービス」などの周辺ビジネスに対する積極的な取り組み――などを上げている。

 新3カ年計画(連結)の具体的数値目標としては、平成22年3月期の売上高5,310億円(平成19年3月期3,766億円、41%増)、経常利益460億円(同328億円、40%増)、ROA10.0%(同8.4%、1.6ポイント増)としている。

 新築マンション契約戸数は9,000戸(同7,278戸、 124%)、仲介店舗数80店舗(同41店舗、195%)、マンション管理戸数350,000戸超(同 331,607戸、約 106%)としている。

大京、扶桑レクセルを完全子会社化 上場廃止へ

 大京と扶桑レクセル(中村護社長)は5月15日、株式交換により大京が扶桑レクセルを完全子会社とすることを決議したと発表した。

 現在、大京は、扶桑レクセルの株式の51%を有しているが、6月26日開催予定の扶桑レクセルの定時株主総会の承認を経て、同年8月1日付で株式交換を実施する。株式交換に伴い、扶桑レクセルは同年7月26日付で上場廃止となる予定だ。

 両社の事業ブランドである「ライオンズマンション」と「レクセルマンション」はともに継続・発展させ、引き続きそれぞれの特色を活かした商品・サービスを提供するとしている。

 グロ−ベルス保有株は米国投資ファンドに譲渡

 また、大京は同日、同社が保有するグローベルス(久永真一社長)の株式の大半を米国投資ファンド「プロスペクト」へ譲渡したと発表した。これによりグローベルスの筆頭株主は大京からプロスペクト社に移動する。

疑問に思う扶桑レクセルの完全子会社化

 記者は、このニュースを聞いて複雑な思いがした。大京は、記者が駆け出しの頃、マンション事業の基本を教わった会社だし、扶桑レクセルは扶桑興業時代から取材をしてきた会社だからだ。大京が会社再建の一つとして扶桑レクセルを完全子会社化するのは分からないではない。効率経営を考えれば行き着くところはそうなるのだろう。

 しかし、扶桑レクセルのマンション事業をずっと見続けて記者には、果たしてそれが賢明な選択であるのかどうかという危惧もある。

 扶桑レクセルがマンション事業に参入した頃は、確かに大京のライオンズマンションの亜流であった。しかし、バブル崩壊後は独自路線を歩み、戸建て感覚、環境共生マンションの供給で業界をリードした。最近ではユニバーサルデザインをテーマに人に優しいマンションの供給を行っている。首都圏で初めて低床バスを採用したのも同社だ。

 両社は、事業ブランドである「ライオンズマンション」と「レクセルマンション」はともに継続・発展させていくとしているが、ならばなぜ完全子会社化して扶桑レクセルの上場を廃止する必要があるのかという疑問が沸く。扶桑レクセルの経営が立ちいかなくなったというのであれば、それはそれで仕方がないことだろうが、そうではなさそうだ。

 シナジー効果を期待する向きもあるようだが、シナジー効果は双方がそれぞれ違った強みを持っている場合に効果が発揮されるのであって、同じような事業を行っている場合はむしろ逆効果ということもありうる。大京と扶桑レクセルのシナジー効果とは何なのか、記者はよく分からない。

 企業風土も今では異なるはずだ。むしろ、双方が切磋琢磨して独自路線を歩むホールディングカンパニー制を採用するほうが賢明な選択ではなかったか。

 

(牧田 司記者 5月17日)

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