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オール三井≠フ記念碑的な都市型戸建

三井不動産レジデンシャル「ファインコート目黒」


「ファインコート目黒」(手前は提供公園の「元競馬南泉公園」)

 久々というか記憶にないぐらい総合的にレベルの高い都市型戸建を見学した。三井不動産レジデンシャル「ファインコート目黒」だ。設計、施工、販売とも「三井」が担当するオール三井≠フ物件で、ファインコート<Vリーズの記念碑的な物件でもある。価格は平均で1億円超となる模様だが、十分その価値があると見た。

 物件は、JR山手線目黒駅から徒歩19分(バス5分、徒歩5分)、東急目黒線武蔵小山駅から徒歩14分、目黒区下目黒5丁目の第一種低層住居専用地域 ( 建蔽率50%、容積率100%)に位置する全49区画の団地。土地面積は100.00〜125.01u、建物面積は97.07〜124.30u、価格は未定だが8,000万円台から1億4,000万円台になる模様だ。竣工予定は平成24年2月〜6月。構造・階数は木造2×4工法2階建て。建物の設計・施工は三井ホーム。販売開始は7月。

 現地は、目黒駅からはややあるが、敷地は農林中金の社宅跡地で、昭和8年までは目黒競馬場として利用されていた低層住宅街。建蔽率50%、容積率100%というのも希少だ。近くには各国の大使館、12万uの「林試の森公園」や「目黒不動」「大鳥神社」などの緑も豊富なエリアの一角だ。隣接地には、敷地が約10,000uの住友不動産「シティテラス下目黒」(175戸)が建設中だ。こちらの坪単価は300万円を突破しているが、グロス価格は低く抑えられている。

 街は、街区の南北に曲線を描く開発道路「ブリック(レンガ)アベニュー」を整備し、中央に配した提供公園の「元競馬南泉公園」や「パークプロムナード」と名づけられている小径ともつながるように設計されている。舗道と外構の門柱、土留にはレンガを採用しているのも大きな特徴の一つ。

 建物は、古典的な列柱や表情のあるタイルを採用した「ネオ・パラディアン」、切妻屋根とアーチデザイン、ロートアイアン(真鍮)をアレンジした「ウエストコースト・コロニアル」、胴廻りの水平ラインを強調し、天然石モザイクタイルを採用した「レイト・アールデコ」の3つ。

 モデルハウス(47号棟)のインテリアデザイン・設備仕様は、天井高2700ミリ、両開きリビングドア、クォーツストーンを採用した玄関収納・キッチン天板、木製化粧手すり、1.25坪浴室、化粧天井、ダブルボウル洗面台、エネファーム、電動シャッター、防犯ガラス、ソフトクローズ機能付き引き戸、ロフトなどを装備している。

 販売を担当している三井不動産レジデンシャル地域開発事業部営業室・宇田川正憲氏は、「仕様レベルはこれまでのファインコートシリーズの中でも最上クラス。入社して17年ですが、規模もさることながら、これほどの都市型戸建を担当するのは初めて。施工もデザインも『三井』で、いわばオール三井。ファインコートの集大成の物件です。5月12日からモデルハウスを予約制で公開しましたが、5月末まですべて満席。土・日曜日は50組ぐらいの来場があり、予想外の人気」と語った。


曲線を描く「ブリック(レンガ)アベニュー」

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 記者は見学前、「平均で1億円を超える」ということを聞いていた。駅から距離がややあるので、売れるかどうか疑心暗鬼だった。ところが、一部完成している街並みを見て、「これはいい」とほとんど瞬時に判断した。レンガを敷き詰めた舗道と建物のデザインが抜群だ。

 敷地は広くはないが、敷地延長の処理が巧みだ。例えば、幅員6mの公道に面した42・44・45棟は敷地境界にはフェンスなどを設置せずにオープン外構とし、駐車スペースをまとめることで広い公開空地のようなスペースを生み出している。

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 同社がファインコート<Vリーズの都市型戸建を供給開始したのは平成6年の「ファインコート鷹の台」が第一号で、最近は年間800〜900戸ぐらいを供給している。売れ行きもよく、23年度末で在庫は20数戸しかない。

 しかし、施工を担当するのはグループ会社の「三井ホーム」ではなく、他の施工会社が圧倒的に多い。「どうしてもっと三井ホームを起用しないのか」と三井不動産レジデンシャルや三井ホームの幹部に注文をつけたぐらいだ。いいものを造ればコストもかかるが、ファインコート≠フブランド力を高めるにはもと三井ホームの施工比率を高めるべきだとずっと考えてきた。

 それが今回、実現した。その効果は宇田川氏が話したとおりだ。価格が価格だけにすぐ売れるかどうかは分からないが、業界関係者も必見の物件だ。良し悪しを判断するのは、とにかくいい物件を見ることだ。


職人さんが門柱の工事をしていたので聞いてみた。「誤差? プラスマイナスで2ミリ。ここまでやれる技術? まあ、5年はかかる」(レンガは何枚使うか分からないが、水平器と定規だけで縦、横、高さの誤差を2ミリ以内に仕上げる技術に感動した)

(牧田 司記者 2012年5月25日)