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住友不動産 デザインがいい注文住宅新商品「J・レジデンス」


「J・レジデンス」

 住友不動産は6月16日、外観デザインに優れ、制震装置と収納スペースを融合させた制震システムを標準装備している注文住宅の新商品「J・レジデンス」の販売を開始した。

 平成22年に発売した「J ・ SKY 」以来2年半ぶりの新商品で、建物の角にバルコニーを設けることで生まれる深い軒が醸し出す美しい陰影、軒先の水平ラインと統一感のある窓周りがシャープで洗練された外観デザインが特徴。また、建物内部は同社の高品質マンションクオリティの設備仕様「レジデンシャルスタイル」を取り入れ、制震装置と収納スペースを融合させた独自の制震システム「ニューパワーキューブ」を標準仕様としている。

 建物は2×4工法2階建て、販売価格は床面積40坪の場合、56万円/坪。販売地域は宮城県、新潟県、関東、東海、近畿、福岡県。販売目標は年間100棟以上。


キッチン

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 発売に先立つ6月15日、「J・レジデンス」と制震収納「ニューパワーキューブ」の記者発表会が世田谷区瀬田の「ハウジングプラザ瀬田」で行われた。

 商品説明を行った同社専務執行役員製品開発室長・和泉沢忠晴氏は、「当社は後発なので、横綱級の大手と同じものをつくっても勝てないので、前回の新商品『J・SKY』は10%の人がこちらを向いてくれる商品にしたが、営業から『頼むから9割の競合相手と勝負できる普通の商品をつくってほしい』という要望があり、2年前から商品開発に着手していた。丹下事務所の右腕と言われた城戸崎さんとコラボしてブラッシュアップしてつくった。『外観をよくしろ』といつも(高島)会長から言われているので、かっこよいものにした。設備仕様も、大量購入しているマンションと同じものを採用したのでコストダウンも図れた」と語った。

 また、同社常務執行役員戸建事業本部長・香月秋裕氏は「当社はビル、マンションはメジャーでも、注文住宅は『本当にやっているの』といわれるぐらいマイナーだが、24年3月期は前期比128棟増の1,968棟を受注し3期連続して増加させた。今回の新商品は自信をもってお披露目できる商品。外壁にレッドシダーや化粧柱を採用し、内装もキッチンや洗面室などに天然御影を標準装備した。競争は激化しているが、総合デベロッパーの強みを発揮して受注増につなげたい」と話した。

 ハイパネルにより、リビング階は約2.7mの天井高を確保し、リビング階のテラス、バルコニーへの出入り口には高さ約2.4mのハイサッシを採用ていいるほか、ドアには軽くて湿気に強い「桐」を芯材に用いた「桐芯建具」を採用している。

 特許申請中の制震収納「ニューパワーキューブ」は、地震時の揺れを低減することを目的に開発した独自の制震技術で、基礎と一体化したL型のRC壁の上部に制震装置・ VEM ダンパーを設置し、2階床と緊結した構造体。地震エネルギー(振動エネルギー)を熱エネルギーに変換することにより、建物の揺れを吸収、低減する仕組み。RC壁の内側部分は収納スペースとして活用できるのが特徴。設置コストは約65万円。


和泉沢氏(左)と香月氏

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 シンメトリックで平屋のようにも見えるモデルハウスを見て、すばらしいデザインだと思った。住宅展示場のモデルハウスは派手さを競い合い、どこの国の住宅か分からない、まるで多(無)国籍住宅のような観がするが、そんな中でこの住宅は異彩を放っている。端正で美しい。品格がある。奇をてらうことなく凛とした佇まいをかもし出している。デザインを担当したのは城戸崎建築研究室だ。代表を務める城戸崎博孝氏は建築家・丹下健三事務所の出身者の一人だ。

 同じように感じた大先輩の住宅評論家もいた。その方は「最初に見たとき、丹下健三の『成城の家』を思い出した。よく似ているのも納得した」と話していた。

 このデザインだけでも他社を圧倒できるのではないか。ただ、この住宅は都心の狭小住宅密集地というよりは、周囲の樹木などの陰を映す田園住宅街の広い敷地のほうが似合うのではないかとも思った。

    
ニューパワーキューブ                 制震収納

(牧田 司記者 2012年6月18日)