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  わが国初の太陽熱を利用した「太陽熱利用戸別給湯システム」

大京「ライオンズ練馬レジデンス」に導入


「ライオンズ練馬レジデンス」完成予想図

 大京は2月20日、わが国初の太陽熱を利用した「太陽熱利用戸別給湯システム」を導入したマンション「ライオンズ練馬レジデンス」(61戸)の記者見学会を行った。屋上で集熱された太陽熱を利用して各戸の貯湯タンクのお湯を温め、エコジョーズと組み合わせることでバスルームやキッチンなどに効率よく給湯するシステムで、パッシブデザインと組み合わせた低層マンションだ。

 物件は、西武池袋線練馬駅から徒歩11分・都営大江戸線練馬駅から徒歩12分、練馬区豊玉中4丁目の第一種低層住居専用地域に位置する4階建て全61戸の規模。専有面積は67.00〜100.12u、予定価格は3LDK4,700万円台〜・4LDK6,500万円台〜、坪単価は250万円前後。竣工予定は平成26年2月17日。・設計・監理は安宅設計。施工は東海興業。

 給湯システムの各戸の屋外に設置される貯湯タンクは幅450ミリ、奥行き650ミリ、高さ1900ミリで貯湯量は100リットル。冬季に一般的な4人家族が消費する湯の4分の1程度がまかなえるという。

 同システムは経済産業省「再生可能エネルギー熱事業者支援対策事業」の補助事業対象になっており、補助対象経費のうち補助率3分の1を限度に補助金が受けられる。また、東京都の「東京都集合住宅等太陽熱導入促進事業」にも交付申請中で、承認されれば補助対象経費の2分の1(国等が交付する補助金その他の給付金を受ける場合は、当該給付金を控除)を限度に補助を受ける予定。

 ガスの消費量はリモコンで、電気の消費量はパソコンで、CO2削減量はリモコンとパソコンでそれぞれ分かるようになっており、エネルギーの「見える化」も図っている。

 また、換気機能付き玄関ドア、ミスト散布など自然の力で心地良い室内環境をつくるパッシブデザインを採用。外観デザインは貯湯タンクが見えないよう縦の木目調格子を採用しているのが特徴。


概念図 

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 ここで、少し建築基準法と算数の勉強をしよう。写真では分かりづらいが、屋上パネルは角度が45度のもの48戸分と角度5度のもの13戸分が取り付けられている。角度を変えても集熱効果はそれほど変わらないという。パネルは2×1m。1戸に付き2枚だから面積は4uだ。なのにどうしてわざわざ角度を変えたのか。

 それは建築基準法の高さ制限にある。今回のマンションが建つ地域は第一種低層住居専用地域で高さ制限は12m。つまり1フロア3mとすると4階建てが建つ。

 さて、ではこのパネルの部分の高さは高さ制限に該当するのかしないのか。建築基準法施行令には「建築物の屋上部分又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計がそれぞれ当該建築物の建築面積の8分の1以下のものは、当該建築物の階数に算入しない」という規定がある。これに当てはめるとパネルをすべて5度角のものを設置した場合、4×61=244uになる。マンションの建築面積は約1,688uだ。つまり1,688×8分の1=211<244となり、制限をクリアできない。

 だから同社は法をクリアするために5度角のものと45度に傾けたものを設置したというわけだ。45度に傾けたパネルの高さは約1.4142m(同社商品企画部担当部長・川合幸晴氏は √2を瞬時にはじき出した。記者は中学の数学で習っているはずだが、どうして計算するかとっくに忘れている。記者が馬鹿なのか川合氏がえらいのか。ただし、川合氏もひとよひとよにひとみごろ≠丸暗記しているだけだろう。演算で計算する方法を知りたい。どうしてそのような解がでるのか論理的に理解しないと算数を理解したことにはならないではないか)。

 記者はここで更に考えた。太陽光パネルや太陽熱パネルがどうしてエレベータの塔屋などの突起物と同じ扱いをうけるのか。このマンションは経産省と東京都の補助を受ける予定で、設置費用の約3分の2程度が補助金でまかなわれる。パネルを寝かせたほうがコストが下げられることぐらい素人でも分かるし、あと1mでも高さ規制を緩和すれば天井高は2400ミリから2600ミリぐらいに上げられる。マンションの居住水準を上げるためにも建物の絶対高さ制限は全面的に見直すべきだ。

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 モデルルームの事前内覧会へは5日間で91組の来場がある。同じ駅圏では伊藤忠都市開発が一昨年分譲した「クレヴィア練馬」(43戸)が早期完売している。 同じようなシステムを採用した大和ハウス工業・三井不動産レジデンシャル「ザ・レジデンス千歳船橋」も取材しているので、こちらの記事も参照していただきたい。


概念図


模型

プロの来場目立つ「土間収納」付き伊藤忠都市「練馬」(2011/9/30)

大規模太陽熱パネル利用「ザ・レジデンス千歳船橋」竣工(2011/3/10)

(牧田 司記者 2013年2月21日)