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日本一の木材プレカット生産量を誇るポラテック

新鋭の設備を導入した富士工場を新設


「ポラテック富士梶v富士工場

 木材プレカット生産で国内トップのポラスグループのポラテック(中内晃次郎代表)は3月6日、最新鋭のプレカット加工機を導入した「ポラテック富士梶v富士工場の竣工披露パーティを開催。約800人が参加し、稼動する瞬間を祝った。

 「ポラテック富士梶v富士工場の生産能力は構造材が月間15,000坪(30坪換算で500棟)、垂木や間柱などの羽柄材が月間13,000坪。3年後に同じ敷地内に工場を増設し、月間50,000坪(約1,600棟)まで生産能力を拡大する予定。

 ポラテックの工場は既設の茨城県、滋賀県と、今年2月に稼動させた宮城県に次ぎ4カ所目。月産146,000坪(約4,800棟)の構造材加工能力を持つこととなり、プレカット生産能力では2位のメーカーの2倍近い最大手といわれている。

 挨拶した中内代表は、「地域密着を掲げるポラスグループの一員として地域へ貢献し、市場環境の改善などを実現する」と語った。

 また、常務取締役プレカット事業部長・北大路康信氏は、「機械はメーカーさんにわれわれの意見も取り入れていただいて一緒に作り上げた進化型で、いわば注文機械。その最新設備で、地域に密着した工務店様、業者様と協力していき、大手にもパワービルダーにも負けないよう品質を追及していきたい」と話した。

 富士工場は静岡県冨士市大渕(富士山フロント工業団地内)に位置する敷地面積約7.1ha、工場建屋約1.4ha。月間生産能力:構造材/15,000坪、羽柄材/13,000坪。社員数65名。初期投資額45億円。


内部

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 取材の目的の一つは、今回の工場増設により生産能力が高まったことで、いわゆるパワービルターとの取引を再開するかどうかを聞くことにあった。先に合併を発表した一建設グループ6社の年間の建売住宅供給量は2万戸を超える。全てを受注すれば一建設グループだけで生産能力の半分近い量を確保できることになる。

 しかし、中内代表は、「相手から『どうしてもお願いしたい』ということであれば検討はするが、当社から一建設グループに対して受注活動をすることはない」と話した。北大路氏も「これまで価格競争に巻き込まれた苦い経験がわれわれにはある。パワービルダーから受注することはありえない。地域密着の理念に反することだ」ときっぱり語った。

   
中内代表                     北大路常務

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 もう一つの取材目的は、新工場は地域の活性化にどう貢献するかだった。地元採用は25人で、このほか資材の搬入・搬出、事業税・法人税などで貢献するのはもちろんだが、地元の戸建て市場などへの影響がどうなるのかに興味があり、工務店などの関係者から話を聞こうと動き回ったが、残念ながらひとりも見つからなかった。しかし、ポラテックの最新工場が出来たことで良質なプレカット材を地域の建築業者へ供給できることの意義は大きい。


披露パーティ

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 記者は、最寄り駅の新幹線「新富士駅」に降り立つのは今回で5回目ぐらいだ。これまで同社も参加する「耐力壁ジャパンカップ」の取材で訪れている。富士市についてご存じない方に一つ、二つ面白い話を紹介する。

 一つは駿河湾に面した富士市の田子の浦について。富士工場からは晴れればこの田子の浦が見渡せるというが、この田子の浦こそ36歌仙のひとりで百人一首にも詠まれている山部赤人の歌「田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ」(新古今集)の舞台になったところだ。

 ところが、この歌は万葉集にも収録されており、その歌は「田子の浦ゆうち出でてみれば真白にぞ 富士の高嶺に雪は降りける」となっている。「田子の浦ゆ」が「田子の浦に」に、「真白にぞ」が「白妙の」に、「降りける」が「降りつつ」にそれぞれ変っている。これはどうしてか。「ゆ」とはどう意味か、習った高校時代に悩んだのを思い出した。

 そういえば、万葉集の解釈をめぐって韓国人作家の李寧煕氏がとんでもない解釈をされたのも思い出した。確かこの歌も意味が全然違うということが書かれていたのではなかったか。

 もう一つは、新富士駅前ある彫刻家・松田裕康氏の「健やか」と題するブロンズ像について。昭和63年に建てられたものだ。とてもいい作品だと見入っていて、衝撃を受けた。写真中央の子どもは明らかに男の子だと思ったが、よく見ると乳房がやや膨らんでいる。両性具有ではないかと考えた。作者は「富士」「不二」にひっかけて遊び心をこの作品に忍び込ませたのではないかと考えると、新しい発見をしたようでうれしくなった。

   
新富士駅前の松田裕康氏によるブロンズ像「健やか」

(牧田 司記者 2013年3月7日)