RBA HOME> RBAタイムズHOME >2013年 >

売れ行き順調 ほぼ1年間で134区画契約

 積水ハウス「スマートコモンシティ明石台」


「スマートコモンシティ明石台」

 宮城県名取市に取材に行っ際、足を伸ばして積水ハウスの「スマートコモンシティ明石台」を見学した。開発面積は約40ha、総区画数は764区画、想定人口は2,650人の団地で、東日本大震災後では宮城県初の大型団地。2011年11月から分譲が始まっており、現在まで134区画(建売住宅も含む)が契約済みで極めて好調な売れ行きを見せている。

 物件は、仙台市営地下鉄泉中央駅より3.7km(宮城交通バス明石台団地停留所から徒歩4分)、宮城県黒川郡富谷町明石台に位置する総区画764区画。建蔽率40%、容積率60%地域。現在分譲中の区画面積は209.93〜239.90u、価格は1,090万〜1,450万円(建売住宅は建物が35〜37坪で、価格は4,200万円台〜4,700万円台)。土地売買契約後3カ月以内に同社と建築請負契約を締結するという停止条件付き。

 物件名にもあるように、全ての住宅に太陽光発電システムを装備し、さらに燃料電池「エネファーム」、蓄電池も搭載するスマートハウス「グリーンファーストハイブリット」も積極導入することで、年間消費電力の約86%を自家発電でまかない、CO2排出と光熱費の大幅削減を実現するのが特徴の団地だ。

  
「伊達冠石(だてかんむりいし)」が美しい街並み

◇     ◆     ◇

 記者は、三菱地所が開発した「泉パークタウン」を見学してから現地にタクシーで向かったので大変遠いと思ったが、泉中央駅からは車で10分ぐらいとのことだった。仙台市街へは30分圏といったところか。

 開発が始まったばかりだが、街並みはいかにも同社らしいランドスケープだ。メインストリートの擁壁・縁石などは、後で聞いたのだが、「伊達冠石(だてかんむりいし)」が採用されていた。同社仙台北支店店長・安藤直朗氏によると「地産地消」の一つとして地元の石を採用したという。大きく切り出すのが難しいそうだが、選りすぐりの石を採用したという。写真のように実に表情が美しい石だ。

 もう一つはオープン外構だ。建蔽率、容積率が低く設定されているため一層街並みがきれいに見える。舗道と敷地を分ける空間は垣根・生垣を設けているものもあるが、どこまでが内か外かが判然としない一体となった見事な空間演出もされていた。4〜5戸単位で設けられたクルドサックの中央には「シャラ」や「やまぼうし」などのシンボルツリーが植えられている。

 建物は鉄骨造が中心だが、木造の「シャーウッド」には同社オリジナルの陶版外壁材「ベルバーン」が採用されているものも少なくなく、高級感を高めている。オープンハウスはユニバーサルデザインのソフトクローズ機能付き引き戸が多用され、メーターモジュールの階段のステップは15段でゆとりがある。


オープンハウス リビング

◇     ◆     ◇

 どうしてこんなきれいな団地ができるか。それは同社の「5本の樹」計画にあると記者はみている。里山を参考に「3本は鳥のために、2本は蝶のために、日本の在来樹種を」という思いを込めて顧客に提案しているものだ。

 安藤氏は「お客さまには5mクラスのものを1本、3.0〜3.5mクラスのものを2本、2.5m前後のものを2本植えていただくよう提案している」と語ったが、この植栽費用だけでも数十万円はするはずだ。植栽により団地の景観をよくしたい、環境にもやさしい街づくりをしたい、という思いがユーザーにも支持されるのだろうと思う。時を経るごとに美しい街並みを形成する「経年美化」を堅持しているのが同社の戸建てやマンションの最大の特徴だ。

 安藤氏は「計画時、全国の団地をたくさん見ていいところを盛り込んだが、一番大切にしたいのはきれいな街並み。入居者の多くは20代、30代。その子どもたちの原風景をつくるのがわれわれの役割」と語る。この日販売センターでは入居者の班長会議が開かれており、10名程が集まり街の今後について活発な話し合いを行っていた。年代的に仕事と育児で大変な毎日だろうと推察するが、街への強い愛情が感じられた。

 売れ行きも極めて順調。安藤氏は「5年ぐらいで完売したい」と語った。


街並み

(牧田 司記者 2013年3月29日)