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急成長する中古マンション再生業(1)(10月7日)
 

 「いゃー驚いた。 400 万円で中古マンションを買い取り、 300 万円のリフォームをかけて3カ月後には 1000 万円で売却できた。これは儲かる」(注)

 ある新興不動産業の役員が、中古マンションの買取・販売を初めて手がけた感想を興奮気味にこう語った。この会社は本来マンションの販売代理がメインだが、これからは中古マンションの買取・販売も積極的に手がけていくという。

 かつてバブルのころ流行したマンション転がしのような話に、記者はにわかには信じられなかったが、確かに「中古マンションの再生業」が大きな市場になりつつある。中古マンションを買い取り、リフォーム(リノベーション)で新築同様に再生して販売する業だ。「中古マンション再生」について何回かに分けて掲載していく。

 

取り扱い件数年間1000戸超 業界トップのインテリックス

 この「中古マンション再生業」の業界トップといわれているのが、インテリックス(本社:渋谷区、山本卓也社長)だ。会社設立は平成7年の新しい会社だが、ここ数年急成長。16年5月期の売上高は261億円で、関連会社を含めると売上高・手数料収入は300億円近くに上り、取扱件数は1000戸を越える。グループ全体で社員数は約100人だ。

 同業他社と異なるのは、買い取った中古マンションを独自の評価基準に基づく事前調査と「リノヴェイト(再生)内装」を施すことによって、新築同様に再生。等級別アフターサービス規準に基づく最長10年の「ユーザー内装保証期間」も設けている。

 もう一つ、同社の特徴は仕入れ、販売とも提携する大手仲介会社を通じて行っていることだ。仕入れ・販売とも自社で行えばそれだけ儲け幅も大きくなるが、リスクも伴う。同社は信頼できる大手業者と組むことで優良な物件の収集と確実な販売を図っている。

 同社取締役営業企画部長・齊川斉氏(51)は、「われわれの仕事は、古いものを大事にするという時代の要求に応えるもので、売買差益が目的の転売業とは本質的に異なる。再生費用は平均で約250万円だが、中には800万円、 1000万円かけて一度スケルトンにするものもある。地域も厳選しており、都内や横浜エリアなど街が熟成しているところが中心」と、他社との差別化を強調する。「マンション買取専業は40〜50社あるが、われわれは目先の利益を追っていない。売上高を優先すれば仕入れが甘くなるし、商品の質も低下する。顧客満足度を徹底して追及できるかどうかが全て」ともいう。

 齊川の語っていることと同じようなことかもしれないが、山本社長が最近上梓された書籍「中古マンションリノベーション戦略」(鶴蒔靖夫著、IN通信社刊)の中で次のように述べているので紹介してみよう。

 「誤解されると困るのではっきりいっておきたいのは、2000万円で買ってきた物件を少し加工して、2800万円で売る。その不動産売買の差益で儲けを出している、ということではありません。手数料、諸雑費は削りようがない。残りの内装費用は400万円からカツカツ捻出するのが、当社の利益となる150万円、160万円なんです。この400万円にしても、当社だからできることであって、同レベルのリノベーションをすれば、一般的な標準価格なら、高いところで倍の800万円はかかります。つまり、いかに製造原価をコントロールして利益を出すか、そこに腐心しているわけです」

(牧田 司記者)
 (注)この新興勢力の役員も仲介業としては素人。プロに言わせると、実際は仲介手数料、登記費用、諸経費を除くと、このケースでは100万円の利益も出ないという。中古マンションのにわか買い取り業が増えていることを裏付ける象徴的な言葉だ。