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野村不動産
「プラウドタワー二子玉川」即日完売に思う(10月13日)
 

 この秋、業界がもっとも注目していた野村不動産「プラウド二子玉川」が10月12日抽選され、最高25倍、平均2.8倍で即日完売した。総来場者は5738組に上った。

 東急田園都市線二子玉川駅から徒歩2分、旧富士会館跡地で、デパート高島屋に隣接しており、眼下には多摩川、遠くには富士山が展望できる絶好の立地から人気を集めるとは予想されていたが、全201戸即完には業界関係者は驚いているに違いない。いま最も元気のあるデベロッパー同社のパワーをまざまざと見せつけた結果となった。

 立地が絶好とはいえ、価格は2880万〜2億1500万円(専有面積約36 〜135u)、最多価格帯7100万円台 ・ 8600万円台 、坪単価340万円と、準都心部のマンションとしては突出して高かったため、「コンパクト系と億ションの高額は売れるかもしれないが、7000万円台、8000万円台が中心では苦しいのではないか」というのが業界関係者の一致した見方だった。それを同社は見事に跳ね返した。しかも、期分けを行わず一挙に売ってしまったのだから、関係者が驚くのは当然だ。坪単価の高さでいえば、最近サジェストが分譲を開始した「デュフレ自由が丘」が坪320万円だったが、これは単身女性・DINKS向けだったので参考外。ファミリー向けマンションとしては港区の高級住宅街並みの価格だ。

 この結果を、私なりに推測してみたい。

 まず、「やはり、この地域は我々が考えている以上にリッチな人が多いのだな」と率直に感じた。私は、もう何年も前になるが、マンション取材の帰り、高島屋のレストランで食事でもしようと寄ったことがある。レストランフロアにはサラリーマンでも食べられるリーズナブルな店もあったが、ランチで5000円もする和食店があった。これには驚いた。都心部のデパートなら分かるが、場所は二子玉川。しかも、その店を覗いたら、何人もの熟年淑女が食事をしているではないか。これにはびっくりした。「この人たちはどんな生活をしているのだろう」と、ねたみが沸々と湧き上がってきたのを覚えている。

 今回、同社のモデルルームを見学しおえて、高島屋に立ち寄ったときのこと。記者があの「品川Vタワー」のデザインに惚れ込んだカトリーヌ・メミさんの店があった。ナイトウェアが2万円超、ベッドが50万円だ。ブランドの知名度について店員に聞くと「それなりの女性にとって常識」だそうだ。

 つまり、二子玉川は我々が想像も出来ないようなけた外れの人が集まる場所なのだ。同社の「二子玉川」は、そういう人たちの購買意欲をかきたてたのに間違いない。もともと同社のマンションは質が高いが、準都心部の他の物件と比べてもはるかに高いという印象を受けた。コンパクト系は、同社の初のコンパクトマンション「プラウドジェム幡ヶ谷」と同じ野村ホワイト≠採用。高額住戸のフローリングには、何と紫檀が用いられていた。その他、自然石やガラス素材、ムク材がふんだんに用いられており、どれもがなるほどと納得させてくれるものばかりだった。そのほか、スケルトンインフィルに最も適していると思われる定評の高い鹿島建設の施工、高島屋南館と同じ設計事務所の設計などもユーザーを惹きつけるに十分威力を発揮したようだ。その土地の魅力を最大限に生かすのがデベロッパーの腕の見せどころだが、同社は見事にそれをやってのけた。

 ついでながら野村ホワイト≠ノついて触れておくが、これは単なる「白」ではない。わざわざ「野村」と称すように、同社のスタッフが研究に研究を重ね作り出した「白」だ。オフホワイトといっていい色だが、えもいわれぬ雰囲気を醸し出している。同社のモチベーションの高さはこんなところにもうかがえる。

(牧田 司記者 10月13日)