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物件主義から顧客ニーズ主義へ
急成長のリバブル・ソリューション事業(12月8日)

 

 東急リバブルの「ソリューション事業」が、絶好調だ。「ソリューション」ビジネスとは、社会的課題・企業等の経営課題等に対して不動産会社として応えようというもの。企業のオフバランス・不良債権処理・企業再生等のニーズの拡大や不動産ファンドビジネスの急成長に伴い、新たなマーケットとして脚光を浴びている。

 同社は、平成12年4月「ソリューション事業部」を設立。他社に先駆けてソリューションビジネスに取り組み、圧倒的なアドバンテージをもっている。その成長ぶりも群を抜いており、設立当初12名だったスタッフは今では100名に膨れ上がり、ソリューション事業を中心としたホールセールの実績も、16年9月上半期には取扱高505億円(前年同期比50%増)、営業収益18億円(同49%増)となり、売買仲介業全体の収益の約14%を稼ぎ出すまでに成長した。

 「マンション、ビル、建売住宅、賃貸住宅といった物件種別で区切られていた仲介の市場を、顧客のニーズ別にセグメントし戦略化している。クライアントの求めに応じて、物件種別に関係なく、そのニーズを応えていくことが我々の存在価値」と語るのは、同社ソリューション事業を立ち上げた統括部長の北川登士彦取締役。つまり、「物件主義」ではなく「クライアント(顧客)ニーズ主義」に徹して、あらゆる問題をソリューション(解決)するというビジネスモデルだ。

 北川取締役はかつて、競売にかけられることが多かった不良債権処理を一般仲介で処理するシステムを銀行等に提案していた。これを全社的に処理するセクションとして、ソリューション事業部が立ち上げられた。銀行の不良債権処理やデューデリジェンスからスタートした同事業は、会社更生や民事再生に伴う事業用不動産売却やバルク案件の出口戦略の提案も手がけるようになる。さらに、マンションデベロッパー間の在庫調整や用地斡旋まで発展していく。最近では、再生機構入りしたカネボウの保有物件の売却窓口業務も一手に受任した。もちろん、一般投資家向けの収益物件仲介も大きなシェアを占めている。

 「ソリューション」と名づけられているとはいえ、あくまでも事業の柱は情報から派生する仲介手数料で、コンサルティングフィー、デューデリジェンスフィー、インスペクションフィー等は全体の約3割だ。

 「常にリバブルのネットワークが全国のマーケットをリアルタイムで把握していること。これができているから、どんな案件を依頼されても不安がない。」(北川取締役)。ここが、同社ソリューション事業最大の強みだ。業務の組み立て方も、ちょっと変わっている。集められた情報は、パシフィックセンチュリープレイス丸の内のビルの 1 フロアに集められた100 名のスタッフが縦横無尽に処理し、ビジネス化する。「通常の仲介店のように、個人個人がばらばらに仕事をすることはない。受託業務の規模や内容に合わせて自由自在にプロジェクトチームを編成して対応している、有機体のような組織を目指している」(同)。

 現在、シェアが拡大しているのが、デベロッパーとファンドに絡んだビジネス。デベロッパーへの用地斡旋、デベロッパー間の用地転売・在庫処理(デベtoデベ)、あるいはファンドや投資家への一棟卸し(デベtoファンド)、さらにファンド間の物件売買(ファンドtoファンド)と、事業領域が拡大中。とくに、ファンド周辺ビジネスは伸長の一途を辿っている。「当社は、現在約150のファンド運用会社の保有資産をリアルタイムに把握している。最近では、運用会社からアクイジション(ファンドの物件取得)業務の受託、バルク案件の入札に際しての投資判断支援、入札に勝つための戦略提案も行っている。また、複数のデベロッパーを束ねてファンド向けの収益物件を作ってもらったり、ノンリコースローンを組み込んだ収益物件の提案もしていく」(同)

 一般投資家向けサービスにも力を入れている。昨春から、投資家向け会員組織「リアル・ソリューション倶楽部」を発足。全国マーケット情報やタイムリーな投資物件情報を提供している。すでに、会員は120名を越えた。会社経営者、税理士や弁護士、ビルオーナーといった富裕層で、概ね物件価格数億円程度の収益物件の成約が多い。また、ウェブサイトでもソリューションビジネス専用の「Biz−S olution 」という会員制サイトを立ち上げ、会員を限定500名で募っている。これは弁護士・会計士・ファンド運用者・金融機関・一般事業法人等へのONE to ONE機能付の新サービスだ。

 最近、同社に対抗し、「ソリューション」の名を掲げる業者も増えてきた。だが、「我々の蓄積したネットワーク、情報量とその質、そしてビジネスモデルは時間をかけて築いたもの。また、我々は、どこよりもクライアントのニーズの変化に敏感である。これからも我々なりの市場分析によるサービスメニューの開発を続ける」と北川取締役は絶対の自信をみせる。「ライバル不在」の独走は、当面続きそうだ。

(福岡 伸一記者 12月8日)