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三拍子揃った稀なマンション
三菱地所「井の頭公園パークハウス」(2月4日)

 

 三菱地所が分譲を開始した「井の頭公園パークハウス」が圧倒的な人気を呼びそうだ。JR中央線吉祥寺駅から徒歩9分、京王井の頭線井の頭公園駅から徒歩4分の高台立地で、地上4階地下1階建ての全119戸の規模。敷地は三菱マテリアルの社宅跡地。

 「吉祥寺」といえば、いわゆるメジャーセブン≠ニ呼ばれる大手デベロッパーで組織するマンションポータルサイトの調査でも、自由が丘に次いで「住みたい街」ナンバー2にランクされ、やはり大手流通会社の長谷工アーベストの調査「住んでみたい街」でも、前年2位 ( 1位は自由が丘) からトップに踊り出た。

 
敷地南側は井の頭公園  来場もすでに2000組
 

 これだけでも人気を呼ぶ要素は十分にあるのだが、この物件は何と井の頭公園に隣接。パンフレットには「隣接というより一体」というコピーが書かれているが、この言葉に嘘はない。公園と敷地はフェンスで仕切られているが、まさに一体。公園のケヤキの大木や竹林が敷地南側に広がる。周辺は高級住宅街だ。住居表示は「吉祥寺南町」。

 記者は27年間、マンションの取材を行っているが、井の頭公園に隣接したマンションは知らないし、販売事務所でも「初めて」と言っていた。ご存知のとおり、井の頭公園は東西に長い公園で、休日には行楽客でごった返しているが、マンションの建設地は井の頭公園駅に近い入口の部分で、喧騒から逃れられるという意味でこれもまた絶好の立地だ。つまり、交通便も環境も文句なしのマンションというわけだ。

 さて、肝心の価格はどうか。南側に自然林を残した緑が広がる住棟の坪単価は320万円から、その他の棟は270〜 280万円ぐらいだ。交通便と環境が抜群ということは、それだけ価格も高くなる要素だが、分譲価格はこういった交通便・環境を含めた総合的な商品価値だから、高いか安いかは単純にはいえない。買う側としては価値は高いほうがいい半面、値段そのものは安いほうがいいに決まっている。売る側としては、市場動向の問題もあるが、付加価値を高めて高く売りたいと考えるのが普通だ。これらの問題を無視して、単なる相場観から判断すると、このマンションは間違いなく割安だ。この物件を自由が丘の物件だと仮定した場合、坪単価は間違いなく350万円はするだろう。つまり、価格も買う側にとっては申し分ないと判断した。

 設備・仕様も水準以上だ。なかでも床材にアフリカカリン材を用いたグレードアップ仕様がいい。逆梁・ハイサッシなのですっきりした住空間も担保されている。外壁は磁器質タイルを採用。

 これだけ売れる条件が揃っていれば人気となるのは当然で、問い合わせは3000組、来場者は2000組に達しているという。一般分譲に先駆けて会員優先分譲が行われたが、平均競争倍率は5倍に達したそうだ。そんなわけで、一般はわずか56戸しかない。倍率がどこまで伸びるのか見物だ。

 
自然林を保全 高さ制限緩和受ける
 

 もう一つ、なるほどと思わせることがある。建設地は第一種低層住居専用地域だから、建物は3階建て10メートル以下という規制を受けるが、南側の自然林を保全する目的で建築基準法第55条第2項の認定を取得し高さ制限の緩和を受け、その結果4階建て12メートルになった。さらに、既存の自然林を含む約4000平方メートルの公開空地は、入居者や近隣住民のセキュリティを重視するため、夜間立ち入り制限区域としている。南側自然林を市の条例に基づく保存樹林とし、市からの補助金も管理組合が受け取る計画だ(予定) 。

 そういえば最近、約2万5000平方メートルの保存林を敷地に持つマンションが分譲されたが、敷地は入居者だけしか入れないことになっている。どちらがいいかは、記者はこの際問わないことにしよう。

(牧田 司記者 2月4日)