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藤和不動産の「川崎」「溝の口」マンションを見学して

 今秋から大型マンションを続々分譲する藤和不動産の物件、「川崎サイトシティ」と「スニーカータウン」を見学した。

 前者は、JR川崎駅から徒歩 13 分、又は京浜急行線・JR線八丁畷駅から徒歩 1 分の全 505 戸の規模。価格は未定だが、坪単価 160 万円を切る模様だから、3LDKで 3000 万円台半ばが最多価格帯になりそうだ。売主は同社のほか、日本国土開発。敷地は日産の施設跡地だ。

 後者は、東急田園都市線溝の口駅から徒歩15分の全 855 戸の規模。坪単価は約 150 万円で、80平方b台で 3500 万円台が中心価格帯だ。売主は同社のほか、新日鉄都市開発、近鉄不動産、名鉄不動産、ニチモ、ノエル、長谷工コーポレーション。同社の事業比率は20%。施工は長谷工コーポレーション。

 藤和不動産のマンションについては、「藤和不動産の快進撃が始まる」(9月 26 日付け)という見出しの記事を書いたが、この2つのマンションでも同社の企画にかける意気込みが感じられた(後者は同社の企画ではないようだが)。

企画意図がひしひし伝わってくる「川崎」

 まず前者から。記者が注目したのは、ビデオの長さだ。どこのマンションでも上映される物件の特性・コンセプトなどを盛り込んだもののほかに、ニューファミリーや熟年層などの住まい方を提案したビデオも用意されていた。双方で上映時間は約 20 分。一般的なマンションでは10分前後だから、かなり長いが、十分時間をかけて物件の特性を分かってもらおうという意気込みが感じられた。

川崎市民はともかく、他の地域に住んでいる人は「八丁畷」という地域をほとんど知らないマイナーな地域であることを考慮したからだろう。しかし、その割には教育施設なども整い、ここに住めば、こんな生活ができる≠ニいうことを、映像で訴えきれていた。入居者同士のコミュニケーションを支援しようという姿勢がうかがえたのも好感できた。

 記者は2年前、この八丁畷駅近でモリモトがヤクルトの古田ご夫妻をイメージキャラクターに起用して成功したマンションを覚えている。当時、八丁畷など全然知らなかった都内の足立区や千葉県などからも集客できたことを聞いた。さすが古田選手だと思ったものだ。

 今回の藤和不動産のマンションは、規模のうえでも共用施設の充実ぶりでも、モリモトのマンションに引けはとらない。マイナーな地域イメージを払拭できれば十分早期完売が可能と見た。

圧倒的な価格の安さと広さが人気の「溝の口」

 後者は、駅からややあるというハンディはあるが、とにかく価格が安い。坪単価 150 万円だ。比較にはならないかも知れないが、溝の口駅近のコンパクトマンションは坪 200 万円をはるかに突破している。ファミリーマンションと比較しても、田園都市線沿線のマンションは坪 180 万円以上だろうし、駅近なら 200 万円はする。南武線でも徒歩圏なら坪160万円は下らない。

 圧倒的な価格の安さが人気になっているようで、9月に分譲した1期 162 戸が即日完売。モデルルームルーム見学者の評価でも、ナンバー1は「80平方b台で 3500 万円台の価格の安さ」で、以下「溝の口へ徒歩15分、渋谷へ直通13分」の交通便、「平均面積 84 平方bのゆとりのプラン」「オール電化、100%駐車場。多摩川に近い環境」となっているという。

 つまり、子育てファミリー中心に広域的な集客が出来ているのが好調の要因だ。

モデルルームでも子育てにぴったりの提案がなされていた。リビング側とその逆がオープンとなっている両面オープンキッチン≠ニも言うべきものだ。リビング側の逆サイドにはファミリーダイニング−子供部屋へとつながっている。これと似たようなものは他でも見たが、ここまで徹底したものは初めて見た。これには驚いた。これは受ける≠ニ直感した。

もう一つ驚いたのは、意外な物件が競合しているということだ。インターネットの時代だ。一定の価格と広さで検索すれば、10件はくだらないだろうから、当然か。

 そこで考えたのは、立地、環境、価格はともかく、設備仕様はほとんどどこも同じ。どこで差別化をするかといえば、ほんのちょっとしたアイデアや工夫ではないかということだ。

記者はここ数年、ユニバーサルデザインの視点でマンションを見ているが、これはいい≠ニ思ったマンションはほとんどない。このマンションもまだまだ検討の余地がありそうだ。「川崎」同様、ここだけは不満が残った。

(牧田 司記者 11月2日)