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マンション大競争時代で需要創造≠キる
オリックスリアルエステート

〜「TOWER RESIDENS TOKYO」を見学して〜

 今総じて元気≠ネ財閥系デベロッパーはともかく、「今もっとも元気なマンションデベロッパーはどこか」と聞かれると、記者が真っ先に上げるのは野村不動産であり、オリックスリアルエステートだ。

 野村不動産はさておくとして、今回はオリックスリアルエステートについて触れてみたい。同社が今分譲している「TOWER RESIDENS TOKYO」を見学して、改めてその元気≠ヤりを再確認したからだ。

大手ばかりではなく、ユニークな会社も積極採用

 この物件について触れる前に、同社の分譲事業について少し概観してみよう。

 同社がマンション事業に力を入れ始めたのは、今から 10 年ぐらい前だと記憶しているが、「この会社は間違いなく伸びる」と直感したのは、もう6〜7年前の「サンクタス下落合」を見てからだった。プランが素晴らしく、早期完売したのを覚えている。このマンションの販売代理は野村不動産で、企画も野村不動産が参画していた。当時、野村不動産は、マンション業界でもっとも注目されていたデベロッパーの1社だった。記者は、オリックスリアルエステートがマンションの商品企画や販売を学ぶために、野村不動産と積極的に組んだのだろうと推測していた。

 その後、同社は都心の「ツインパークス」「青山パークタワー」などにも事業者として名を連ねた。これも、「今後の都心のマンション事業に生かすためのノウハウの収集」だろうと見ていた。

 そして、オリックスリアルエステートのマンションがもっとも業界の注目を集めたのが、今から3年前に分譲された「マークスプリングス」だろう。オリックスリアルエステートのマンションが花開いた時期というべきだろうか、記念碑的な物件だ。

 この物件は、戸建てとの複合開発で、基本プランはミキヤが担当していた。ミキヤとは、当時、余り知られていなかった横浜の小さな設計会社だったが、オリックスリアルエステートの一連の建売住宅で次々とヒット物件を手がけていた。今でこそ戸建てとマンションの複合開発は、他社も沢山手がけているが、その先鞭をつけたのがこの物件だった。

 このように、大手ばかりでなく、ユニークな仕事をしている企業とも積極的にコラボレートするのが同社の特徴で、資金力だけではない同社の成長の秘密がここにあると記者は見ている。

台場、勝どきで見せた「非日常」の演出

 さらに、同社が同業をびっくりさせたのが昨年分譲の「DAIBA TOWER」(台場)であり、今年分譲の「THE TOKYO TOWERS」だ。「DAIBA TOWER」(勝どき)は、坪 300 万円近い高額だったにも関わらず早期完売。「THE TOKYO TOWERS」は、それほど立地に恵まれているわけでもないのに、来場者が軽く1万件を超える人気となっている。双方に共通しているのは、需要の喚起どころか需要の創造であり、商品企画もさることながら、イメージ戦略、モデルルーム・現地販売事務所の設営などが飛び抜けて優れていることだ。高額住戸では、オプション仕様として 1000 万円も 2000 万円もするものを提案。どこも真似が出来ないような「非日常の世界」を演出して見せた。

 記者は、現在のマンション大競争の時代では、思い切った需要喚起・需要創造を行わないと勝ち残れないと考えている。派手なオプション仕様には賛成しかねるが、それは一般的なマンションにいえることで、高額住戸はホテルを超える提案などをどんどんすべきだと思っている。同社は、見事にそれをやってのけた。「THE TOKYO TOWERS」のモデルルームを見学して、「これは間違いなく売れる」と確信したものだ。

台東区ナンバー1マンション

 さて、余談が長くなってしまった。本題の「TOWER RESIDENS TOKYO」の話に戻ろう。

 現地は、今をときめく秋葉原の秋葉原駅から徒歩7分。三井記念病院のはす向かいに建設中の37階建て全 260 戸の規模だ。専有面積は約 44 〜 126 平方b、坪単価は約 230 万円だ。ただし、秋葉原駅圏とはいえ、鹿島建設の「TOKYO TIMES TOWER」や三井不動産の「P ark Tower AKIHABARA 」のように所在地が「千代田区」ではなく、「台東区台東」だ。決してマンション適地ではない。前者の坪 300 万円、後者の坪 270 〜 280 万円と比べ、坪 230 万円というのは割安には違いないが、やはり立地のハンディは否めない。

 ところが、モデルルームを見て、記者は「これは売れる」と確信した。商品企画レベルが極めて高かったからだ。最上階住戸の「CEREBRITY」タイプは、オプション仕様だけで 2000 万円ぐらいはしそうだが、天井高は約3メートル、紫檀、カリン、チークの突き板、天然石、ガラス素材などをふんだんに用いており、その他の住戸も「こんなマンションに住みたい」というユーザーの心を揺さぶるに十分な仕掛けが施されている。屋上の庭園、植栽計画、外観のカラーリングが素晴らしい。もちろん基本性能も高い。

 記者は、台東区内の上野や浅草などのマンションを見てきてはいるが、印象に残っているマンションはほとんどない。同社のマンションは間違いなく台東区ナンバー1マンションだろう。立地のハンディを跳ね返して、早期完売するのは確実だ。

(牧田 司記者 11月8日)