地域親和の大切さ教えてくれた大京の環境共生マンション「月島」

 

 大京が建設を進めていたわが国初の「環境共生住宅」認定タワーマンション「ライオンズタワー月島」(中央区佃2丁目)が竣工した。

 有楽町線・大江戸線月島駅から徒歩1分の地上 32 階建て全 291 戸の規模で、専有面積は約 56 〜 190 平方b、価格は 3000 万円台〜1億 9000 万円台(最多価格帯 7000 万円台)、坪単価は 230 〜 240 万円というもの。昨年秋から販売開始し、今春には完売していた。

 総来場者は 3000 組近くにのぼった。超高層マンションが財団法人・建築環境・省エネルギー機構の「環境共生住宅」認定を受けたのは初めてで、同社としては4物件目の「環境共生住宅」認定団地。

 環境共生への取り組みとしては、@周辺の街並みの連続性を実現するため、周辺の路地に合わせ4本の路地の再生A約 63% の空地率を確保、敷地内に約 1 万 3600 本の植栽を施したB近隣住民に開放するコミュニティ・ピロティゾーン「浮島広場」を設置C地域文化を継承するため渡し舟や佃の桟橋、道祖神のオブジェ、ベンチを設置D子育て支援のための保育施設、コンビになど生活施設の整備E地域自治会の施設を敷地内に設置して中央区に寄贈――など。地域との親和に力が注がれているのが特徴だ。

 建物は、タワーの圧迫感や威圧感を軽減させるため、 1 階の階高を約 11 メートル確保、四囲をカーテンウォール吹き抜けの天井高約7・5メートルの大空間を実現。超高層タワーの足元を通じて既存の街並みと一体化させているのが特徴。ランドスケープにも力を入れており、建物の四囲にシラカシ、ヤマモモ、タブの高木を配し、中低木を配した遊歩道、ハーブ園なども設けている。ハイウォール工法により無柱・無梁空間とし、SIの採用により設計の自由度を高めている。

総合設計のメリットを生かしたランドスケープ秀逸

 記者は、「環境共生住宅」に認定されていない物件も含め、いわゆる環境共生マンションは 40 〜 50 物件見学している。素晴らしいものもあったが、「これがとうして環境共生マンションなのか」と正直思った物件も少なくない。

 今回の大京の「月島」は、これまで見学した物件と比較してもトップクラスの出来だと思った。同社の環境共生住宅では「ひばりが丘」もいいが、この物件はもともとが低層住宅地にふさわしい環境が整っていた。

 「月島」はランドスケープが秀逸だ。これほど総合設計のメリットを生かした物件は他にないのではないか。都心部のほとんどのマンションは、壁面が道路一杯に迫っていたり、柵や塀で外部と遮断されたりしている。地域親和をテーマにしているマンションなどは皆無に等しいのではないか。地域親和の大切さを教えてくれるマンションだ。

 それにしても、「環境共生住宅」が増えないのは、制度にも問題はあるのだろうが、やはり税制に問題がある。ここでは述べないが、思い切った優遇策が必要だ。 

(牧田 司記者 11月25日)