最近の流行に対するアンチテーゼ

 鹿島「虎ノ門タワーズ レジデンス」

 

流行を追わず、時代に媚びず、奇抜さを競わない

「正統な建築」がコンセプト

 鹿島建設が建設中のマンション「虎ノ門タワーズ レジデンス」を見学した。日比谷線神谷町駅から徒歩 6 分の、ホテルオークラ東京に隣接する 41 階建て総戸数267戸の規模。敷地は、鹿島、旭化成、日鉄鉱業の跡地で、オフィスタワーや庭園とが一体となった複合マンションだ。専有面積は約 55 〜223平方b、平均坪単価は 500 万円を超えるというものだ。

 今春から分譲が始まっており、平均で1億数千万円台という高額にもかかわわらず未販売住戸は22戸のみ。価格の比較的安い7〜8000万円台の住戸は競争倍率が17倍にもなったという。 

 コンセプトは「正統な建築」。流行を追わず、時代に媚びず、奇抜さを競わない――同社の徹底したこだわりがうかがえるマンションだ。外観完成予想図でも分かるとおり、どこか同社の本社ビルに似た外観だ。

 建物は、同社が独自に開発した「チェーンド・チューブ構法」を採用。この構法は、内部の柱を短辺方向に効率的に配置し、ラーメン構法と同じ本数の柱を矩形チューブに納めることによって、チューブ内に無柱空間を実現。平面プランの自由度を高めているのが特徴。

 これによって高い耐震性を保ちながら、スレンダーな外観フォルムの超高層タワーが可能になったという。ガラス面だけでも高さが最大約2・1メートル、幅が3連窓で約4・6メートルという窓もあるのも特徴だ。

 各住戸のカラーリングは白が基調。床材・壁材、面材には天然素材がふんだんに用いられている。玄関などの床は欧米の邸宅で用いられるというトラバーチン。デザイン壁としてアオギリ科のアユースやウォールナット(クルミ)の練り付け材を採用。居室は天然ウールカーペットやフローリング、キッチンハウス社製・ジーマチック社製のオリジナルキッチン、面材はバーチ材、浴槽はホーロー製…といった具合だ。

 ディスポーザー、食洗機、W&D(ドラム式洗濯乾燥機)なども全て標準装備。IHクッキングヒーター、電子コンベックはオプションで選べる。

 ホテルオークラ東京と提携して、エントランスでは、同社のレセプショニストがサービスを提供。ホテルと同等のホスピタリティを実現した。 25 階に設けたゲストルームはジェットバス付きで、リネン類はホテルオークラ東京と同じものを用意。

 記者はこれまで、鹿島施工のマンションはもちろん、同社が売主となっているマンションもたくさん見てきたが、このマンションは間違いなく同社の記念碑的なマンションだ。派手さを競い合う最近のマンション商品企画に対する強烈なアンチテーゼとして突きつけられているように感じた。

(牧田 司記者 11月28日)