春日部市コンペで選ばれたポラスの学校跡地建売り分譲へ

「パレットコートたけさと パサディナスタイル」

 

「パレットコートたけさと パサディナスタイル」(52戸)3800万円台

 ポラスグループの中央グリーン開発(中内慶太郎社長)は、平成15年3月に廃校となった埼玉県春日部市立谷中(やなか)小学校跡地を活用した建売住宅「パレットコートたけさと パサディナスタイル」(52戸)の分譲を12月23日から開始する。

 現地は、東武伊勢崎線武里駅から徒歩12分(せんげん台駅から徒歩18分)の開発面積約1万 5000平方b(うち公園などを除く分譲対象約1万平方b)、春日部市大場の全52区画。敷地面積約142〜182平方b、建物面積約107〜 123平方b、価格3280万〜4780万円(最多価格帯3800万円台)。建物は木造2階建て。建ぺい率60%、容積率200%の地域。

 平成15年に4つの小学校が廃校になり、それらを統合して2つの小学校が新設されたのに伴い、市が「谷中小学校跡地利用事業者提案競技」(コンペティション)」を開催。同社を含め3グループが応募したが、市と友好都市協定を結んでいるアメリカ・ロサンゼルスの郊外都市・パサディナ市の街並みをモチーフにした同社の提案が評価されたもの。市内で高齢化が目立つ武里団地に近接している。

 特徴としては、2段植栽を基本とし、緑の成長とともに成熟した景観を保つように「まちなみ景観協定」を導入。タウンゲートや共有スペースには四季の花を配す計画。各家庭から年間1万円ほどの管理費用を徴収して、管理組合が管理する提案を行っている。環境共生住宅の認定も受けている。

 このほか、千葉県野田市の「パレットコート七光台」でも高い評価を得た「灯りのいえなみ協定」を結び、街灯を始め門灯、ポーチ灯などを点灯する。

 建物外観は、開口部に鎧戸を設けた切妻屋根のモントレースタイル、切妻屋根と窓周りのトリムによる装飾を施したアメリカンスタイル、ゆるい勾配屋根と、下部を石積み調としたバンガロースタイル、明るいカラーリングを施したカントリースタイルの4種。

 住戸プランでは、1階リビングルームの天井高を 2.7 メートルとしているほか、ライフスタイルに応じた間取り変更などの希望にも応じる。

中内社長「世に布石を投じるプロジェクト」

「問い合わせ 100 組以上。1カ月で完売する」瀧口部長

 1期分譲は25戸で、中内社長は「学校跡地の住宅開発は珍しいと聞いているが、世に布石を投じるプロジェクト」と語り、物件担当責任者・同社事業部長・瀧口裕一氏は「すでに友の会会員から100組以上の問い合わせがあり、1、2期合わせ実質的に1カ月で完売したい」と意気込みを語っている。

学校跡地の分譲住宅を歓迎

 記者の住む多摩市でも、住民の高齢化・学童の減少による学校の統廃合が進んでいるが、その跡地利用についてはなかなか決まらない。民間への売却には住民の反対も多い。図書館とか高齢者施設、住民への開放、公園など公共施設利用を希望する住民が多いようだ。

 今回のように民間分譲住宅への利用は全国的にも珍しいようだが、大歓迎したい。街の活性化には賑わい施設も必要かもしれないが、もっとも効果的なのは人口、とくに子育て若年層が増えることだ。同社も郊外都市の活性化に寄与して欲しいものだ。

 それにしても、分譲価格を聞いてびっくりした。記者は、価格の上限を4500万円と見ていたが、3200万円台からで、最多価格帯は3800万円だという。割安感があるのは間違いない。駅から距離がややあり、高齢化が進む団地に近接するというハンディはあるが、早期完売すると見た。

魔の伊勢崎線&ヤ上を

 かつて記者は、価格が高くなるとさっぱりマンションが売れないという意味で魔の伊勢崎線≠ニ呼んだことがある。しかし、最近は複々線が進み、私鉄の中でもっとも利便性が高い沿線だと思っている。

 交通の利便性が高い割に価格が安いことから、最近分譲される大規模分譲マンションが飛ぶように売れている。

 にもかかわらず沿線イメージが高まってこないのは、沿線イメージを高めるデパート、ホテルなどの施設が一つもないことだ。少子・高齢化社会の到来で、これから益々都市間競争が激化する。都市のポテンシャルを高める方策を考えないと、いつまでたってもマイナーなイメージしか持たれないだろう。各自治体とデベロッパーなどが協力して沿線の活性化を考えるべきだ。魔の伊勢崎線≠返上して欲しい。

 次回に、マイナーイメージの伊勢崎線で、驚嘆すべきマンションがあることをレポートします。

タウンゲート

中内社長(中央)と滝口氏(右)
 
(牧田 司記者 12月10日)