ユニバーサルデザインの扶桑¢蛯ォな差別化の武器に

 

妊婦ジャケットを装着してコンセントを差し込む同社の渡辺聡さん(慣れないとかがむことは出来ない)

 

高齢者や妊婦の大変さを実感できる「体験コーナー」

 先日は、扶桑レクセル(中村護社長)の東武伊勢崎線のマンション「レクセルグランデ新越谷」について触れたが、今回もまた同社の同じグランデ<Vリーズの「レクセルグランデ石神井公園」について触れてみたい。

 「新越谷」でもそうだったのだが、今回は同社のユニバーサルデザインに対する徹底した取り組みについて紹介するのが目的だ。

 「石神井公園」は、西武池袋線石神井公園駅から徒歩19分、又はバス5分、「三軒寺」バス停徒歩4分の練馬区谷原5丁目の一角に建設中の4階建て全60戸の規模だ。現在販売中の1期20戸の専有面積は約66〜100平方b、価格は3660万〜5770万円(最多価格帯3800万円台、4600万円台)、坪単価180万円というものだ。設計・監理は日建ハウジングシステム。

 今年 9 月から分譲が始まっており、現在約半分が契約済みだ。駅からややあるのがハンディだが、車で通勤する人を中心に「気に入っていただける人はすぐ決まる」(同社、物件担当主任・渡辺聡氏)という。

 建物外観、仕様設備、商品企画などは「新越谷」とよく似ているので触れないが、驚いたことに、ユニバーサルデザインがいかに大事なことかを知ってもらうための「体験コーナー」が設けられていたのだ。

 記者がユニバーサルデザインに興味を持ち取材し始めて10年近くなるだろうか。この間、積水ハウスやポラスなどの先進的な取り組みを始め、ニチモ「町田」、三井不動産・名鉄不動産「戸塚」など優れたマンションを見てきた。

 しかし、これほどユニバーサルデザインの大切さを分かりやすく実際に見える形で示したマンションは初めてだ。

 例えば、妊婦の体験。妊婦がどれほど動きづらいかを体験させてくれる。重さ約10キロの妊婦ジャケットなるものを着装してコンセントを入れたり抜いたりすることができる。白内障眼鏡をかければ、色の区別がつかず、つまずきやすいことも体験できる。尺モジュールとメーターモジュールの違いも体験できる。急勾配と緩い勾配のスロープも体験できるようになっている。

 このほか、同社のユニバーサルデザインへの取り組みが251項目にわたっていることを一覧表にしている。

56歳にして初めて妊婦の大変さを経験

 この同社のユニバーサルデザインの取り組みが、果たしてどこまで販売に結びつくかは疑問な点もある。しかし、ユニバーサルデザインは販促手段ではない。全てのデベロッパーが真剣に取り組まなければならない問題だ。同社の取り組みが半端でないことは、主任以上の50〜60人の社員を奈良市にある積水ハウスの研修所に行かせて体験させていることからも理解できる。

 何もユニバーサルデザイン≠うたわなくともユーザーに理解されるのが本来の姿だが、デベロッパーの取り組みが遅れている現在、ユニバーサルデザインの扶桑≠ェ当分は大きな差別化の武器になりそうだ。

 それにしても大変貴重な体験をした。生まれて56年、妊婦の大変さを体験するなんて思いもしなかった。10キロの妊婦ジャケットを装着して、かがむことがほとんどできなかった。もっと若いときに体験していたら、もっと女性にやさしい、女性にモテる男になっていたに違いない。

階段左側は普通の階段。右側は赤い色をつけて段差があることをはっきりさせる工夫

  

体験コーナーに設けられた251項目にもわたる同社のユニバーサルデザインへの取り組み表

 

(牧田 司記者 12月15日)