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地価上昇 景気回復・旺盛な需要の反映

東京ミッドタウン51階部分からの東南方向の眺め

「東京ミッドタウン」51階部分からの東南方向の眺め

 

■名古屋圏は活況を呈する地域経済の反映

 平成18年の地価公示が国土交通省から発表された。大都市圏の地価上昇は予想されていたこととはいえ、上昇率の大きさには正直驚かされた。全国の商業地で上昇率ナンバー 1 になった名古屋駅前では38.0%にもなった。上昇率ベスト10 のうち8地点が名古屋市というのも驚きだ。

 ただ、名古屋圏はトヨタを始めシャープ(三重県亀山市)など好業績企業が地域経済を引き上げており、地価上昇もその反映と受け取れる。先ごろ内閣府から発表された03年の都道府県民1人当たり所得でも、愛知県は東京都に次いで2位であり、三重県は前年15位から9位に躍進した。名古屋圏の地価上昇は、経済活況を背景に当分続くのではないか。

都心部の住宅地上昇も当然の結果

 住宅地では、全国上昇率ベスト10のうち港区が9地点を占めた。全国上昇率トップとなった南青山の上昇率28.8%や2ケタアップが激増したのは驚きだが、これも実勢地価上昇を追認したに過ぎない。

 港、渋谷、千代田、中央などの都心部の住宅地はまだ上昇余地がある。例えば港区。同区はバブル崩壊後、今日に至るまで一貫して富裕層が増えつづけている。課税標準額2000万円以上の富裕層は東京 23 区には全区民の約1%、約4万4000人いるが、港区の富裕層は区民の約5%、約4400人もいる。所得額もケタ違いだ。1平方b当たり100万円台(坪500万円以下)の地価水準はまだまだ安い。

旺盛なマンション需要が地価上げる

 23区の地価上昇も、旺盛なマンション需要が背景にある。23区のマンション単価水準は、地域によってまだまだ割安感がある。例えば、三井不動産などが開発を進めている「芝浦アイランド ケープタワー」(1095戸)は坪単価220〜230万円で、準都心部・郊外住宅地なみの安さだ。すでに700戸が売れているというが、当然だろう。

 マンション需要層の中心をなす30歳代のファミリーを始め単身女性、DINKS、熟年層、団塊ジュニアとかつてない裾野の広がりを見せている。景気回復、株価上昇の追い風もあり、マンション市場の活況もまた当分続きそうだ。地価を押し上げるのは間違いない。野村不動産副社長・高井基次住宅カンパニー長は「東京市場から坪単価200万円が消える」と冗談交じりに語ったが、真実味を帯びてきた。

郊外部にも地価上昇は波及

 郊外部でも都心部の地価上昇が波及しそうだ。すでに人気エリアのマンションは坪単価200万円を突破しているが、30歳代ファミリー層の取得能力からして、坪単価は180万円ぐらいまでは上昇する可能性が高い。 したがって、地価水準も全体的に引き上げられることになりそうだ。

 過熱気味の不動産投資だが、これも「Jリートは時価総額10兆円までは伸びる」と関係者が語るように、現状より2、3倍は拡大する。賃貸利回りからして、人気エリアでは地価は一種当たり坪1000万円ぐらいの水準まで上昇しても不思議でない。

 一部にはバブル再燃を懸念する声もあるが、当時と価格水準は全然異なる。地価上昇を吸収するだけの余力は十分あるのがいまの市場だ。

(牧田 司記者 3月24日)