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野村不動産ホールディングスが上場

凄い出来高に証券会社営業マンも驚く

 

 大手デベロッパーの中で唯一上場していなかった野村不動産ホールディングスが10月3日、東証1部に上場した。売出価格3500円に対し買い気配で始まり、初値がついたのは10時ごろで、3900円となった。出来高も10時30分段階で約1780万株となっており、700億円を超える取引となっている。ある証券会社の営業マンも「凄い出来高」と驚いている。 

 同社は、他のデベロッパーと同様、仲介、ビル、不動産投資事業なども行っているが、何といってもプラウド≠ノ代表されるマンションや建売住宅の分譲事業に特徴がある。

 同社の分譲事業が一変したのは、代表取締役会長の中野淳一氏が社長に就任した平成7年あたりからだ。それまで高かった地方圏での事業比率を首都圏中心に転換、商品企画の充実を図った。どちらかといえば「中の上」ぐらいの設備仕様、デザインなどを一気にトップクラスに引き上げた。

 そして、2003年から分譲マンションや建売住宅のブランドを「プラウド」に統一したが、その第一弾「プラウド柏」53戸を、昨年亡くなられた住宅評論家・佐藤美紀雄氏と一緒に見学して、記者は驚愕したのを覚えている。

 駅から徒歩5分ぐらいの絶好の立地で、二重床・二重天井、逆梁ハイサッシ、最新のセキュリティシステムの採用など、都心の高級マンション並みの仕様を盛り込んでいたのと、当時の柏駅圏の相場坪160万円をはるかに上回る180万円ぐらいに価格を設定していたからだ。この価格設定に、同業他社はあ然としていたのも記憶している。

 この商品企画が見事に的中し、瞬く間に完売となった。このとき「これからは野村不動産の時代が来る」とつくづく思ったものだ。その土地の魅力を最大限に引き出し、顧客の満足度を高める商品企画力が図抜けていたからだ。その後、プラウド≠ヘトップマンションブランドとしてユーザーに浸透していった。

 建売住宅も同様だ。バブル崩壊後、ほとんどのデベロッパーは大型団地の開発から撤退したが、同社だけはかたくなまでに街づくり≠ノこだわり、ヒット作を供給し続けている。

 一般投資家にとって嬉しいのは、取引単元株が100株単位で、他の大手デベロッパーの1000株と比べ、手軽に投資できる点だ。同社の上場は、他の大手デベロッパーの取引単元株の見直しを促進するきっかけになるのは間違いないだろう。

 

(牧田 司記者 10月3日)