RBAタイムズHOME > 2006年 >

 

 三井不動産レジデンシャルに期待するもの

 

 

三井不動産レジデンシャル・松本光弘社長

パークホームズ≠フ復権を

 三井不動産グループは10月1日、これまで三井不動産と三井不動産販売に分かれていた住宅分譲事業の経営資源を統合、製販一体の新会社「三井不動産レジデンシャル」を設立した。

 住宅分譲事業は、バブル崩壊後の社会情勢の変化、つまり@法人所有地の流動化A投資家資金の流入B公的セクターの不動産所有の見直しなどにより事業チャンスが広がり、その一方で、少子高齢化の進展、単身者・DINKSなど小家族世帯の増加、ライフスタイルの多様化など、ニーズの多様化も進んでいる。

 このような時代の変化に迅速に、かつきめ細かに対応するために製販一体の体制を築くことが必要というのが新会社設立の理由だ。

 こうした新会社設立の理由や経緯を説明するため、三井不動産・岩沙弘道社長と三井不動産レジデンシャル・松本光弘社長が10月10日、都内のホテルで記者発表を行ったが、2人とも「住宅分譲事業は本業中の本業。スピード感をもって対応していく」(岩沙社長)「多様化したニーズをきめ細かに対応するには製販一体が必須」(松本社長)と、迅速・きめ細かな対応を強調した。

 新会社は、2008年度までに売上高3200億円( 05 年度想定合算2600億円)、営業利益300億円(同230億円)、分譲戸数7000戸(同5700戸)、取り扱い戸数1万3000戸(同1万2000戸)を目標とすることを明らかにした。

 従来、製販一体か分離かの論議は度々されてきた。どちらがいいか、おそらく結論は出ないだろう。双方それぞれにいいところとがあるはずだ。要は、製造する側が企画意図をしっかり販売する側に伝え、販売する側は企画意図がユーザーに伝わっているかどうか、改善点はどうかなどを製造側にフィードバックさせることだと思う。

 この点からすれば、この業界は問題が多い。売れないのを販売のせいにしたり、商品企画のせいにしたり、お互いが責任のなすりあいを行ってきた。販売現場のスタッフの資質が低いのを、記者は何度も経験してきた。

 三井不動産レジデンシャルがこれらの問題を解消し、分譲事業のモデルになることを期待したい。同社の個別ブランドでは、高級マンションのパークマンション≠ニ、複合開発のパークシティ=Aタワー型のパークタワー≠ヘ業界でもトップクラスだし、現在路線を踏襲してほしい。

 改善してほしいのは主力ブランドの一つパークホームズ≠セ。パークホームズは、昭和 50 年代から 60 年代の前半にかけて圧倒的なブランド力があった。工業系や商業系立地がほとんどなかったように環境に恵まれたものばかりで、商品企画も優れていた。今では当たり前となっている戸建て感覚、ライトウェルなども、民間で最初に採用したのは三井不動産だった。

 ところが、バブル発生と崩壊後は、他社の追い上げもあってブランド力が相対的に低下したのは否めないだろう。

 パークホームズを復権させ、製販一体の成果を現場で実感するのを楽しみにしている。

(牧田 司記者 10月13日)