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アキュラホームが優勝 ポラス5連覇を逸す

「第9回木造耐力壁ジャパンカップ」

優勝したアキュラホーム+東大木質材料科学研究室の「隠れ筋かい」チーム(ジャンパー姿が宮沢社長)

 

ジャパンカップは、日建 first class 「ゴエモン参」

 実物大の木造耐力壁を組み立て、足元を固定した状態でどちらか一方の壁が破壊されるまで戦う「第9回木造耐力壁ジャパンカップ」が12月2日、埼玉県行田市のものつくり大学で行われ、アキュラホーム+東大木質材料科学研究室の「隠れ筋かい」がポラスグループのポラス暮し科学研究所「七式−改良8型」を破り初優勝した。ポラスグループは大会5連覇を阻まれた。総合評点のもっとも高い壁を表彰する ジャパンカップは、日建 first class の「ゴエモン参」が獲得。

 この日行われた決勝トーナメント戦は、参加30チームの予選トーナメントを勝ち抜いたベスト8が参加。

 審査は、それぞれ規定に従い材料点、加工点、施工点、環境点、耐震性能点、デザイン点が計算され、総合得点で順位が決められる。

 試合は、土台を固定して並べた耐力壁の桁同士の間にジャッキを装着、綱引きとは反対にジャッキを縮めて引き合うという方法で、徐々に負荷をかけていくというものだ。どちらかが破壊されるまで引っ張り合うか、破壊されない場合は壁のゆがみが少ないほうが勝ちとなる。

 審査員は日本住宅・木材技術センター理事長・岸純夫氏、山辺構造設計事務所・山辺豊彦所長、ものつくり大学建築技能工芸学科教務職員・町田清之氏の各氏。

 その他の部門賞は次の通り。

 ●耐震部門 ポラス「七式−改良8型」

 ●デザイン部門 四国職業能力開発大学校「 Wall 肆伍玖」

 ●加工・施工部門 ちーむ日建「従兄弟のやといさん」

 ●環境部門 四国職業能力開発大学校「 Wall 肆伍玖」

 ●審査員特別賞 アカデミーズ「十文字壁」

「まさか勝てるとは…。非常に嬉しい」アキュラホーム宮沢社長

左がアキュラチーム、右がポラスチームの構造壁(右のほうが歪みが大きいのが分かる)

 決勝戦は準々決勝、準決勝とも圧倒的な強さで勝ち抜いてきたアキュラチームとポラスチームが対決。

 試合は、最大負荷が30キロニュートンを超える「かつてないハイレベルの戦い」(大会関係者)となったが、37キロニュートンの段階で、ポラスの耐力壁が破壊され勝負が決った。

 優勝したアキュラホームの耐力壁は、縦材として4本の柱を配し、その間に一見ランダムと思える正角材を配置したものだが、正角材がかすがい≠フ役割を果たすよう綿密に計算されたものだという。

 優勝した同社・宮沢俊哉社長は、「今回が3年目の挑戦だが、相手(ポラス)が強いのは分かっており、負けると思って来た。勝てて非常に嬉しい。4本の柱のバランスがよく、柱間の細切れの正角材は昔のヌキ工法≠ェ正しいことを証明してくれた。実用化も目指したい」と、喜びを語った。

健闘を称えあうアキュラホ−ム宮沢社長(右)とポラス菅原所長

「真っ白。また1から出直し」ポラス菅原ポラ研所長

 一方、。昨年は1、2位を独占したが、今年はアキュラホ−ムに敗れ5連覇を逸したポラスグループのポラス暮し科学研究所所長・菅原庸光氏はショックを隠せず、「真っ白。また1から出直し」と言葉少なに語った。

 昨年は優勝した「胡座ッ渋:筋かいの逆襲」の作業責任者として采配を揮った同研究所・上廣太氏はこの日は観戦。「40キロニュートンぐらいで大丈夫と考えていたが、おごりがあった。悔しい。来年頑張る」と巻き返しを誓った。

 ジャパンカップ優勝した「ゴエモン参」の耐力壁。アキュラホ−ムには完敗したが、関係者の間では高い評価を得ていた。

 平成建設チームのメンバー。ポラスには敗れたが、関係者の評価が高く、予選でも1位とあって、リーダー格の同社大工事業部次長・桜井謙治氏(前列左から2人目)は「歴史ある大会で総合優勝できて嬉しい。2連覇を目指します」との優勝コメントを練習≠オていたが、結果はまさかの4位。

 同社は静岡県沼津市に本拠を置く従業員約300人の会社。今回のスタッフの1人、是枝圭氏(27歳)は、「誰でも社長になれるチャンスがある会社」と、自らをアピールしていた。

 

 四国職業能力開発大学校「 Wall 肆伍玖」チームの内藤誠氏(24歳、左)と松岡竜二氏(20歳)。材料費の安さ、施工のしやすさ、解体時間の短さなどで高い評価を得て、見事総合2位に輝いた。

 

 ポラスの関係者(左から菅原氏、上廣氏、原田氏)。試合後は「今年は無冠に終わるかも」としょげ返っていたが、耐震部門(破壊するまでの総エネルギー量を評価するもの)で優勝し、溜飲を下げていた。

日本建築専門学校「チーム日建」のメンバー(左から加藤清、石川源明、加藤聖士くん)

審査員の各氏(左から山辺、岸、町田氏)

 

試合の成り行きを見つめる大会関係者

(牧田 司記者 12月4日)