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2014/02/04(火) 11:59

木造建築の可能性拡大へ大きな一歩 国交省が建基法改正へ

投稿者:  牧田司

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社会資本整備審議会建築分科会 建築基準制度部会

 木造建築の可能性拡大へ大きな第一歩-国土交通省は2月3日、木造建築物の今後の建築基準制度のあり方について検討してきた社会資本整備審議会建築分科会・建築基準制度部会の「木造建築関連基準等の合理化及び効率的かつ実効性ある建築確認制度等の構築に向けて」(第二次報告)をまとめ発表した。

 報告では、3,000㎡以上の木造建築物は主要構造部を耐火構造とすることが義務付けられており、3階建ての学校などは耐火建築としなければならない点について「新技術の導入の円滑化や設計の自由度向上のため、これらの基準について性能規定化を図り、要求する性能及び性能を満たす一般的な構造方法等を明確に示す必要がある」とし、「延焼を防止できる性能を有する防火壁等で有効に区画した場合には、耐火構造以外の木造建築物であっても床面積3,000㎡を超えて建築することが可能となるよう規制を見直し、防火壁等の区画に求められる性能及び一般的な構造方法等を定める必要がある」としている。

 また、「3階建ての学校等についても木造の準耐火建築物とすることが可能となるよう規制を見直し、主要構造部等に求められる性能及び一般的な構造方法等を定める必要がある」としている。

 確認検査制度については、構造計算適合性判定(適判)の対象の合理化・質の確保、確認手続きや型式適合認定手続きの合理化、昇降機等の維持保全の徹底などを求めている。

 さらに、「現行の技術的基準に適合しない新たな構造方法等について、必要な性能を有する場合には国土交通大臣が認定を行い、実用化を可能とする仕組みを検討すべきである」としている。

 井上俊之住宅局長は、「旧建基法38条の復活など長年の懸案・宿題に答えていただいた。ほっとしている。報告は手続きを経て答申としてまとめ、今国会に法案を提出する」と語った。

◇       ◆     ◇

 「木造建築の可能性拡大へ大きな第一歩」と書いたが、間違いでないと思う。国は平成22年、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を定め、木造建築の拡大を図っているが、耐火・準防火の規制の壁に阻まれ遅々として進んでいない。小規模のトイレや倉庫ばかりだ。

 最近脚光を浴びているCLT(クロス・ラミネーティッド・ティンバー)を採用した住宅を「エネマネハウス2014」で見学したが、現在の建基法ではまず大規模建築は不可だ。

 今回の報告は、木造の大規模建築や中層ビル・マンションへの道を開くものだ。今回の報告について、CLTを推進している銘建工業の中島浩一郎社長にコメントを取ろうと電話したが、今週いっぱいは海外出張とのことでコメントは取れなかったが、井上住宅局長の「10年来の、20年来の懸案に答えを出した」という言葉がその可能性を雄弁に語っている。

 しかし、まだまだ問題はある。会合で久保哲夫・分科会長は「建基法ができて60年が経過する。高齢化が進んでいる。抜本的な見直しが必要」と述べた。これに応え、井上住宅局長は「山に例えれば富士山とエベレストくらい。これから越えなければならない課題は多い」と話した。

 厳しすぎる耐火・準防火基準を含め建基法の抜本的改正を行うべきだ。

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