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2017/05/25(木) 15:27

業界初「見て、触れて、学べる」体験型研修施設「すまラボ」 三井不レジサービス

投稿者:  牧田司

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屋内消火栓放水体験(消防士でも17~19秒かかるのに同社の若い女性の記録は2秒とか)

 三井不動産レジデンシャルサービスは5月25日、マンション管理について「見て、触れて、学べる」体験型研修施設「すまラボ」を豊洲本社内に開設し、6月から同社が管理するマンションの管理組合・居住者にも公開すると発表した。

 東京都から東京都職業訓練校としての認定を受け、訓練校初の「コンシェルジュ養成コース」をはじめとする社内研修のほか、管理マンション居住者や近隣地域住民を対象としたコミュニケーションイベントスペースとして利用できるようにしている。

 「すまラボ」では、「火災時の実物消火栓での放水体験」や「避難の際のバルコニー隔壁板蹴破り体験」など多くの体験型研修企画を盛り込み、従来の施設とは一線を画した体験型コミュニケーション研修施設になっている。

 発表会に臨んだ同社執行役員・山村勝治氏は、「私が入社した昭和62年はまだ〝住宅すごろく〟(国土交通省調査による永住希望は31.1%)が通用していた時代だったが、現在は当社が管理する約25万戸のマンション居住者の65%(同52.4%)が永住を希望されるなど劇的に変化した。これまでの『安心・安全』に加え、『快適』『便利』へとお客さまのニーズは多様化・高度化している。ハードはもちろん、変化する居住者ニーズに対応するためソフトを含めた管理の品質の向上を図るのが目的」と開設の理由を話した。

 同社関係者によると「ビル1棟が施設の会社もあるが、このようなソフトを重視した体験型の施設は業界初だと自負している」と語った。

 場所は、東京メトロ有楽町線豊洲駅から徒歩6分、NBF豊洲キャナルフロント5 階。面積は約230坪。エントランス、コンシェルジュカウンター、専有部モデルなど11のエリアに分かれている。

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隔壁板け破り(ハイヒールのヒールで蹴ったほうが安全だと記者は思う)

◇       ◆     ◇

 マンション管理会社はほとんど情報開示をしないのも原因だろうが、よくもまあ「マンションは管理を買え」などと恥ずかしい記事を書いてきたものだと改めて感じた。驚愕ものの見学会だった。

 これまで、管理会社の研修施設は3カ月前、大京アステージの施設で1日体験取材をしており、三井不動産レジデンシャルサービスの「月島」で2度くらい取材したことがある。長谷工コミュニティの施設もずいぶん昔だが見学している。

 これだけで同業他社との比較は難しいが、同社関係者が「うちが初めてだと自負している」の言を借りれば、「驚愕もの」という表現は的を外していないのだろう。

 マンションの基本的な構造、設備仕様、管理会社の日常業務などはどこにでもあるが、隔壁板を破るのにどれだけの力が必要なのか、スプリンクラーが作動したら1分間に約80リットルの水が出るそうだが、それがいったいどのようなものかを見たり、消火時間を競い合ったりできるとか、避難はしごの使い方などが体験できることなど初めての経験だった。

 さらにまた、バリアフリー法と建築基準法の定めるスロープの差がどのようなものであるかも確認できる。4階の「お客さまセンター」では、スタッフが1日24時間365日体制でどのような対応をしているかも、ガラス越しに見ることができる。このガラスがまたスグレモノで、スイッチ一つでスモークガラスに変わり中の様子が見えなくするようにもできる。

 これを見て、マンションの窓に採用したらカーテンが必要なくなるととっさに考えたが、相当高価なものらしく一般に普及するのは難しいとのことだった。

 「お客さまセンター」では1日300~350件の電話による相談に、平日日中は7~8名、夜中は2~3名で対応しているという。

 相談内容は同じようなものは多くて10%くらいだというから、実に多岐にわたっていることも分かった。

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専有部分の裏側エリア

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いろいろ設備エリア

◇       ◆     ◇

 同社は、この施設を管理員(同社はライフサポーターと呼ぶ)の研修や管理組合など向けに開設したが、記者はマンション購入を検討している人向けにも公開してはどうかと思う。モデルルームなどではここまで基本性能、構造、マンションの管理がどうなるかを説明しない。仮に口頭で説明してもユーザーが深く理解することは不可能だ。

 ここに来れば、それこそマンションのイロハが分かる。同社と同業他社との比較(劣っているものは見せないだろうが)が一目瞭然となれば、マンション販売促進につながる。

 もう一つ考えたのは、近い将来深刻化するマンション管理員不足に対応するため、高いスキルと人材確保のために同社は先手を打ったのではないかということだ。

 マンション管理業協会の岡本潮新理事長は、就任会見の場で「マンション管理は階層でいえばデベロップメントの下支え的な位置にランクされている。ハード・ソフト両面で事業体としてきちんと整備しないといけない」とし、私見としながらも女性・高齢者・外国人の活用は避けられないと語った。

 今回の「すまラボ」は管理組合に管理の質とソフトサービスの違いの「見える化」を図った。同業も対応を迫られるのは必至だ。新たな管理会社同士の競争に同社は火をつけたのではないか。マンション管理会社の変更のことをこの業界では「リプレイス」と呼ぶそうだが、劣悪なサービスしかしない管理会社は「リプレイス」される動きが加速するのではないか。

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水を操るエリア

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