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2017/12/02(土) 10:39

オーナーの思い×ポラスのこだわり 駅近と同額でもほぼ満室稼働 戸田の賃貸住宅

投稿者:  牧田司

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「CHOCOLAT(ショコラ)」

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オーナー・峯岸氏

 ポラスグループの賃貸住宅を手掛けるポラスグランテックは11月30日、埼玉県戸田市に完成させた南欧風デザインで街並みを形成した賃貸住宅「CHOCOLAT(ショコラ)」の報道陣向け見学会を行った。北戸田駅から徒歩16分の立地で、個性的な〝魂を込めた〟企画がヒットし、家賃は駅徒歩5分圏とほぼ同じ額ながら全4棟21室のうち入居を前に19室が契約済みだ。

 物件は、JR埼京線北戸田駅から徒歩16分、埼玉県戸田市笹目1丁目に位置する敷地面積1,629㎡(511坪)の全4棟。A棟は1LDK8世帯、延べ床457.89㎡、B棟は2LDKメゾネット2世帯・1R4世帯、 延べ床323.62㎡、C棟は2LDK2世帯、2LDKメゾネット1世帯、延べ床253.60㎡。D棟は2LDK4世帯、延べ床258.36㎡。投資額は約3億円。

 中庭を囲むように建物を配置。それぞれ城門(A棟)、ステンドグラス(B棟)、赤、木製ドア(C棟)、個性的な窓枠(D棟)などを設けているのが特徴。

 一般的な設計なら25~30世帯が建てられるが、差別化を図るためあえて21世帯に抑制。短期的な利回りよりも入居者が「長く住みたい」「家族が増えたら敷地内の広い間取りの部屋に移りたい」と考えてもらえるよう長期安定経営に主眼を置いている。

 中庭には石畳調のスタンプコンクリートを採用、街路灯も設置、夜はライティングで表情を変える演出を行う。駐車場は敷地外に確保して景観を守っている。

 同社部長・篠田則夫氏は「戸田市は人気が高いが、ライバルも多いので差別化を図る意味で他社と一線を画し、サブリース・利回り優先ではない、街並み形成、コミュニティ醸成などに力を注ぐなど魂を込めた。〝一生賃貸〟という最近の若者のニーズも吸収した。地主向け内覧会には2日間で50名が参加したように評価を得た」と話した。

 オーナーの峯岸昭幸氏(55)は、「映画の舞台にもなった『世界一美しい村』ともいわれる仏フラヴィニー村に感銘を受け、その世界観に最も近かったポラスの分譲住宅の街並みを取り込めないかと同社を選定した。9割以上思っていたことが実現できた」とコメントした。峯岸氏は2年前にIT企業を退職してストレージ・ソリューション社を設立。現在、賃貸住宅27棟(計画中含む)118室(同)を所有・管理している。

 関係者などによると、入居者募集は7月末から開始し、これまでに19室が契約済み。坪単価は駅5分圏内の相場とほぼ同じくらいの約6.1~7.5千円。実質利回りは8%確保できているという。

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夜景

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中庭

◇       ◆     ◇

 賃貸住宅のことはよくわからないのだが、なぜ駅から16分もあるのに、駅近の相場と同じ賃料でほぼ満室稼働できるのか信じられない。オーナーの熱い思いと、ポラスグループの地主にこびない企業姿勢がぴったり合致したのが成功した要因のすべてだろう。以下、感じたままを記す。記者の心の動きが分かっていただけるはずだ。

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ゲート

◇       ◆     ◇

 戸田駅に着いたとき、昼過ぎなのに空は暗く冷たい雨が降っていた。嫌な予感がした。同社が手配したタクシーに乗ったのはいいが、現地まで10分近くかかるではないか。いくら経済設計の利回り優先の賃貸でも、これでは歩けない(あとで聞いたが、北戸田駅から徒歩16分)。最初は入居者が決まるかもしれないが、空いたが最後。ずっと空き家になるのは必至だ。誰が入居するのか。安かろう悪かろうの賃貸など見たくない。気安く見学の誘いを受けなければよかったと悔いた。

 現地の建物を見たときは、嫌な予感はいくらか薄れた。間口が23m以上あるシンメトリーの建物はなかなか見栄えのするものだった(これがA棟)。中央にゲート(城門)が設えてあった。外観の素材はともかく邸宅ともいえるデザインが美しかった。

 そのゲートを潜ったとたん、景色が変わった。広いパティオ(中庭)が広がっていた。一世を風靡したセボン(大伸フード)を思い出した。南欧風のRC造の分譲タウンハウスに購入希望者が列をなしたあの光景がよみがえった。

 それでも期待が膨らむことはなかった。〝利回り優先とは一線を画した〟〝街並みを造った〟〝コミュニティを育む〟〝魂を込めた〟〝これしかないと即決した入居者もいた〟〝通る人がみんな眺める〟〝ポラスの街並みが気に入った〟-など関係者、オーナーが熱っぽく語っても半信半疑で聞いていた。地主の道楽で建てたのではないかと。

 配布された資料の図面を見て、疑念がまた湧いてきた。プランはよくできているとは思ったが、図面ではB~D棟は接道しているようには見えなかった。つまり〝違法建築〟ではないかと。

 しかし、その疑念は設計監理を担当した同社係長・岸野真奈美氏の説明で氷解した。敷地は3方に接道しており、幅2mの避難通路も確保されていた。これには驚いた。普通ならレンタブル比率を高めるため分棟などしないで戸数を増やすはずだ。

 それ以降は驚きの連続だった。一番びっくりしたのは本物の木製玄関ドアが採用されていたことだ(他は普通のスチールドア)。法令にも対応しているとのことだった。

 手すりなどにはオーダーの鋳物が使用され、立派なステンドグラスも2カ所に設置されていた。壁の張替のコストを考え、クロスは上部と下部を分けるボーダーを設けている-なるほど、これがメリハリか。愚鈍な記者にも知恵の輪が解けた。〝魂を込める〟ことがどれほど大事かまた学んだ。

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居室

 

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