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2022/03/13(日) 17:38

積水ハウス 2022年1月期決算 大幅増益 第5次中計目標達成に自信 仲井社長

投稿者:  牧田司

 積水ハウスは3月11日、オンラインによる2022年度 経営計画説明会を開催。2022年1月期決算は、売上高2兆5,895億円(前期比5.8%増)、営業利益2,301億円(同23.4%増)、経常利益2,300億円(同24.6%増)、純利益1,539億円(同24.6%増)と増収増益。主力の戸建て・賃貸住宅など請負事業、リフォームなどのストック事業、マンションなどの開発事業、国際事業などほとんどのセグメントで増収増益となった。

 2023年1月期業績予想は、受注も好調に推移していることから売上高2兆7,870億円(前期比7.6%増)、営業利益2,360億円(同2.5%増)、経常利益2,340億円(同1.7%増)、純利益1,580億円(同2.7%増)を見込む。

 また、期末配当は1株45円から2円増配の47円とし、年間90円(前期実績84円)に増配するとともに、次期配当も第2四半期末配当47円、期末配当47円の通期94円を予定していると発表した。

 経営計画説明会で同社代表取締役社長執行役員兼CEO・仲井嘉浩氏は、業績が好調に推移したのは、第5次中期経営計画(2020年度~2022年度)で掲げた基本方針「コアビジネスのさらなる深化と新規事業への挑戦」が間違っておらず、「住を基軸に、融合したハード・ソフト・サービスを提供するグローバル企業」を目指す付加価値の高い住宅供給が寄与したと話した。

 業績伸長の要因として、最大スパン9mの無柱大空間を実現(2017年)したハード、2018年に発足させた〝幸せ〟を研究する「住生活研究所」と、その研究成果である「ファミリー スイート」のソフト、2019年に開始した「健康」「つながり」「学び」の無形資産を生み出すサービス「プラットフォームハウス構想」が顧客に評価されたことを強調した。

 2023年1月期を最終年度とする第5次中計については、「原油高などによる資材の値上がりは避けられず、価格に転嫁できない130億円の利益減を織り込み済みでも目標達成は可能」と述べた。

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 決算数字は非の打ち所のないものだった。仲井社長が強調した「ハード・ソフト・サービスの融合」の歯車がうまく回転しているということだろう。

 記者が注目したのは、1時間の説明会の最後に仲井社長がわが国の住宅ストックの状況について触れたことだ。

 仲井社長は、「戸建て・長屋ストック2,920万戸のうち旧耐震でかつ耐震性不足住宅は17%該当する500万戸もある。当社が年間供給する住宅の500年分だ。また、現行の省エネ基準を満たす住宅ストックは全体の5,000万戸のわずか13%しかない。諸外国と比較して基準は低くても建てられる」と語った。

 記者はこの言葉を聞いて、同社の業績が伸びているのは、〝易きに流れる〟真逆の経営姿勢を貫いているからだろうと理解し、どんどん質が低下している現状の住宅業界に対する警句だと受け止めた。

 説明会が行われたこの日は3.11から11年目の日だ。30年以内の発生確率が70~80%と言われる南海トラフ巨大地震が発生したら、現状のままでは東海、近畿、四国、九州のどこでも死者は約11万~32万人、全壊・焼失建物は約80万~210万棟、経済被害は約124兆~207兆円と推測されている。

 災害対策は喫緊の課題だ。例えば木造造住宅密集地域(木蜜地域)の解消。都は約8,600haあるとされる木蜜地域のうち、特に被害が甚大とされる52地区、約3,200haを「不燃化特区」に指定し、建て替え助成や固定資産税の減免など支援を行っているが、2025年目標の不燃化領域率70%を実現するには取り組みを加速させる必要があるとされている。

 記者は、木蜜地域の解消は、建て替え補助や固定資産税の減免だけでは難しいと考えている。むしろ逆で、建築規制を強化し課税も強化する。〝ごね得〟も許さない。集団的建て替え替えに反対する地権者には私権の制限を行い、土地収用権を行使する以外方法はない。強権的に土地を収用すれば居住権の侵害につながる可能性はあるが、建て替えによって得られる利得を上乗せし、立ち退き・移転費用を負担すれば法的にも問題は生じないのではないか。

 木蜜地域での敷地が20坪以下の狭小住宅が隠花植物のようにじわじわと領域を広げているのが気掛かりだ。

 

 

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