RBA OFFICIAL
 
2023/04/15(土) 16:05

神田警察通り道路整備事業で〝暴力的な妨害行為〟 千代田区の文書には嘘2つ

投稿者:  牧田司

IMG_6333.jpg
伐採されたイチョウ

 東京都千代田区は4月12日、「神田警察通り道路整備工事における暴力行為について」というタイトルの樋口高顕区長名の文書を区のホームページに掲載し、「4月11日(火曜日)早朝、神田警察通り道路整備工事の作業において、安全確保のフェンスを設置中に、工事の反対者の体当たりなど暴力的な妨害行為により、警備員と区職員の2名が転倒させられ負傷する事案が発生しました。警備員は全治4~6週間の重傷で、区職員は軽傷を負っています」と報告した。

 これに対して「神田警察通りの街路樹を守る会」は4月13日、樋口区長宛てに「ホームページ掲載文の撤回・謝罪を求める通知文」を提出。「私たち住民を『工事の反対者』と呼び、『暴力的な妨害行為』を行って警備員と区職員を転倒させて負傷させたという全く事実でないことを広報したことは…一般の区民から分断させようとする誤った広報活動」であり、「直ちに撤回し、私たちに対して謝罪することを求める」と抗議している。

IMG_6331.jpg
神田警察通り道路整備Ⅱ期工事区間

◇     ◆     ◇

 〝暴力事件〟が起きたのは4月11日の午前4時過ぎのようだが、双方の言い分は真っ向から対立している。区側にも住民側にも与しない、イチョウの味方である記者は現場を見ておらず、コメントのしようがないのだが、区側には明らかな嘘が少なくとも2つある。

 区の文書では「この間、一時、工事を見合わせました。しかしながら、双方の一致点を見出すことはできず、また『守る会』等の工事に反対する一部の方々による妨害行為もあり、工事が進められない状況になりました。その後、工事に反対する一部の方から、損害賠償請求訴訟、住民訴訟が提訴されるなど、双方が歩み寄るかたちで工事を行うことは難しいものと判断するに至りました」とあるが、整備事業を議会決定したのは令和3年10月13日であり、その後、工事には着手せず中断し、再開を決定したのは令和4年4月25日だ。この間、住民による妨害行為はなかったはずだ。反対運動を「妨害行為」と呼ぶなら、もう何をか言わんやだ。

 この「妨害行為」によって工事が進められなくなり、「双方が歩み寄るかたちで工事を行うことは難しいものと判断するに至りました」というのも明らかに虚偽だ。話し合い継続を断念し、「現在の一致点が見出せない状況が長く続けば、意見の対立を深め地域に亀裂を生じさせることにもなりかねないと認識」「(令和4年4月25日から神田警察通り道路整備Ⅱ期工事を再開したのは)行政として苦渋の決定」をしたのは樋口区長で、損害賠償請求訴訟、住民訴訟が提訴されたのは、そののち令和4年5月以降だ。

 行政文書は正確でなければならない。文書作成は職員が行ったのだろうが、関係者が読めば明らかに間違いであることは分かる。区長の鼎の軽重が問われる。

 ただ、工事をさせまいとイチョウに抱きつく住民の方もいかがなものか。中には若い方もいらっしゃるが、皆さんは記者と同様おじいさんおばあさんばかりだ。健康が心配だ。

 警察署にも一言。守る会の通知文によれば、救急車が出動したのを受けて住民が110番通報し、警察官を呼びだしたところ「私たちは中立の立場。区と住民とでよく話し合ってほしい」と話したそうだ。警察官とは〝事件〟が起きた目の前の神田警察署の警察官か。区が言う「反対者の体当たりなど暴力的な妨害行為」とは認識していなかったということか。さすがと言うべきか。

IMG_6334.jpg
神田警察通り道路整備Ⅰ工事区間

IMG_6276.jpg
区役所前で横断幕を掲げる「神田警察通りの街路樹を守る会」(3月30日写す)

「約束を反故。許せない」住民怒る 健全木のイチョウ 新たに4本伐採 千代田区(2023/2/7)

 

 


 

 

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン