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2023/05/11(木) 09:41

東急不HD 2023年3月期 売上高1兆円超だが 気になる住宅事業の利益率の低さ

投稿者:  牧田司

 東急不動産ホールディングスは5月10日、2023年3月期決算を発表。売上高は1兆58億円(前期比1.7%増)、営業利益は1,104億円(同31.7%増)、経常利益は995億円(同36.7%増)、純利益は482億円(同37.3%増)と増収増益。売上高が1兆円超となったのをはじめ営業利益、経常利益、純利益ともホールディングス体制への移行前も含めて過去最高となった。

 セグメント別では、都市開発事業の売上高は3,461億円(前期比6.2%増)、営業利益は586億円(同12.9%増)。渋谷を中心とするオフィス・商業施設の空室率は1.1%(前期末1.3%)と堅調に推移し、「九段会館テラス」の開業も業績向上に寄与した。住宅分譲は計上戸数減少により減収となったが、在庫整理が進み、マンションの今期売上予想1,218戸に対する契約済みは82%(同24ポイントアップ)と改善した。

 管理運営事業の売上高は3,371億円(同12.1%減)、営業利益は123億円(黒字転換)。「ハンズ」の株式譲渡により567億円の減収になったが、セグメント全体では減収増益となった。

 不動産流通事業の売上高は2,630億円(同12.1%増)、営業利益は337億円(同28.9%増)。売買仲介、不動産販売とも好調で増収増益となった。

 戦略投資事業の売上高は788億円(同17.6%%増)、営業利益は152億円(同3.4%増)。物流施設の売却や再生可能エネルギー事業の稼働施設の増加などが押し上げた。

 2024年3月期は売上高1兆1,200億円(前期比11.4%増)、営業利益1,120億円(同1.4%増)、経常利益1,005億円(同0.95増)、純利益620億円(同28.6%増)を見込む。

 また、純利益が直近予想の390億円から92億円増の482億円になったことから、期末配当は直近の配当予想から1株4円50銭増配し、14円50銭、年間配当金は23円50銭(前期実績17円00銭)とする予定と発表した。

◇      ◆     ◇

 売上高が初めて1兆円超となったのは、2000年以降は主たる収益源だった住宅事業からオフィス・商業施設など賃貸事業へシフトし、2014年には再生可能エネルギー事業に参入するなどポートフォリオの改善を進めてきた結果だ。

 しかし、同社の分譲事業を取材して記者にとっては、分譲戸建ての供給がほとんどなくなり、課題だったマンションの利益率改善もそれほど進んでいないのは残念でならない。

 同じような事業規模の東京建物(2022年12月期)と比較してみよう。マンションの計上戸数は東急が1,369戸、東建が859戸、売上高は東急が1,453億円、東建は859億円、営業利益は東急が111億円、東建が233億円、売上高営業利益率は東急が7.6%、東建が27.1%だ。完成在庫は東急が200戸、東建が175戸。営業利益は東建の約半分で、利益率は10ポイントもの差がある。他のデベロッパーと比較しても同様の結果となるはずだ。何かが欠けている。

 マンションの計上戸数が減少するのは「供給を抑えているためか」というメディアの質問に対して、同社執行役員・宇杉真一郎氏は「マンションの供給を抑えているというのは正確ではない。資材高騰などを価格に転化しづらい郊外から、利益率が高い都内・再開発物件にシフトしていくということだ。今期が底。来期以降は改善する」と説明した。この言葉を信じよう。とりあえず「ブランズ渋谷桜丘」155戸に期待しよう。

 

 

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