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2023/06/06(火) 13:25

農水省・経産省・国交省・環境省と「建築物木材利用促進協定」 ウッドデザイン協会

投稿者:  牧田司

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前列左から国土交通省住宅局官房審議官(住宅)・石坂聡氏、藤木氏、経済産業省製造産業局生活製品課長・田上博道氏、環境省大臣官房政策立案統括審議官・角倉一郎氏、後列左から吉田氏、奥氏、市川氏、松崎裕之氏(竹中工務店参与・佐々木取締役社長代理出席)

 日本ウッドデザイン協会(会長:隈研吾氏)は6月5日、農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省の4省庁と「建築物木材利用促進協定」を締結し、記念式典&ウッドデザインフォーラムを開催した。協定により幅広い業種・分野をカバーし、木材利用促進を図るのが目的。期限は令和8年3月末。

 協定の主な内容は、①ウッドデザイン賞を通じた木材利用の認知拡大、ノウハウの提供、事業者間マッチングの推進②異業種・産官学民で構成される協会会員及び地域が連携・協働する部会・分科会・ワーキンググループなどの企画・運営を通じて、木材利用の新たな技術開発・マーケティング手法などを開発する③地方公共団体、研究機関、関係団体との連携・協働により、各種セミナー、イベント、研修などを開催し、木材利用の分野拡大、クオリティの向上に取り組む④オフィスや商業施設などでの積極的な木材利用促進により、健康や安全、生産性向上などのメリットを享受しながら脱炭素化のシフトを支援し、環境保全にかかる行動変容を後押しする-など。

 隈会長はビデオメッセージを通じ、「木を使った新たなデザインの力で、社会課題の解決をめざすウッドデザインは持続可能な社会づくりを考えるときに欠かせないもの。大きな変化を経験した暮らしや環境のなかで、私たちは改めて木の魅力や、日本の持つ木の文化的価値に目覚めた。今求められていることは、木をテーマにつながった多様な産業、専門家、地域がより深く連携し、新たな価値をつくりだしていくこと。産官学民の連携をより強固にし、皆さんにはこれまで以上のご参加、ご協力を期待したい」と語った。

 ウッドデザインフォーラムでは、農学者で造園家の涌井史郎氏が「持続可能な未来を拓く、日本の木と森の文化」をテーマに講演を行った。涌井氏は中世のペストの流行が封建制から資本主義社会への転換を促し、19世紀のコロナは公共衛生と都市計画を生んだとし、今回の新型コロナのパンデミックは生物界からの現代文明への警告・警鐘と捉え、自然との共生・バランスを図るきっかけにしなければならないなどと語った。

     ◇      ◆     ◇   

 記者は、同協会からの取材案内に隈氏がビデオメッセージを寄せ、副会長の奥和登氏(農林中央金庫 代表理事理事長兼執行役員)、市川晃氏(住友林業代表取締役会長)、佐々木正人氏(竹中工務店取締役社長)または代理の方、吉田淳一氏(三菱地所取締役会長)が出席されるとあったので、楽しみにしていた。

 記念式典では、隈会長をはじめ来賓の藤木眞也・農林水産大臣政務官、経済産業省・国土交通省・環境省の代表の方6名全てが「大変嬉しい」と語った。木造ファンの記者も嬉しかった。

 一方で、ウッドデザインフォーラムで約45分間にわたって講演した涌井氏は前半の10分くらいの間に、少なくとも「残念」を6度発言した。自然・森林の果たしている価値が正当に評価されていない現状について語ったものだ。

 つまり「嬉しい」「残念」は表裏一体。4省庁との協定締結は嬉しいけれども手放しで喜べない。カーボンニュートラル実現への道のりは容易でないことを現実は示している。

 取材会では、各社の取り組みについて聞こうと思っていた。吉田氏には住宅・ビルなどの木質化の具体的な取り組みについて(同社はデベロッパーの先頭を切っていると思う)、市川氏には1,000億円の森林ファンドの意味するものや〝現し〟の重要性について、竹中工務店の方には施工上の課題についてなどだ。しかし、出席されたのはセレモニーのみで、一言も発しないで会場を後にされた。これはとても「残念」だった。

 同協会と各省庁には、アメリカなどで普及しているという景観価値を含めた樹木・緑の定量的評価制度「i-Tree Eco」を開発していただきたい。戦争に耐え、戦後の激動期を乗り切った街路樹が伐採・強剪定され、公園再生の名の下で大量の樹木が伐採されようとしている。開発か保護か、小生は人間中心主義にも非-人間中心主義にも違和感を抱いているが、歴史的に貴重な巨木は残すべきと考えている。

 「木育」にも力を入れていただきたい。先日、野村不動産と埼玉大学は子ども向けの授業向けプログラムを開発し、授業も行ったと発表した。資料を送ってもらったが、実に素晴らしい。同社は会員に入っていないようだ。

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 涌井氏の講演がとても面白かった。数回分の大学の講義をぎゅっと圧縮して話された。必死でメモを取ったが、ここで紹介する余裕はない。同協会はホームページなどで公開していただきたい。

 ただ一つだけ、先生の話に同意できなかったことがある。子どものタワーマンションからの転落事故が増えていることに関し、「高所平気症」がその原因ではないかと話されたが、そもそも超高層マンションが供給されるようになって40年そこそこだ。子どもの転落事故と関連付けるのは短絡的に過ぎる。もう少し科学的な分析・研究が必要ではないか。高齢者を中心とする大人を含めた住宅内事故は増えてはいるが、こどもの不慮の事故はこのところ激減している。

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涌井氏(ロイヤルパークホテルで)

「一般社団法人 日本ウッドデザイン協会」設立 会長に隈研吾氏(2021/12/9)

 


 

 

 

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