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2023/09/15(金) 08:21

「昭島」1期は262戸/建築費5割アップへ 2024年問題からみ深刻化 大和ハウス

投稿者:  牧田司

 大和ハウス工業は914日、2023年基準地価の取材に資する記者レクチャー会をリアル・オンライン形式で開催し、同社マンション事業本部事業統括部部長・角田卓也氏が分譲マンションについて、同社住宅事業本部事業統括部分譲住宅グループ次長・中岡敬典氏が分譲戸建てについて、同社流通店舗事業本部事業統括部開発事業部事業部長・岡林弘治氏がホテル・オフィスについて、同社建築事業本部営業統括部・Dプロジェクト推進室 担当次長・廣渡政和氏が物流事業についてそれぞれ説明した。

 角田氏は、首都圏マンションは都心部では富裕層やパワーカップルなどの需要が旺盛で、インバウンド需要がみられるとし、郊外部は実需層の安定した購入動向が見受けられ、販売価格も高水準が続いているが、需給バランスが均衡しているため下落傾向にはないと語った。

近畿圏は、首都圏と同様に都心部における販売進捗は比較的安定しており、供給が増加している京都府の郊外物件では首都圏のような需要は生まれていないと説明。地方圏では、「コンパクトシティ」への関心が高く、販売も安定的に進捗していると語った。

用地の仕入れについては、首都圏は前回の地価レクチャー会(2023年3月)から更に用地価格は上昇し、近畿圏では施工を自社で行う企業が入札案件では優位にあり、地方圏では計画通りに用地取得ができていないデベロッパーの進出が目立ち、用地の高騰が続いていると語った。投資需要、インバウンド需要も継続していると話した。

角田氏が売れ行き好調と紹介した物件の坪単価は、東京都昭島市の「プレミスト昭島モリパークレジデンス」(481戸)は250万円、北海道札幌市の「モンドミオ札幌 南三条通」(38戸)は310万円、秋田県秋田市の「プレミスト秋田中通ザ・レジデンス」(147戸)は170万円、京都府京都市の「プレミスト京都 四条堀川」(54戸)は370万円、愛媛県松山市の「プレミスト松山二番町」(93戸)は200万円、沖縄県浦添市の「プレミスト浦添港川」(168戸)は230万円。「昭島」の第1期は7月の段階では200戸の予定と話したが、反響が多いことからか262戸に積み増しすることを明らかにした。

 戸建分譲住宅について中岡氏は、対前年同期比の契約は土地が24%、分譲住宅が14%それぞれ増加、用地企画マネージャーによる用地確保も進んでいると語った。地価は首都圏・大都市圏は上昇基調にあり、資材全般・住宅設備機器も仕入れ価格は高度糊していると説明した。

分譲住宅の20234月~7月のZEH率は99%で、内訳は「ZEH」が19%、「NearlyZEH」が77%、「ZEH Oriented」が3%。202210月~20231月の95%を上回ったと話した。

木造分譲住宅の拡大に向けた取り組みとして、鉄骨系と同じ910モジュールを採用し、施工を効率化することでコストを抑制すると語った。今年度の着工計画は約150棟。

岡林氏は今後のホテル開発について、建築コストの上昇は客室単価の引き上げだけではカバーしきれず、人材不足もあり、以前より慎重な判断と開発段階でのコストコントロールが必要となってきたと語った。

オフィス開発については、潜在的ニーズがある地方での開発に引き続き力を入れていくとした。

廣渡氏は、首都圏の物流施設供給量は直近3年間で過去最大の供給が発生し、調整局面に入ったと説明。主な新規開発案件では東京23区で約14.8ha、千葉県で約30.6ha、群馬県で約2.4haのプロジェクトが進行中と話した。

        ◆     ◇

記者にとって最大の収穫は、建設業の2024年問題も絡んだ建築コストの上昇が深刻化しそうな状況にあることを確認できたことだ。廣渡氏は「これから発注する㎡当たりの建築原価は、これまでの40万円から60万円になることを覚悟しないといけないと社内では話し合っている」旨の発言を行った。坪単価に換算すると132万円から198万円へと、実に5割のアップだ。これには驚いた。

建築原価の上昇は、日本建設業連合会(日建連)の「建設資材高騰・労務費の上昇等の現状」パンフレット(20237月版)でも確認しているが、パンフレットでは「この29か月間で全建設コストは1618%上昇している」とある。廣渡氏はこれから更に50%上昇する可能性があると語ったのだ。

S造の物流施設とRC造のマンションと単純比較はできないにしろ、建築原価がこの先5割もアップしたら、首都圏では坪200万円以下のマンションは姿を消すことになる。記者は一次取得層が無理なく取得できる限界は坪250万円だと見ているが、郊外部でも限りなく取得限界に近づくということか。

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