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2023/12/01(金) 18:34

うろつくだけで工事妨害!? 暗黒社会へ突入 千代田区 イチョウ守る会を犯罪扱い

投稿者:  牧田司

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「極めて異例」「極めて疑問」「極めて異常」大城弁護士(東京高裁司法記者会で)

 千代田区の「神田警察通りの街路樹を守る会」は12月1日、緊急記者会見を開き、先に千代田区が行った債務者10人を対象とした、神田警察通りⅡ期道路工事区間の歩道・車道への午後8時から朝6時までの立入禁止を求める仮処分申し立ては反対者の表現活動を禁止するものであり、住民に対する執拗な写真撮影は、民主主義、住民自治に著しく反する行為と区側の対応を批判した。

 会見に臨んだ「守る会」の代理人弁護士・大城聡氏は約1時間の会見時間中に「極めて異例」「極めて疑問」「極めて異常」と「極めて」を3度も用い、仮処分申し立ては住民自治を根幹から揺るがすものと語り、「本日(1日)も工事が強行されるかもしれない。ぜひ現場を取材していただきたい」とメディアに訴えた。

 このほか会見で住民代表は「わたしたちは工事自体には反対していない。イチョウ並木を残してほしいと訴えているだけ。今回の仮処分申し立ては住民同士の溝を拡大するもの」「写真撮影は、工事を妨害しているという証拠づくりとしか思えない」と話し、元区議も「悔しくてしようがない。議会決議には瑕疵がある。工事強行には断固反対する」と語った。

◇        ◆     ◇

 この千代田区神田警察通りの街路樹であるイチョウ伐採に関しては数えきれないほど記事にしてきた。仮処分申し立ては昨日初めて知った。

 この日(1日)配布された申立書を読んで驚愕した。申立書は38ページにわたるもので、債権者は道路所有者の千代田区で、債務者は千代田区神田地域に住む住民8人と区議会委員2人の合計10人。具体的な「工事妨害」行為の証拠資料も添付されている。

 百歩譲って工事が合法とすれば、工事現場の立ち入りを禁止するのは当たり前だ。ところが、今回は妨害予防請求権なるものを根拠に「工事妨害者」を特定し、その人の道路通行を禁止するものだ。昨日も書いたが、これは反社会的勢力と同じ扱いだ。反社勢力だって公道を通ることは禁止されていない。これはもう魔女狩り、赤狩り、ホロコーストと本質的に変わらない。

 「妨害行為」とは何か、大城氏にその定義を訪ねたが何もないということだった。そこで、申立書に記載されている具体的な妨害行為について読んだ。中には「警備員引き倒す暴行」「債権者の職員を転倒させる暴行」などと、事実であれば行き過ぎた妨害行為と受け止められるかもしれないが、記者が知る「守る会」の人たちは圧倒的に女性が多く、年齢も60歳以上が大半だ。屈強な警備員を引き倒す力があるとはとても思えない。わが国には伝統的な大岡裁きもあるではないか。

 これらの事例はともかく、見逃せないのは、定義などないからそうなのかもしれないが、「妨害行為」かどうかの判断は区側に委ねられていることだ。区=善、祷民=悪の構図のもとに申立書は作成されているということだ。行政の無謬主義は改めるべきだと思う。

 具体的事例をいくつか紹介する。「債務者●●●は、本件工事区域の作業帯付近をうろつき工事を妨害した」「債務者●●●は、作業帯付近にいて、『なんで住民をいじめるんですか』などと大声で主張した」「債務者●●●は、作業帯付近をうろつき、債権者職員や作業員に対し、文句を言うなどの行為に及んだ」「債務者●●●は、債権者の職員や訴外大林道路の作業員等を自らの携帯電話のカメラ機能により撮影していた」「債務者●●●は、債権者の職員の行動を携帯電話で執拗に撮影していた」…。

 みなさん、いかがか。記者は昨夜、「撮影班」の背番号を付け、住民らを撮影してる人に取材目的である旨を告げ「わたしも同じように撮影していいか」と尋ねた。写真は債権者も債務者も区別なく撮影したが、「工事妨害」に該当するのかしないのか。

 これに関連することだが、記者は公務上の公務員には肖像権は存在しないという説に賛成だ。とくに今回のような事案では、むしろ公務員の行き過ぎた行動を監視する意味で写真撮影は有効だと思う。

 次にメディアについて。この日の緊急記者会見に出席していたのは小生を含め数人しかいなかった。裁判所データブック2023によれば、令和4年の全裁判所の新受全事件数は3,375,246件・人だ。一方、日弁連によると、2020年3月31日現在で弁護士は 42,164 人だ。全ての裁判に弁護士がつくかどうかは分からないが、1人当たり792件の計算になる。

 このような数字を見ると、今回の事案などはメディアも無視するのかもしれないが、大城弁護士が「極めて」を3度も口にしたように、民主主義、地方自治の根幹を揺るがす問題だと思う。会見で記者の方が〝回り道もある〟と行政側の考えを紹介したが、問題はそんなことではない。住民を犯罪者扱いすることの是非が問われている。

 これが通れば民主主義は死に(とっくに死滅したか)、ファシズムは床下あたりまで侵入していると考えたほうががいい。気がついたときは手遅れだ。

〝やめてくれよ区長さん千代に千代田のイチョウが泣いている〟30日夜の無法地帯(2023/12/1)

 

 

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