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2023/12/09(土) 20:46

着工減上回る価格(単価)15%上昇 崩れる需要と供給の法則 10月の住宅着工

投稿者:  牧田司

 国土交通省が1130日に発表した令和510月の住宅着工戸数は71,767戸となり、前年同月比6.3%減、5か月連続の減少となった。利用関係別の内訳は、持家は 18,078戸(前年同月比17.2%減、23か月連続の減少)、貸家は31,671戸(同1.0%減、3か月連続の減少)、分譲住宅は21,582戸(同1.2%減、5か月連続の減少)となった。分譲住宅の内訳はマンションが10,174戸(同9.4%増、4カ月ぶりの増加)、一戸建住宅は11,368戸(同8.8%減、12か月連続の減少)となった。

このほか、建築工法別ではプレハブが8,460戸(同24.0%減、5か月連続の減少)と大幅に減少した。

首都圏の総数は同3.8%減の25,813戸で、内訳は持家は同14.6%減の4,034戸、貸家は同5.7%減の11,529戸、分譲住宅は同3.7%増の10,203戸。首都圏マンションは5,063戸(前年同月比9.3増)で都県別では東京都1,926戸(同42.7%減)、神奈川県1,576戸(同358.1%)、埼玉県902戸(同 229.2%)、千葉県659戸(同0.5%増)。

        ◆     ◇

持家の着工戸数は23か月連続の減少となり、110月でも前年同期比10.6%減の189,532戸と分譲住宅の205,401戸(同4.3%減)を下回っている。暦年でも前年に続いて分譲住宅より下回る可能性が大きい。総数も前年を下回りそうだ。

しかし、この数値だけで今の市場を正確に読むことはできない。他の商品ならば、需要が減退すれば供給も減り価格も下落するはずなのに、建築着工・住宅着工にはその図式が当てはまらない。

令和410月の工事費予定額を床面積で割った坪単価は、建築物合計で76.7万円、用途別では居住用が70.5万円、非居住用は87.6万円、構造別では木造が58.3万円、非木造が91.1万円だった。

令和510月は、建築物合計で88.7万円となり前年同月比15.6%、用途別では居住用が81.3万円で同15.3%、非居住用は97.5万円で同11.3%、構造別では木造が70.1万円で同20.2%、非木造が98.2万円で同7.8%それぞれ上昇している。

おおよそ1坪当たり10万円、30坪の住宅で300万円の上昇だ。これをどう理解すべきか。資材、人件費の上昇を価格に転化しているからだろうが、果たしてそれだけか。需要と供給の法則は当てはまるのかそうでないのか、そうでないとすればこの先何が起きるのか。それとも、そもそも需要と供給の法則そのものが間違っているのか。

 こと住宅に関して言えば、魯迅の「故郷」の「もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になる」と一緒ではないか。これほど空き家が増え、人口が減る時代に住宅の需要などどこにあるのか。需要は供給者側が創り出すものだ。他者が切り開いた道をたどるだけではそのうち疲弊し、野垂れ死ぬ。自らが先頭に立ち、道を切り開いたもののみが生き残るような気がしてならない。

 

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