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2023/12/20(水) 17:32

暖房停めても室内温度変わらず 大和ハウス 賃貸住宅「GRACA(グラサ)」公開

投稿者:  牧田司

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「GRACA(グラサ)」の実棟

 大和ハウス工業は12月20日、二部構成の「2023年度 賃貸住宅事業 計画説明会」を開催。第一部では同社取締役常務執行役員 集合住宅事業本部長・出倉和人氏が事業環境と経営指数、エリア戦略、ZEH-M推進、分譲事業、オーナーフォロー、グループ連携などについて説明し、第二部ではZEH-Mに対応した都市型賃貸住宅商品「GRACA(グラサ)」の実棟見学会を実施した。

 出倉氏は、2023年度上期の集合住宅セグメントの上期実績は6,092億円、営業利益は601億円、営業利益率は9.9%と順調に推移しており、2023年度売上高計画12,000億円、営業利益1,170億円、営業利益率9.6%を達成する見込みであると報告した。

 賃貸住宅市場については、人口減が続いていることから着工戸数は漸減すると予測。首都圏以外では差別化を図った建物・付加価値を高めた物件を提供することが必要と話した。

 同社の取り組みでは、2022年10月に発売した軽量鉄骨造2・3階建て「TORISIA(トリシア)」を核に都市部向けの「GRACA(グラサ)」や中層以上のD.RCシリーズを強化すると話した。確認申請シェア(延床面積)は全国で13.1%(大東建託が約18%、積水ハウスが約12.5%)で、11.5%の首都圏など東名阪のシェア拡大を目指すと語った。

 ZEH-Mの取り組みを加速させており、2026年度目標のZEH-M比率50%は前倒しで達成する見込みであることを明らかにした。今後の展開では、全体の約3割を占める分譲事業、海外事業を強化すると述べた。

 同社の強みであるオーナーフォロー体制にも言及し、顧客9万人のうち2万人を組織する「オーナーズクラブ」を通じて日時要的にセミナー、勉強会、研修会、親睦会、旅行など行っており、税務相談など資産管理サポートが充実していると強調した。

 グループ会社の大和リビング、大和ハウス賃貸リフォームとの連携については、約64万世帯を管理する大和リビングは毎年2万世帯が積みあがっており、賃料は2020年の平均69,959円(約50㎡)から2023年9月は72,408円(同、坪賃料約4,800円)に3.5%引き上げたにも拘わらず入居率は95%超となっていると話した。

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出倉氏

Screenshot 2023-12-20 at 17-28-46 【配布用】賃貸住宅事業計画説明会資料.pdf.png

◇       ◆     ◇

 同社の賃貸集合住宅を初めて見学した。かみさんを通じてだが、同社の賃貸に住む人が「ダイワさんの賃貸は素晴らしい」と絶賛しているのを、当にそうか確認するのが取材の目的だった。

 建物は、JR中央線東小金井駅から徒歩8分、小金井市緑町2丁目に位置する敷地面積535㎡、鉄骨造3階建て延床面積905㎡の全12戸。このうち公開されたのは84.35㎡の3LDKのモデルハウス。賃料は18.5万円(坪賃料7,200円)。建物は2023年3月に完成。入居者のほとんどは20~30代。

 結論からすると、基本性能の高さは確認できたが、最高かどうかは保留する。何しろ今回が初めての見学であり、他のハウスメーカーの賃貸は旭化成ホームズ「母力」くらいしか観ておらず、同社よりシェアが大きい大東建託などのレベルは分からないし、大手デベロッパーの賃貸マンションは結構見ているが、自社所有やリートなど投資家向けなどが主流で、今回の低層・中層物件とは比較は難しいからだ。何事もそうだ。たくさん見比べて初めて良否が分かる。

 基本性能は間違いなく高い。住宅の質は基本的には広さ、断熱・遮音などの基本性能だし、その点でZEH-Mをクリアしているのだからレベルは高い。どのような物件と比較するかだが、坪賃料も間違いなく安いはずだ。

 特徴の一つでもある同社の外張り断熱工法の効果もしっかり確認できた。朝のうちに暖房を停めていたにもかかわらず、12時ころのリビングや他の居室・廊下なども室温は20度くらいに感じられた(個人差あり。外気温は12度)。同社の資料では、外気温0度、室内気温20度と仮定して、同社の外張り断熱工法では室内側の最低温度は17.9度で、鉄骨住宅メーカーでは13.4度というデータが示されたが、今回もその通りの結果が得られたということだ。

 このほか、収納が多く、クローゼットの床・壁にもクロスを張り、食洗機は付いていないが分譲仕様とそれほど変わらないキッチン、ネコの飼育を想定した壁クロスの見切り板などはなるほど思わせるものだった。本物の石を採用した外観デザインやタイル調サイディングも高級感が漂っていた。

 最高かどうかを保留したのは、3階建てでエレベーターは付いておらず、リビング天井高は2400ミリ、直床、水回りの床段差、浴室タオル掛けなし…明らかに分譲仕様にはかなわないからだ。(なにかにつけ賃貸は分譲より劣り賃料も高いから、手厚い住宅取得支援策が講じられている分譲住宅に流れるのだと思う。本来は出倉氏が冒頭に語ったように〝私たちは選べる。生き方も、住む街も、住む家も。〟という同社のMissionが当たり前となる世の中にしないといけない)

「GRACA」内観.jpg
「GRACA(グラサ)」内観

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エントランス付近の植栽

 

 

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