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2024/02/10(土) 21:03

二地域居住促進へ 改正法律案を閣議決定/参考になるFRKの基礎調査報告書

投稿者:  牧田司

 国土交通省は2月9日、二地域居住の促進を通じて、地方への人の流れを創出・拡大するための「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されたと発表した。コロナ禍を経て、UIJターンを含めた若者・子育て世帯を中心とする二地域居住へのニーズが高まっている一方で、「住まい」「なりわい(仕事)」「コミュニティ」に関するハードルが存在することから、都道府県、市町村、支援法人、地域住民、不動産会社などが連携して二地域居住を促進する基盤を整備する。

 法律案では、①都道府県が二地域居住に係る事項を含む広域的地域活性化基盤整備計画を作成したとき、市町村は二地域居住の促進に関する「特定居住促進計画」を作成可能②二地域居住者に「住まい」・「なりわい」・「コミュニティ」を提供する活動に取り組む法人の指定制度を創設。市町村長は、二地域居住促進に関する活動を行うNPO法人、民間企業などを「特定居住支援法人」として指定可能とし、空き家などの情報、仕事情報、イベント情報などの関連情報を提供する③市町村は、特定居住促進計画の作成などに関し協議を行うため、当該市町村、都道府県、特定居住支援法人、不動産会社、交通事業者、商工会議所、農協などを構成員とする二地域居住等促進協議会を組織可能とする。

 KPIとして、①特定居住促進計画の作成数:施行後5年間で累計600件②二地域居住等支援法人の指定数:施行後5年間で累計600法人を目指す。

◇        ◆     ◇

 不動産流通経営協会(FRK)が2020年7月、この二地域居住に関して極めて興味深い「複数拠点生活に関する基礎調査」を公表している。最後の「まとめ」の「(二地域居住)実現に向けた住居取得とそのハードル」をそのまま以下に紹介する。

 ①積極的目的での複数拠点生活を増やすために有効と思われる施策

 全体では、新たな滞在先の維持費・確保費用が最も実施のハードルとなっており、地域社会との交流・貢献などを目的とする人や20・30代ほど、この傾向は強い。また、20・30代の若い人たちは、住宅ローンが組めないことでも苦労しているようである。現在、検討している人も新たな滞在先を取得する上で税制優遇措置が受けられたり、住宅ローンを組めれば実現可能性が高まるとしたりしており、ローン要件の緩和、優遇措置を行うことで、こうした若者、または地域交流などを目的とする複数拠点生活実施者を増やすことができるのではないだろうか。

 ②消極的での複数拠点生活を支えるために有効と思われる施策

 介護など消極的な理由で複数拠点生活を実施する場合、移動時間や交通費が負担となっているようである。また、現在検討している人は、新たな滞在先を持つための初期コストや維持費を抑えられることが後押しになるとみている。介護問題など家族の絆を活かした安心社会を構築するという観点で、こうした目的による複数拠点生活を支えるためには、住宅に対する初期投資やその後の維持費・交通費等の負担を軽減するような政策支援が求められると言える。

 ――これらのニーズを救い上げ、課題を解決する官民連携に期待したい。船頭多くして…にならないことを祈りたい。

 

 

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