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2024/02/14(水) 18:04

日経平均株価 34年2か月ぶりに過去最高値更新へ 住宅・不動産株の過去と今

投稿者:  牧田司

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 213日の東京株式市場の日経平均は終値37,963円をつけ、19891229日の大納会に記録した過去最高値38,915円にあと952円まで迫った。342か月ぶりに記録を更新する可能性が高まった。当時と現在の主な住宅・不動産会社の株価を比較してみた。

当時と現在の社会経済状況は、よく似ているところもある。1989年といえば、世の中はリクルート問題が沸騰しており90人以上の政治家などがリクルートコスモスの未公開株を譲り受けたことから、収賄罪、政治資金規正法に抵触する罪で起訴・逮捕された関係者も出た。天安門事件もこの年だった。

為替は、円は1ドル120150円台で推移し、公定歩合は3度引き上げられ、年初は4.5%だったのが年末は7%に乗った。長短期金利の逆転現象が起きた。

 別表を見ていただきたい。19891229日の時点で東証に上場していた不動産会社は一部、二部、店頭を含めて26社。株価は、飛ぶ鳥を落とす勢いにあったマンションデベロッパーの大京が5,800円をつけ、同社に次ぐ供給量を誇っていたダイア建設が8,140円、リクルートコスモスが6,000円をつけている。〝マンション転がし〟が流行語になったように、マンションや株式が投機マネーを呼び込んでいた世相を反映している。その他のデベロッパーやハウスメーカーも概ね2,000円を突破していた。

 ところがその翌年の19903月、いわゆる銀行の土地融資を抑制する総量規制が実行され、8月にはイラクがクウェートに侵攻した湾岸戦争が勃発。原油高も重なり、9月には株価が付かないストップ安が続き、マンションの契約率も5060%台に急落。バブルは完全に崩壊した。

 別表の上場企業も、親会社に吸収合併された企業を除きエルカクエイ、ニチモ、ダイア建設、マルコー、第一コーポレーション、セザール、箕輪不動産、殖産住宅、ニッセキハウスの9社が破綻、市場から消えた。さらに2008年のリーマン・ショックにより多くのデベロッパーが市場から退場を余儀なくされた。 

さて、現在の株価はどうか。19891229日の株価を上回っている当時の住宅・不動産上場企業は三井不動産、東京建物、住友不動産、スターツ、大和ハウス工業、積水ハウスと関連の長谷工コーポレーションの7社のみだ。このうち上場来の高値圏にあるのは三井不動産、大和ハウス、積水ハウス(スターツも株式分割を行っているので理論値では過去最高値圏にある)。現在も東証に上場している当時の不動産銘柄は9社しかない。消長の激しさを物語っている。全ての企業が高値更新を射程圏に入れているわけでもない。

        ◆     ◇

 1989年のマンション市場について。記者は当時、前職で毎月マンションと分譲戸建ての販売状況を調べていた。少し紹介すると同年1112月のマンション坪単価は茗荷谷が890万円、代々木が1,694万円、高輪が1,082万円、平塚が426万円、相模原が445万円、溝の口が415万円、松戸が370万円、船橋が352万円、西川口が510万円、軽井沢が492万円…などとある。 その一方で、郊外部では坪200万円を割る物件も結構供給されており、郊外部でも軒並み坪200万円を超えてきている現在とはやや異なる市場を形成していた。

 戸建ても同様で、都内物件は軒並み1億円以上で、藤が丘が19,000万円台、柏逆井が8,000万円台、高坂が6,300万円台、佐倉が8,000万円台、成田が4,600万円台…それでも売れていた。

 

 

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