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2024/03/04(月) 16:19

わが国賃貸市場の後進性衝く 家具付き「Weave Place」 浅草など都内7物目オープン

投稿者:  牧田司

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Weave Place Asakusa Kaminarimon

本拠・香港を中心にシンガポール、日本、韓国で都市型の家具付き賃貸住宅などを展開する総合賃貸住宅プロバイダーWEAVE LIVING(ウィーヴ リビング)は31日、わが国での「Weave Place」としては早稲田、門前仲町、東高円寺、国立に続く「Asakusa Kaminarimon」「Ryogoku」「Morishita」の3物件を同時オープンした。オープンに先立つ228日、「Asakusa Kaminarimon」でメディア向け事業説明会・内覧ツアーを開催した。この種の家具付き賃貸マンションを見学するのは初めてだったが、基本性能・設備仕様レベルは「分譲仕様」(同社)という説明に納得した。

物件は、東京メトロ銀座線・都営浅草線浅草駅から徒歩4分、台東区雷門2丁目の商業地域に位置する10階建て全72室。専用面積は26㎡台~52㎡台。44室がワンルームタイプ。契約は1か月以上、最大18カ月で、1か月契約の月額賃料は20万円台~42万円台(電気・ガス・水道代含む。契約期間が長くなると1020%の割引料金)。家具付き・家具なしの選択も可能。礼金、保証料、保険料などはなし。

同社創業者でグループCEO&取締役会会長・Sachin Doshi氏は事業説明会で「2017年に香港で創業。以来、シンガポール、日本、韓国で事業展開しており、これまで25物件2,500室を所有しています。賃貸を〝楽しい体験をしていただく〟というのがコンセプト。日本は重要な市場として位置付けており、202312月現在、大阪を含め11物件を所有しています。(日本の賃貸は)不便な面も多く、(それを解消する)チャンスだと考えています。今後2年間で35億ドルを投資し、3,000室から5,000室に増やすのが目標」(通訳)と語った。

WEAVE LIVING JAPAN代表取締役・野口大助氏は「わたしはこれまで28年間、不動産の投資・再生事業に関わってきました。コロナを経て働き方も変化し、価値観、ニーズも多様化しているが、それに対応する供給は足りていない。快適に過ごせ、ストレスがない新しいハイブリッドな空間を提供していきます」と話した。

同社担当者によると、賃貸住宅の利用者の90%は外国人。賃料、プランをオープンし、3Dによる内観が可能で、契約もほとんどオンラインで完結するという。今後は日本人向けにも積極的に情報を発信していくそうだ。

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Sachin氏(左)と野口氏

        ◆     ◇

この種の家具付き賃貸マンションを初めて見学した。同じようなサービスを提供している会社は他にもあり、かつてウイークリー・マンスリーマンションが流行し、サービスアパートメントも市民権を得ているように、加速度的に普及するような気がする。

一方で、Sachin氏がわが国の賃貸市場について「不便な面も多い」と語ったので、記者は「わが国は大手も含め、街の賃貸仲介不動産会社は、礼金やら原状回復やら、住宅が圧倒的に不足していた戦前戦後の時代遅れの商習慣を墨守しようとしている。これらについてどう思うか」と質問した。

Sachin氏が「礼金(REIKIN)」をどのように理解されたか不明だが、通訳を通じて「非効率」と答え、野口氏も「初期費用がかかりすぎ」と話した。原状回復費用を求めるケースはほとんどないという。

基本性能・設備仕様レベルをチェックするのが取材のもう一つの目的だった。同社担当者は「分譲仕様」と説明した。どのようなレベルを基準にするかだが、二重床・二重天井(確認中だが、通常の直床のようふかふかではなかった)、リビング天井高2400ミリ、食洗機(ワンルームタイプはなし)、床暖房(同)、浴室タオル掛け、ソフトクローズ機能付き開き戸などからして、一般的な賃貸マンションの仕様レベルよりは高いと思った。ソファは本革でベッド、寝具なども水準以上とみた。

都内23区の主要な駅圏の分譲マンション坪単価は500万円を突破しつつある。10坪(33㎡)で5,000万円だ。取得能力を超えている。この種の賃貸住宅の増加は、土地オーナーにとっても消費者にとっても選択肢の幅が広がる意味で歓迎すべきことではないか。入居、転居するごとに家具などを買ったり捨てたりするロスも削減できる。サステナブルな社会実現にも貢献する。

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