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2024/03/04(月) 12:52

大谷効果で加速するか デベロッパー、ハウスメーカーのスポーツ・スポンサーシップ

投稿者:  牧田司

 MLB最優秀賞に輝いたエンゼルス大谷翔平選手が、10年間で1,000億円を超える契約金でドジャースに移籍したことで世界は沸き立った。2023年12月22日付日経新聞は「関西大の宮本勝浩名誉教授は――ドジャースに移籍したことによる2024年の経済効果が約533億5,200万円に上るとの試算を発表した」と、2024年3月2日付日刊スポーツは「大谷の『商品価値』」は、やはり10年総額1,000億円超の年俸だけでは計れそうにない」とそれぞれ報じた。

 野球だけでなく、最近は従来のサッカー、ゴルフなど一部のスポーツだけでなく、パリオリンピック2024の開催年でもあることから卓球、バトミントン、バスケット、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィン、フェンシング、パラスポーツなどメダルが有望な選手・種目にも注目が集まっている。

 そこで、主なデベロッパー、ハウスメーカーのスポーツ・スポンサーシップ、CSRの取り組みを紹介する。従来は、「ブランド力向上」「販売促進」などが主な目的で、自社のロゴや看板の露出時間をテレビ広告料に換算してスポンサーシップの効果を計ってきたが、最近は様々なイベントを活用してSNSなどで直接消費者にアピールし、ビジネスにつなげているのが特徴だ。(あいうえお順)

・いちご  Jリーグトップパートナー。ウエイトリフティング部、ライフル射撃部の部活動も。

・エイブル スキージャンプ髙梨沙羅、プロテニスプレーヤーダニエル太郎、スノーボードアルペン竹内智香などのスポンサー。首都大学サポート企業。

・オープンハウスグループ ヤクルトスワローズのトップスポンサーとして知られており、村上選手が史上最年少で三冠王を獲得した2022年に「3億円の家」をプレゼントし全国区になった。3億円は2023年9月期決算の経常利益1,369億円の0.002%。このほか「つば九郎ハウ巣」を建設したり「日本で一番スワローズな家」を販売したりした。

・木下グループ フィギュアスケートでは圧倒的なテレビ露出時間を誇る。卓球、サーフィンなどのスポンサーにもなっている。

・ケイアイスター不動産 2015年から障がい者アスリートを継続して雇用しており、2019年4月にケイアイチャレンジドアスリートチームを発足。「デフフットサル」、「デフサッカー」「ろう者柔道」「車いすバスケットボール」「車いすバドミントン」などで活躍中。

・コスモスイニシア 2007年に発足した小学校4年生以下を対象とした野球大会「コスモスイニシアJr.カップ」に協賛している。

・サンフロンティア不動産 日本トライアスロン連合(JTU)のオフィシャルスポンサー。

・スターツ 日本卓球協会トップパートナーで、伊藤美誠選手などが所属。陸上競技部を持ち、東京マラソンなどのスポンサーにもなっている。

・積水化学工業 卓球早田ひな、テニス内山靖崇などの支援活動を行っている。

大成有楽不動産 国立競技場の施設運営会社。

・大和ハウス工業 日本サッカー名蹴会、日本パラ水泳連盟、日本トライアスロン連合、全国野球振興会、湘南ベルマーレ、日本視覚障害者柔道連盟などのスポンサー。

・東急不動産 会員制フィットネスクラブ「東急スポーツオアシス」を運営しており、2022年度の売上高は155億円。

・東京建物 2024年秋開業予定の東京都の「有明アーバンスポーツパーク」の整備・運営を行う事業者の代表企業に選定されている。日本障がい者スポーツ協会のオフィシャルパートナー。

・日本エスコン エスコンフィールド北海道日本ハムファイターズのネーミングライツを取得。球場周辺の大規模開発「北海道ボールパークF ビレッジ」内で様々な不動産開発事業を展開している。

・野村不動産 野村不動産パートナーズはパラアスリート支援を行っており、「東京都スポーツ推進企業」に7年連続、文化庁「スポーツエールカンパニー2023」に6年連続でそれぞれ認定されている。スポーツクラブ「メガロス(MEGALOS)」を運営する子会社・野村不動産ライフ&スポーツの売上高は 150億円(2023年3月期)。

・長谷工コーポレーション  「学生駅伝」オフィシャルパートナー。

・ポラスグループ 本場徳島、東京高円寺とあわせ日本三大阿波踊りの南越谷阿波踊りの協賛会社として知られるが、スポーツでは浦和レッズのトップパートナースポンサー。

・三井不動産 同社は3月1日、商業施設事業とスポーツ・エンターテインメント事業の連携を加速させるため、「商業施設本部」を「商業施設・スポーツ・エンターテインメント本部」に改称し、ソリューションパートナー本部の「東京ドーム事業部」を同本部に4月1日付で移管すると発表。組織改正に伴い、常務執行役員・若林瑞穂氏が同本部長委嘱に就任し、副本部長委嘱に肥田雅和氏が執行役員として昇格すると発表した。

 2021年に株式の80%(残りは読売新聞社)を取得し子会社化した東京ドーム運営では、シェアオフィスなどのリニューアル工事を施した。2023年3月期の売上高は731億円。年間来場者数は4,000万人。来場者の数は、新宿伊勢丹の約2,500万人、東京ディズニーランドの約2,200万人をはるかに超える。

 2016年から子どもを対象とした「三井不動産スポーツアカデミー」は2024年2月現在、開催件数は26回を数える。

 また、同社は2027年開業予定の新秩父宮ラグビー場の運営企業として鹿島建設(代表企業)、東京建物、東京ドームなどとともに参画することが決定している。

・三菱地所 同社グループは「三菱一号館美術館」の運営のほか、メセナ大賞に輝いた「Shall Weコンサート(出張コンサート)」「キラキラっとアートコンクール」「藝大アーツイン丸の内」「アートアワードトーキョー 丸の内」など文化・芸術活動支援に力を入れている。

 スポーツ分野では、日本開催のラグビーワールドカップではオフィシャルスポンサーとなり、様々なイベントを開催した。日本障がい者スポーツ協会のオフィシャルパートナー。

・リスト 横浜FCのドリームパートナーのほか、横浜マラソン、トライアスロンなどに協賛し、プロスキーヤー佐々木明選手とスポンサー契約を結んでいる。

◇        ◆     ◇

 従業員の健康増進のためにスポーツ活動の促進に積極的に取り組む企業を認定する文化庁の「スポーツエールカンパニー」は1,246社、従業員のスポーツ促進やスポーツ支援に取り組む企業等を認定する東京都の「東京都スポーツ推進企業」は483社。

 企業メセナ協議会の「Mécénat Report2022」(回答企業517社)によると、メセナ活動費総額は663億円で、内訳は企業が183億円(n=254)、財団(n=166)が480億円。令和4年度の企業版ふるさと納税実績は、金額が341億円(前年度比1.5倍)、件数が8,390件(同1.7倍)となっている。

 経団連が1990年度から毎年度報告してきた、会員企業による社会貢献活動の動向調査「社会貢献活動実績調査」は2017年度で終了しており、2019年4月、任意団体としての「1%クラブ」を解散し、経団連企業行動・CSR委員会(2019年5月に現委員会名称に変更)の下部に「経団連1%クラブ」として位置づけ、活動している。2017年度の社会貢献活動支出額は回答企業全体で1,997億円、1社平均では5億9,300万円となっている。

 これらの額が多いか少ないか分からないが、東証日経平均株価が4万円を本日(3月4日)突破したことを考えると、圧倒的に少ないような気がするが…。

 

 

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