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2024/03/20(水) 14:46

三井グループ25社売上88兆円「三井みらいチャレンジャーズオーディション」発表

投稿者:  牧田司

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「三井みらいチャレンジャーズオーディション」(日本橋三井ホールで)

三井グループ350周年記念事業実行委員会(委員長:菰田正信・三井不動産会長)は319日、三井グループ350周年記念事業の最大イベントである「三井みらいチャレンジャーズオーディション」最終通過者30人を発表した。イベントには130人が参加した。

プロジェクトは、三井グループの元祖「三井高利」が日本橋に越後屋を出店した1673年から350年の節目の年に当たり、様々な社会課題を解決し、未来を切り開く若者を発掘・支援するもの。「事業・社会活動」「研究・留学」「カルチャー創造」の 3分野722人の応募者の中から各分野10人が選ばれた。

応募条件は2024331日時点で16歳以上31歳未満の個人で、昨年8月から10月まで募集された。募集部門は①研究・留学部門(応募:241人)事業・社会活動部門(応募:319人)カルチャー創造部門(応募:162人)。総勢10名の審査員による「みらい履歴書・計画書の審査」「動画審査」「対面審査」の3段階の審査を経て決定された。最終通過者30人は 2027年度まで三井グループ25社が継続的に支援していく。支援金として一律500万円のほか、追加の支援金(2年目からの最長3 年間)が提供される。

菰田氏はイベントの冒頭、「オーディションは、三井高利のイノベーション精神を継承し、夢や目標を持ちチャレンジをする次の時代を担う若者を発掘・応援しようというプロジェクトです。昨年8月に応募受付を開始しましたが、締め切りまでの3か月間に722名のチャレンジャーが名乗りを上げてくださいました。『熱い想い』と『高い志』で『これからの世の中に大きな影響を与えたい』という強い決意を感じる方ばかりでした。自らの意思で一歩を踏み出し、このオーディションに参加をしてくれた若いチャレンジャ―たちは、みな未来を担う有望な人材です。応募をしてくださった全てのチャレンジャ―に敬意を表します。そして最終通過者を含めたチャレンジャ―達全員のこれからの飛躍・活躍を、心より祈念いたします」と述べ、閉会の挨拶では「1昨年やろうと考えたときは不安でいっぱいだったが、本当に素晴らしい結果となった。大激戦の末30人が選ばれたのもよく分かる。委員長としてもほっとしている。ただ、このプロジェクトの成功は、選ばれた皆さんの夢が実現し、日本を世界を変えること。そのために三井グループはしっかり支えていきます」と締めくくった。

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菰田氏

           

 記者は昨年10月、スタートアップ企業と大企業をマッチングさせるイベント「住友不動産ベンチャーサミット」を見学・取材した。「新宿住友ビル」三角広場に約2,100人が集まったのにびっくりした。

 今回、「日本橋三井ホール」に集まったのは約130人だが、内容は全然負けていないと思った。グランプリやら大賞やら○○賞を設けていないのもとてもいい。菰田氏をはじめ審査員の方々も〝素晴らしい〟を連発した。プレゼンターを務めた三井物産社長CEO・堀健一氏は「全員をわが社に迎えたいくらい」とまで述べた。

 記者も、最初の受賞者・王方成さんの「宇宙に住む」に圧倒され、最後の方まで必死にメモを取った。約1時間30分。くたくたに疲れたが、これほど楽しい取材を行ったのは久々だ。

 一つひとつ紹介したいのだが、そんな余裕はない。事業・社会活動部門で選ばれた小樽商科大3年生の大砂百恵さん一人だけ紹介する。事業タイトルは「ekombu」-廃棄される昆布を牛に食べさせ、げっぷを減らしてCO2削減に貢献するというものだ。

大砂さんは「2年前、大学1年生のときです。ひいおじいちゃんがコンブ漁をやっていて、大量に捨てられる昆布がめっちゃくちゃもったいない、何とかできないかと。牛に食べさせることを思いつきました。賞金? 牛の購入費に充てたいです」と語った。(小生は牛肉をほとんど食べない。牛の体重は人間の10倍近くあり、大量のCO2を吐き出すし、輸入飼料によって大量の水(バーチャルウォーター)を消費する。そもそも牛は昆布を食べるのか。ネットで調べたら、昆布を飼料にしたブランド牛もあるそうだ。本当にげっぷは減るのか)

審査委員の講評も一人紹介する。カルチャー創造部門審査員で、プロダクトデザイナー・グラフィックデザイナー・建築家の肩書を持つ太刀川英輔氏だ。太刀川氏は次のように話した。

「おめでとうございます。何か…なんていうかなあ、すごくね…胸がいっぱいで、不思議な気分なんですよね…今。こういう皆さんを応援できる時間をいただいた委員会の皆さんにお礼を言いたい。みなさんになにを伝えようかと考えたとき、真っ先に出てきたのは、まず、すぐにヒーローになろうとするなって思ったんです。馬鹿に発見されると大変なんで、まずは没頭したほうがいいと。徹底的にいま目の前にある道を、皆さんはその先に何かの光が見えているはずですが、だけどその道はジャングルだけだと思う。進んでいると痛いこともあるし、出る杭を打つ人もいる。(そんなことを気にしないで)没頭することが大事。僕はね没頭することは幸せだと思う。それ以外にない。僕もデザインしているが、没頭することを心掛けている。結果出そうと考えないこと。結果はね、うしろについてくるもの。

そう思うと、今日貰った500万円、凄いね。だけど、お金だと思うと大した額じゃないんですよ。僕らおじさんにとってはね。ただ、こう考えてほしいんです。皆さん、3,000時間あったら何ができますか。3,000時間、これは皆さんが時給2,000円の高収入バイトをし、積み上げてできる…それが500万円なんです。大事なのは額じゃない。時間とつながりなんです。これは得難い。4年後、この3,000時間のあとに、皆さんが成し遂げてくれる景色を、ちょっと痛かったなどといいながら一緒に振り返られたらいいなと思います」

実をいうと、記者は最初から最後まで金の計算をしていた。30人のうち4年後に花を咲かせる人は何人いるか、三井グループはいくら投資するのかと。初年度500万円はともかく、成否のかぎを握るのは徹底して支援できるかどうかだと考えた。額は一人(1プロジェクト)1億円いや10億円はどうかと。10×30300億円だ。

そして、三井グループ25社の総売上高を計算した。トヨタ自動車も入っているから100兆円くらいではないかと見当をつけた。300億円は巨額だが、比率にしたら0.03%だ。うちに帰って三井グループの直近の総売上高を調べた。売上高は878,615億円、連結従業員数は817,123人だった。売上高はわが国のGDP591兆円の14.9%を占める。一人当たり売上高は約1億円。国民1人当たりDGPの約2倍だ。

 大企業のこの種の支援事業が増えるのに期待したい。

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太刀川氏

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スタートアップと大企業を結ぶイベントに2,100名 「住友不動産ベンチャーサミット」(2024/10/25

 

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