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2024/03/26(火) 08:10

建築物の高さ56m規制貫く 地価日本一の銀座 サンフロンティアのセミナー

投稿者:  牧田司

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左から松澤氏、井野氏、齋藤氏(東宝日比谷プロムナードビル6階 セミナールーム「FRONTIER HALL」で)

 サンフロンティア不動産は3月25日、各界の有識者と環境保護・地域創生・人財育成をともに考えるライブ型セミナー「FRONTIER JOURNEY Live!」第1回目を開催。ゲストに1696年(元禄9年)から300年以上にわたって不動産業を営む銀座丸八代表取締役・松澤芳邦氏と、スイス発のラグジュアリーブランド「Akris(アクリス)」日本代表・井野智恵子氏を招き、同社代表取締役社長・齋藤清一氏の3者による「東京を世界一愛されるグローバル都市へ! 『銀座』流の街づくり」をテーマにトークセッションを行った。セミナーは年に4回程度開催する予定。

 松澤氏は冒頭、銀座の江戸-明治-大正―昭和の時代を紹介。関東大震災、第二次世界大戦によって壊滅的な被害を受けながらその都度再生し、建築物の絶対高さ56m規制を中心とする「銀座ルール」によって〝地価日本一〟を維持し続けていることなどを紹介した。

 トークセッションでは、ほとんどの敷地が1,500坪以下という銀座の弱点を逆手にとった街づくり、駐車場付置義務の緩和、古いものと新しいものの調和、〝ルールのないのがルール〟などの独自の街づくりなどが語られた。

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 昨日(3月24日)は、再開発の名のもとにいとも簡単に地区計画が変更され、風致地区が緩和されることに反対する千代田区や新宿区住民のセミナーを取材した。民主主義は死滅し、住民間のコミュニティはずたずたに切り裂かれ、疑心暗鬼が跳梁跋扈する現実社会を見た。

 そしてこの日(3月25日)は、何でもありの商業地域しかない中央区銀座の建築物の絶対高さが地区計画によって56mに規制されていることを初めて知った。1998年に決定したという。エリア最大の商業施設「GINZA SIX」の計画段階では特例として高さ200mに緩和する案も浮上したが、地元の反対で従来通りの56m抑えられ、特例は認めない方針が再確認された。エリア内に50棟のビルを所有するヒューリックも異を唱えなかったという。

 56mと言えば、オフィスビルなら12~14階建てしか建てられない。敷地は広くても1,500坪しかなく、細分化されていることが大規模ビルなどの進出を阻んでいる。

 地区計画の見直しは20年ごとに行われるのが慣行となっているが、松澤氏によるとその可能性があるのは50年後くらいという。

 デザイン協議会がまたユニークだ。新築の場合は、奇抜なデザインはまず確認申請が下りないそうで、既存のビルなどはその都度協議して決定するという。つまり、ルールがないのがルールなのだそうだ。ルールを定めないほうが柔軟な対応ができるという強かな計算だ(どこかで聞いたような気がした。前ソニー社長、会長の平井一夫氏の基本姿勢だ)。

 東京駅では高さ日本一の385mの「トーチタワー」、日本橋では高さ283mの「日本橋一丁目中地区」が進行しているというのに、銀座の地権者は自らの手足を縛り、歴史と文化を守ろうとしている。

 他に例をみない「銀座ルール」に、齋藤社長は「みんなで決めたルールは尊重しないといけない。持続可能性な街とは人が幸せになること。地域密着が基本」などと語った。

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 令和5年の商業地の地価公示価格日本一は、17年連続の東京都中央区銀座4-5-6(山野楽器銀座本店)の5,380万円/㎡(1億7,754万円/坪)だ。容積率は800%なので1種当たり単価は2,219万円。

 もうすぐ発表される令和6年のこの地点はいくらになるのか。銀座の実勢地価が坪1億円を突破したのは確か昭和61年だった。すっぱ抜いたのを思い出す。

 

 

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