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2023/05/10(水) 13:35

サンウッド旋風巻き起こすか 2023年3月期業績好調 京王と初のJV「浜田山」分譲へ

投稿者:  牧田司

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「サンウッド浜田山」(物件ホームページから)

 サンウッドは5月9日、2023年3月期決算説明会を行い、同社代表取締役社長・森毅氏が決算概要、2023年3月期業績予想、新規取り組みなどについて説明した。

 2023年3月期決算は、売上高19,376百万円(前期比46.6%増)、営業利益1,959百万円(同256.7%増)、経常利益1,655百万円(同413.7%増)、純利益1,155百万円(同405.1%増)となり、営業利益、経常利益は創業来2番目、純利益は創業来最高益を達成した。

 坪単価650万円超の「サンウッド瀬田1丁目」(22戸)など分譲マンション2物件が早期完売し、一棟収益物件「WHARF(ワーフ)」シリーズ6物件を計上した不動産開発事業が13,606百万円(前期比93.5%増)となり、増収増益に寄与した。完成在庫はゼロ。不動産再生事業は前期の反動減で減収となった。

 2028年3月期の売上高300億円を目標とする中期経営計画を見据えた仕入れが順調に進んだ結果、棚卸資産は前期末18.7%増の22,972百万円となり、2026年3月期までの仕入れ目標をほぼクリアした。

 2024年3月期は売上高19,531百万円(前期比0.8%増)、営業利益1,298百万円(同33.8%減)、経常利益1,010百万円(同39.0%減)、純利益696百万円(同39.8%減)を見込む。森社長は「前期は想定を上回る数値。今期は通常の利益率に戻る」と説明した。引き渡し予定のマンション3物件の契約が順調に進み、「WHARF」も5物件のうち4物件を契約完了している。

 今期の新規取り組みとして、7月に合同モデルルーム「SUNWOOD LOUNGE新宿」を新宿アイランドに開業し、京王電鉄と初の共同事業マンション「サンウッド浜田山」(47戸)のモデルルームを設置する。また、高級賃貸マンションニーズの高まりを受け、都心5区を中心とする東京23区に特化した不動産ファンド事業を立ち上げる予定。森氏は「ファンド事業は中期経営計画に盛り込んでいないが、京王電鉄、グループの京王不動産、リビタとのシナジー効果を発揮し、マンション事業、WHARF事業に続く新しい事業の柱に育てていく」と語った。

◇        ◆     ◇

 2021年11月に新たに京王電鉄グループと資本提携(京王電鉄の持株比率は21.19%)した同社の今後に注目している。

 同社は1997年の創業から2012年まで森ビルと資本提携し、渋谷区や港区などで高額マンションを供給してきた。2012年に資本提携を解消し、2013年にタカラレーベンと資本提携したとき、都心部の高額マンションを得意とする同社と、郊外・地方が中心のタカラレーベンとの企業理念・社風は異なり、シナジー効果を発揮するのは容易ではないと記者は見ていた。

 一方、京王電鉄は京王不動産、リビタの不動産会社を擁するが、自社開発マンションはほとんど行っていない。2022年3月期の不動産事業売上高は472億円で、グループ全体売上高の15.8%を占めるが、他の首都圏電鉄会社7社と比較すると、売上高、売上比率は下位からそれぞれ3番目だ。沿線のポテンシャルの高さを考えると圧倒的に負けていると記者は考えている。

 そして今回、マンションなど不動産事業の強化が急務の京王電鉄と京王沿線での供給事例も多いサンウッドの提携は、双方に大きなメリットがあるはずで、決算説明会に出席したのも、森社長が何を話すか聞きたかったからだ。

 その成果はあった。京王との共同事業第一弾となる「サンウッド浜田山」の現地は見ていないが、おおよその見当はつく。立地条件は申し分ない。同社は「価格は未定」としているが、記者は坪600万円超もありうるとみている。森社長は「井の頭沿線のナンバーワンを目指す。飛躍的に高まった資金調達能力を生かし、今後も積極的に京王さんとの共同事業を進めていく」と語った。

 決算説明会で驚いたことがある。一つは、6月の株主総会で京王電鉄取締役常務執行役員開発事業本部長・南佳孝氏と、近鉄不動産元副社長で現顧問の田中孝昭氏が社外取締役にそれぞれ就任する予定であることだ。南氏は京王電鉄との関係強化が目的だから当然として、森社長は田中氏を「業界の重鎮。大手デベロッパーとの共同事業に欠かせない方」と紹介した。

 田中氏の名前をどこかで聞いたような気がしたので調べてみたら、近鉄不動産が主導した「王子飛鳥山ザ・ファーストタワー&レジデンス」と「BLUE HARBOR TOWER みなとみらい」の記事がヒットした。田中氏が関西弁でまくし立てたのを思い出す。記者は樋口武男氏、矢野龍氏、和田勇氏を関西弁の〝雄弁御三家〟と呼ぶが、お三方はそれぞれ第一線を退かれた。田中氏はその後継者だ。絶滅危惧にある関西弁を東京で復活させてくれることを期待したい。

 もう一つは、今後の物件サマリだ。分譲マンションは「浜田山W2」「信濃町W6」「西荻窪W5」「尾久W7」「吉祥寺W3」「東府中W6」「反町W8」「荻窪W7」「大森W4」「横浜・中華街W5」「六本木W5」「府中W6」「国立W5」とある。いずれも10~30億円の中規模だが、このままの市況が続けば、ほっといても売れるようなものばかりだ。

 「浜田山」のモデルルーム次第ではサンウッド旋風を巻き起こす可能性があると見た。参考までに2017年分譲の「サンウッド青山」の記事を添付する。

サンウッド 創業20周年の集大成 「青山」の全面ヘリンボーン床に驚愕(2017/12/8)

近鉄不・三井レジ 商・ホテル・住の複合「みなとみらい」 坪単価は400万円前後(2015/6/9)

近鉄不・京阪電鉄不・長谷工コーポ 実利を取る戦法か「王子飛鳥山」(2014/4/23)
 

 

 

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