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2023/05/31(水) 09:06

駅直結の一等地 容積半分余す 大和ハウス「(仮称)つくば市吾妻20街区PJ」着工

投稿者:  牧田司

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南棟「d_ll(ディール)つくば」完成予想図

 大和ハウス工業は5月30日、つくばエクスプレス「つくば駅」直結の複合施設「(仮称)つくば市吾妻20街区プロジェクト」の地鎮祭を行い、五十嵐立青・つくば市長も出席して施設概要に関する記者会見を行った。

 施設は、つくばエクスプレス「つくば駅」直結、つくば市吾妻2丁目に位置する敷地面積約7,639㎡(2,310坪)で、建物は5階建て鉄骨造延床面積約10,188㎡(3,081㎡)のオフィス・商業からなる南棟「d_ll(ディール)つくば」、4階建て鉄骨造延べ床面積約3,337㎡(1,009坪)の北棟、5階建て鉄骨造延床面積約7,403㎡(2,23坪)の立体駐車場(353台)による3棟構成。設計・施工は村本建設。着工は2023年4月3日~2023年6月1日、竣工は2023年11月30日~2024年9月30日、オープンは2024年10月の予定。

 南棟の「d_llつくば」は、1階と2階は飲食店、クリニック、フィットネスクラブなど16店舗が入居。3~5階はオフィスフロアで、3階にはスタートアップ企業の交流拠点となるようシェアオフィススペースとして提供する予定。「d_ll」は同社の中規模オフィスビルブランドで、「d_ll四日市」に続く2棟目。

 北棟は同社茨城支店とグループ5社(大和リビング、大和ハウスリアルティマネジメント、大和ハウスリフォーム、大和ハウス賃貸リフォーム、大和ランテック)が入居予定で、2024年10月から約240名のグループ従業員が勤務する拠点となる。

 記者会見で五十嵐市長は「駅直結の一等地の中の一等地。長い間、駐車場として活用されてきたが、この一等地が高層マンションになったら駅前としては厳しいものになるので、長期的な街の発展に資するものにしていただきたいと、土地所有者の筑波都市整備さんに要望してきた。今回、それが了承され、大和ハウスさんの計画によって実現した。利益は少し下がってでも長期的な街の発展に資する判断をしてくださったことは大変ありがたい。これからの新しい街づくりの形が示された。大きな意義を持つ駅のリスタートになる。このほかの駅周辺の様々なプロジェクトとあわせ、大きく花開き、つくばの顔として発展していくプロジェクトになることを期待している」と語った。

 大和ハウス工業執行役員東関東支社長・髙吉忠弘氏は、「当社グループは2055年に創業100周年を迎えるにあたって、その羅針盤となる“将来の夢”(パーパス)を作成、公表した。『生きる歓びを分かち合える世界の実現に向けて、再生と循環の社会インフラと生活文化を創造する』という趣旨で、これはその趣旨に副うもの。〝賑わいと緑が溢れだすエキウエ施設が、マチの様々な交流の拠点となる〟をコンセプトに、魅力ある都市拠点となることを目指す」と話した。

 用地は2017年、土地所有者の筑波都市整備からプロポーザル方式により同社が取得している。

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配置イメージ

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北棟

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左から五十嵐氏、高吉氏、八友氏

◇        ◆     ◇

 記者会見場で配布された資料をみて驚いた。容積率を単純にはじいたら274%しかなかった。容積不算入もあるはずだから、実質的には200~250%にしかならないはずだ。「駅直結の一等地の中の一等地」(五十嵐市長)ではありえない数値だ。

 どうしてこんなに低いのか質問したら、同社茨城支店長・八友明彦氏は「法定容積率は400%だが、北側敷地に隣接する吾妻小学校への日影に配慮するよう市から求められていた条件に沿ったもの」と語った。

 このような街づくりもあるのか。駅の南側は商業施設など高層建築物だが、北側は公園、中層のオフィス・商業、小学校だ。日テレの番町再開発と真逆だ。「これからの新しい街づくり」(五十嵐市長)のモデルケースになるのか。

 後で知ったのだが、用地はプロポーザル方式によって取得したのでこのような結果になったということだ。

◇        ◆     ◇

 今回のプロジェクトとは直接関係ないが、五十嵐市長にどうしても聞きたいことがあったので質問した。街路樹と街づくりについてだ。質問はおおよそ次の通り。

 「わたしは街路樹や都市公園、緑についてかなり取材しています。最近、神宮外苑や日比谷公園などで樹木がどんどん伐採されようとしています。市長さんは街路樹を伐採しないと宣言された。公園利用では、維持・管理に関与することを条件に隣接するマンションとの垣根を取り払い、マンション内のカフェの利用を可能にするなど全国的にみて珍しい決断もされた。街路樹を含め、街づくりはどうあるべきかお聞きしたい」

 五十嵐市長は、「わたしが市長に就任したとき(7年前か)、このあたりの街路樹は伐採されることに決まっていたが中止した。街路樹は街の成熟度の象徴であり、単に緑を提供している以上の価値がある。車椅子利用者に日陰を与えたり、生物多様性にも貢献している。やむを得ず強剪定をしないといけないものもあるが、しつかり維持・管理していくのが基本。今回のプロジェクトでも大和ハウスさんはきちんと緑化も図られている」と語った。

 本当は、市内の県道沿いの街路樹が大量に伐採されていることも聞きたかったのだが、さすがに今回の記者会見にはふさわしくないと思いとどまったのだが、「街路樹は街の成熟度の象徴」は「街路樹は人間の成熟度の象徴」と同義と受け取った。街路樹の見方が変わるかもしれない。

 参考までに。同市の緑被率は63.2%、わが多摩市のみどり率は53.9%だ。圧倒的に緑が多いことはよく似ている。東京駅へ1時間剣で、マンションの坪単価250万円も同じくらいか。(今回の事業地を競争入札に掛けたら坪300万円もあるかもしれないが…)

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現地(左後方は駅南側の同社のホテル)

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