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2021/04/28(水) 09:50

「街のシンボルになる」来場者 公園との垣根なくしたフージャース「つくば」に感動

投稿者:  牧田司

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「デュオヒルズつくばセンチュリー」フォレストデッキ

 フージャースコーポレーションが分譲中の「デュオヒルズつくばセンチュリー」を見学した。この前インタビューした同社・小川栄一社長と同社事業推進部部長・友野珠江氏の話を確認するのが目的だった。疑ったわけではないが、裏を取るのは記者の基本でもあるからだ。

 現地をみて絶句するほかなかった。感動すら覚えた。〝公園はかくあるべき〟という見本だった。そして、記者の胸を打ったのは、ほかの誰でもない、「ここは市のシンボルになる」と語ったマンション来場者の言葉だった。

 物件は、つくばエクスプレスつくば駅から徒歩11分、茨城県つくば市竹園一丁目に位置する敷地面積約9,588㎡、14階建て全229戸。現在分譲中の住戸(9戸)の専有面積は75.21~75.32㎡、価格は3,598万~4,198万円、坪単価は175万円。建物は2020年10月竣工済。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。デザイン監修は野生司環境設計・野生司氏。ランドスケープデザイン監修は関東学院大学准教授・中津秀之氏。分譲開始は2019年3月。

 単価が低く、第一次取得層向けではあるが、1階に2層吹き抜けのベーカリーカフェ「「パン工房クーロンヌ」が入居しているほか、共用施設にワークスタジオ、ブックステーション、キッズスクエア&キンタ―プレイス、ゲストルームなどを整備し、専有部は75㎡中心で食洗器、ディスポーザー、リビング天井高2500~2600ミリ、スロップシンク、浴室ドアタオル掛け2か所など…基本性能・設備仕様レベルは水準以上だ。

 販売を担当する同社営業本部営業七部営業一課サブチーフ・入谷哲也氏は、「残りは未分譲の9戸を含め20戸。来場されたお客様に公園との垣根を取り払った取り組みなど物件の特徴を説明していたら、そのお客さまから『街のシンボルになるわね』と言われたのがとてもうれしかった」と話した。

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コモンラウンジ

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キンターラウンジ

◇       ◆     ◇

 マンション来場者が「市のシンボルになる」と話した-これが全てを物語っている。記者の拙文など全く必要ない。写真を見ていただきたい。

 この前、同社の小川栄一社長が話したようにマンションと公園はデッキでつながっており、どこまでがマンション敷地なのか公園なのか全く区別がつかない。必死で「官民」「民民」の境界標(栓)を探したが見つからなかった。

 「パン工房クーロンヌ」でパンと飲み物を買って、公園側のデッキ席で、今回の取材をセットしていただいた友野氏と歓談した。

 友野氏も完成した公園を見るのは初めてだったようで、市内で一番不人気だった、誰も利用しない〝砂利公園〟が、子どもたちが遊び、お母さんたちが談笑したり飲食したりしている公園に様変わりしたのに驚いていた。

 公園には「パン工房クーロンヌ」が用意した無料で利用できる茣蓙が置かれていた。店内には公園内の芝の手入れを行う「育芝チーム」についても紹介されていた。

 皆さんはこれをどう思われるか。先進的な取り組み事例としては、「立体都市公園制度」を活用したPPP(パブリックプライベートパートナーシップ)施設の一つ「MIYASHITA PARK」を見学して驚いたし、フージャースグループのPFI法を活用した「原山公園再整備運営事業」もオープンしたが、これらは「公設民営」だ。今回のような官民連携というより、民が主導した公園再生の例など記者は寡聞にして知らない。画期的なことだ。

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デッキでつながっている公園(手前)と「パン工房クーロンヌ」

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マンション(左)と公園

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公園で遊ぶ子どもたち(滑り台では許可されなかったため傾斜としているのがみそ)

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無料のござ貸出

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つくば市の境界標

◇       ◆     ◇

 これまで街路樹や公園の記事をたくさん書いてきた。いつも突き当たるのは法律の分厚い壁だ。

 都市公園法には、「国の設置に係る都市公園における行為の禁止等」を定めた第十一条、第十二条には次のようにある。

 第十一条 国の設置に係る都市公園においては、何人も、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
一 都市公園を損傷し、又は汚損すること。
二 竹木を伐採し、又は植物を採取すること。
三 土石、竹木等の物件を堆積すること。
四 前三号に掲げるもののほか、公衆の都市公園の利用に著しい支障を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの。

 第十二条 国の設置に係る都市公園において次の各号に掲げる行為をしようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、公園管理者の許可を受けなければならない。
一 物品を販売し、又は頒布すること。
二 競技会、集会、展示会その他これらに類する催しのために都市公園の全部又は一部を独占して利用すること。
三 前二号に掲げるもののほか、都市公園の管理上支障を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの。

 法文の冒頭に「みだり」(「淫ら」と同義語か)とおどろおどろしい言葉が躍るように、むやみやたらに大声を発したり、キャッチボールをしたりタバコを吸ったりすることは「公衆の都市公園の利用に著しい支障を及ぼすおそれのある行為」として禁止される-その行為とは何かを決めるのは利用者のわれわれ市民ではない。管理者としての行政だ。

 新型コロナ緊急事態宣言が発令されたことを受け、東京都は都立公園の利用について「運動施設、遊具広場、及び駐車場などの使用を休止しております。また、散歩、ジョギングをしている皆様は、ご利用を1時間以内にしていただきますようお願いいたします」とし、有料の公園を休園した。

 他の自治体も同様だ。「利用中は、大声(発声・声援等)を出さないようにして下さい」(新宿区)「多くの利用者が『密集』『密接』することにより感染のリスクが高くなることが懸念されることから、当面の間、投球場と全ての遊具やベンチの使用を一時的に中止しております」(港区)「飲食の自粛」(渋谷区)「飲食を伴うご利用や長時間のご利用は可能な限り控え、密集・密接に注意しながらの公園利用を徹底していただきますようお願いいたします」(多摩市)などと規制を強化している。

 しかし、これはいかがなものか。記者は、これまで何度も書いた。コロナ禍でもっとも安全なのは公園だ。取材などで外出したときは、コンビニなどでおにぎりと缶ビールを買って公園など野外で飲食することにしている。公園にはほとんど利用者はいないし、隣の人との間隔を確保しようと思えばいくらでも開けられる。もう1年以上継続している。

 公園管理は、悪しき慣例主義・事なかれ主義の典型だ。公園が利用されようとされまいが、どうでもいいと考えているとしか思えない。

 いくつか例示する。写真は渋谷区の「幡ヶ谷第四児童遊園」を昨年9月に写したものだ。出入り口には工事中でもないのにバリケードが設置されていた。誰も利用しないのか、敷地全体が雑草で覆われていた。日常不断に利用されていたら砂場に雑草が生えることなどありえない。

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「幡ヶ谷第四児童遊園」

 砂場といえば、杉並区の公園では、ネットがかけられていた。猫のトイレ利用を防ぐためだという。立川市の柴崎中央公園は、飲酒や喧嘩を防ぐために公園全体が金網ネットで囲われ、鍵もついていた。利用は平日9時~16時のみで、土・日曜は閉鎖するとあった。その中で遊んでいる子どもをみて、檻の中に閉じ込められているような錯覚を記者は覚えた。(5年前の記事参照)

 目黒区の公園実態調査報告書には、2割近い公園・児童遊園の利用者は一人もいないと報告されている。

 わが多摩市は「愛でるみどりから関わるみどりへ」を掲げ、様々な取り組みを行っているが、民間や住民参加を取り込む具体的な策(柵ではない)が欠落しているような気がする。つくばに負けるな。

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