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2023/06/01(木) 12:52

「持家は回復途上 建売りへの参入・拡大も可能に」堀内会長 プレ協が総会・会見

投稿者:  牧田司

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堀内会長(如水会館で)

 プレハブ建築協会は5月31日、定時総会後の記者会見を行い、堀内容介会長(積水ハウス副会長)がこの1年間を振り返るとともに、今年度の活動について説明、記者団の質問に答えた。

 堀内会長はこの1年間について、昨年6月に改正された省エネ法によりカーボンニュートラル実現の道筋が示され、長期優良住宅の普及のための環境整備が進んだ一方で、昨年(2022年)の住宅着工戸数は、前年に引き続き持ち直し傾向がみられるものの、依然として回復途上にあり、厳しい環境が続いているとし、今年度は住宅市場の回復に向けたZEH化などの取り組みを強化すると語った。

 また、今年1月には協会設立60周年を迎え、新たに設けた協会行動憲章に基づくカーボンニュートラル・循環型社会・自然との共生を目指す取り組みを積極的に推進すると話した。

 さらに、今年は関東大震災の発生から100年目を迎え、頻発化・激甚化する自然災害に対応する体制の強化を図ると語った。

◇        ◆     ◇

 質疑応答では、記者団から注文住宅(持家)の減少や、その回復策などについて質問が飛んだ。

 これらの質問に対し堀内氏は、注文住宅市場は厳しいが、積水ハウスは分譲や賃貸でカバーしているとし、改正省エネ法が今年6月に交付され、省エネ基準の適合義務を住宅にも拡大し、100万円/戸の補助が受けられるZEH+などの政府の支援策により、協会会員の建売住宅事業への参入・拡大も可能になると語った。(国土交通省のデータでは2021年の注文戸建住宅のZEH普及率は26.7%、建売戸建住宅は2.6%)

 小生は再質問をしようとも思った。堀内氏が属する積水ハウスなど大手のハウスメーカーは、ZEH化コストを価格に転嫁するのは比較的容易で、政府の支援策の恩恵を受けられるだろうが、持家、分譲戸建て市場の圧倒的シェアを占める、第一次取得層をターゲットにする建売住宅専業、地場工務店はZEH化に対応するのは容易ではない。年間4万戸を販売する飯田グループの戸建ての平均価格は土地代を含め3,000万円を切る。大手ハウスメーカーの半分以下ではないか。

 さらにまた、消費者もZEH化することで住宅取得希望価格(3,000万円)の3~6%の100万~200万円も負担が増えるのにためらうのは当然だ。初期費用がゼロになる仕組みもあるが、いま一つ、これら圧倒的多数派の層への具体的なZEH普及策・支援策が見えてこない。

 しかし、質疑応答時間(15分くらいか)は限られており、プレ協としては答えづらいだろうと判断し、質問することを止めた。この種の会見では、参加するメディア全てが質問できるくらいの時間を取るべきだと思うが…。

 この日(31日)発表された令和5年4月の新設新規住宅着工戸数は、総数も持家も分譲住宅も2ケタの減少で、持家は実に17か月連続して減少している。プレ協がいう「回復途上」ではなく、中長期にわたって減少が加速するそのとば口に差し掛かっているような気がしてならない。誰か小生のこの悲観論を一蹴してくれないか。

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