RBA OFFICIAL
 
2023/06/20(火) 14:14

建て替えより改修のほうがライフサイクル脱炭素に有効 住友不・東大・武蔵野大

投稿者:  牧田司

 住友不動産、東京大学大学院新領域創成科学研究科(清家剛教授)、武蔵野大学工学部サステナビリティ学科(磯部孝行講師)の3者は6月15日、省資源・省CO2工事を施した住宅改修は、戸建ての新築建て替えよりもライフサイクル脱炭素を早く達成可能であるとする研究成果を発表した。

 研究は、2050年カーボンニュートラル達成、家庭部門における脱炭素実現のためには、新築より省エネ性能が劣る物件が大半を占める既存住宅の改修に伴う環境評価手法の確立が欠かせないとし、部分リフォームからまるごとリフォーム(全面改修)まで幅広い施工実績を有する同社の協力のもと、2021年12月から両大学が開始していた。

 2022年6月に発表した第1フェーズの研究成果では、戸建住宅の施工時資源投入量・廃棄物排出量に係るCO2排出量を、「建て替え」と「改修」で比較した場合、改修の排出量は47%削減されることを実証している。

 今回の発表した第2・3フェーズでは、断熱等級4、ZEH相当の設備性能太陽光パネル約7.5kWを積載した全面改修は、約35年でライフサイクル脱炭素を達成することが可能で、新築建て替えより約10年早いことを証明した。

◇        ◆     ◇

 古屋を壊すには解体コストは馬鹿にならず、建て替えより全面改修のほうがライフサイクル脱炭素を早く達成するというのはなんとなく理解できるが、今回はそれを科学的に実証したのが凄いではないか。

 記者はいま、それなりにZEH化が進んでいる持家の着工戸数が対前年同月比で17カ月も連続して減少し、一方でZEH比率は数%しかない、価格が圧倒的に安い分譲戸建てが市場を席巻しているのに複雑な気持ちを抱いている。一言でいえば、住宅購入検討者は良質住宅を選ぶ余裕がないのが現実だ。

 もう一つ、3者に聞きたいことがある。省エネ性を高め、ZEH化を図った全面改修のほうが脱炭素の面から有効であるのはよく分かった。ただ、敷地が狭く、猫の額ほどの庭(緑)もない狭小住宅などは改修しても居住環境は全然よくならないではないか。敷地の緑化・緑(庭木)の人体への影響も含む価値の可視化や、性能が劣る住宅が建設されることによる経済的損失も研究していただきたい。

「新築そっくりさん」建替えよりCO2排出量47%削減 東大×武蔵野大×住友不(2022/6/16)

 

 

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン