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2023/07/08(土) 13:41

野趣に富むジョコビッチの赤・白ワイン試飲会にジヴェリ(乾杯)! セルビア大使館

投稿者:  牧田司

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セルビアワイン先行試飲会(セルビア大使館で)

世界的プロテニスプレイヤー・ジョコビッチの親族が経営するワイナリーから初入荷したワインなど10銘柄を味わえるセルビアワイン先行試飲会が77日夕、港区高輪のセルビア大使館で行われた。定員30名は満席で、ワインのほかセルビアの郷土料理も振舞われた。主催者は、Makoto Investments(マコトインベストメンツ)Monde Delicious(モンドデリシャス)事業部。

来賓として出席したアレクサンドラ・コヴァチュ特命全権大使は、「こんばんは。セルビアのワインは古代から生産されており、伝統的な技法による個人ワイナリーが多いのが特徴で、ここ20年間はルネッサンスとも呼ぶべき繁盛記を迎えている。最近では世界最大のワインコンクールで第6位に入賞した」と日本語であいさつした。

元セルビア大使で日本セルビア協会副会長・角﨑利夫氏は、「最近は個人ワイナリーが素晴らしいワインを生産している。本日はジョコビッチを始め固有種であるシラー、プロクパッツ(赤)、タミヤニカ(白)も楽しめる。ジヴェリ(乾杯)!」と乾杯の音頭を取った。

初入荷したのは、赤の「ジョコビッチ シラー2020」と白の「ジョコビッチ シャルドネ2021」の2銘柄と「シラ2021」。「ジョコビッチ」はいずれも通常価格¥9,900(税込み)。「シラ」は通常価格3,080(同)

「ジョコビッチ シラー2020」は、セルビアの固有種シラー100%。「深いルビー色に、ブルーベリー、ブラックベリー、プラムなど黒系果実味溢れる強めの香りにバニラ、タバコ、シダーといった、上品な樽由来の香りが加わります。口に含むとタンニンの特徴がはっきり捉えられますが、ソフトで余韻も楽しめる」というのが触れ込み。

「ジョコビッチ シャルドネ2021」は、シャルドネ100%を使用。「乾燥アプリコット、梨、リンゴの香りと風味に、樽由来のトースト、柔らかなバニラのニュアンス…クリーミーで余韻も長く、芳醇でリッチな白ワイン」とある。

記者が試飲会に参加するのは、201711月に行われたのに続く2度目。第三企画代表・久米信廣氏が1990年代から続いたセルビア国内の民族対立と経済の疲弊により、多くの子どもたちが厳しい状況に置かれていることに心を痛め、CSR活動の一環として子どもに学用品を贈呈したり、アーティストに対する支援活動を行ったりしている縁で取材&参加したもの。

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アレクサンドラ・コヴァチュ特命全権大使(左)と角﨑氏

        ◆     ◇

 「Dobro veče(ドゥヴゥロヴェーチェ)!」「Zdravo(ズドラーヴォ)!」-記者は会場に入るなり、大きな声で叫んだ。狂人が紛れ込んだと勘違いしたのか、若い日本人女性は記者から逃げた。しかし、セルビアの方々は「Dobro veče(ドゥヴゥロヴェーチェ)!」「Zdravo(ズドラーヴォ)!」と微笑を返してくれた。「こんばんは」「こんにちは」が通じたのだ。

 試飲会では、近くの日本人女性から「わたしはもっぱら白で、赤は飲まないのですが、このジョコビッチの赤はとても美味しい」と、白を飲んでいた記者に声を掛けられた。

 「わたしもそうです。赤は甘ったるいイメージが強く、ほとんど飲みません。そうですか、そんなに美味しいですか。飲んでみます」(「赤玉ワイン」は馴染めなかった)

 早速、ジョコビッチの赤を飲んだ。白もそうだが、一言でいえば「野性的」「ワイルド」。野趣に富み、渋み、苦みがかなり強い。わが国の泡盛をはじめスコッチ、バーボン、ウォッカ、テキーラ、馬乳酒(記者は〝処女の酒〟と名付けた)-これらはみんな「野性的」「ワイルド」だ。これぞ酒だ。

 その女性と名刺も交換した。「Flute」の肩書の吉川久子さんだった。しばし歓談し、「今日は七夕。わたしのアルバム『セルビアの思い出』をあげます。わたしが作曲した『セルビアの思い出』のほか『セルビアの子守歌 たなばたさま』など10曲を収録したものです」とCDを頂いた。

 吉川さんは、東日本大震災でセルビアから支援を受けたのをきっかけに、ベオグラードなどでコンサートツアーを行っているそうだ。

 会場にはもう一人、記者の目を射た女性がいた。ドレスも靴も何から何までワインレッドに包まれていた。声を掛けた。

 「赤ワインがこぼれてもいいように」赤で統一したそうで、名刺には「株式会社秋山 代表取締役 ピアニスト(作曲・編曲)秋山治野」とあった。

 吉川さんの衣服は「白」、秋山さんは「赤」。この日の試飲会にピッタリのアーティストだ。

 前回の試飲会同様、しこたま飲んだ。飲みはしたが、セルビア(旧ユーゴスラビア)の作家ダニロ・キシュ(19351985)の「若き日の哀しみ」(山崎佳代子氏訳、東京創元社刊)を忘れることはなかった。キシュは「祖国のために死ぬことは名誉」で「歴史は勝者が書く。伝承は民衆が紡ぎ出す。文学者たちは空想する。確かなものは、死だけである」(同「死者の百科事典」所蔵、119ページ)と書いている。

 翌日、冴えた頭で頂いたCDを聴いた。「ドナウ川のささなみ」は若いときによく聴き、はらはらと涙した曲だが、「セルビアの思い出」にもまた胸を締め付けられた。切ない曲だ。ジョコビッチの白にも赤にもあう。

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左端が吉川さん、3人目がコヴァチュ氏

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秋山さん

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秋山さん(左)と吉川さん

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以下、参加者の皆さん

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セルビア固有品種のブドウから作られたワイン 日本に輸入決定 「ジヴェリ(乾杯)」(2017/11/24

悲しい歴史を巧みなレトリックで描く キシュ「若き日の哀しみ」(2015/4/11

 

 

 

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